ミステリー

『傾斜のマリア』恩田陸 あらすじと感想|夢と現実の境界にあるような、魅惑の傾斜都市

ケイチャン(サカキ ケイ)
恩田陸『傾斜のマリア』

【2026年114冊目】

今回ご紹介する一冊は、

恩田陸 著

『傾斜のマリア』です。

この小説はこんな人にオススメ

恩田陸の「神原恵弥シリーズ」のファン、タフで一癖ある主人公が好きな人

あらすじと感想

長崎県ミステリー

休暇で長崎を訪れた神原恵弥(かんばら めぐみ)は
亡き祖母の『秘宝』を探すため
謎の『数え唄』の秘密を探るのだが・・
魅力あふれる街をさまよう古都探索ミステリーです

歴史ある街には過去の記憶が漂っている

神原恵弥(かんばら めぐみ)シリーズ4作目

作中で傾斜都市と呼ばれる長崎市が舞台です

僕も大学生のころオートバイで九州を一周した旅で訪れたことがある思い出深い街です
ユースホステルで知り合った仲間たちと端島(軍艦島)を探索したことは、忘れられない心躍る体験でした
荒涼とした無人の建物の内部に描かれた巨大なアート作品の絵が、今でも心に焼き付いています

前作のトルコ共和国での騒動から外資系の巨大製薬会社を辞めてフリーとなった恵弥は
息抜きに祖母の産まれ故郷である長崎県を旅行することを思いつく
・・謎の『数え唄』が気になるのよね
しかし何故かこの旅行に交通事故のリハビリ中である多田が同行することとなるのだ

何でこの2人が旅行するのかな?

長崎で多田は恵弥に2人の人物を紹介する
老舗菓子店の娘、鈴川麗佳(すずかわ れいか)は恵弥の遠縁だと自称する
長崎大学の教授、板倉実(いたくら みのる)はなんと前作で問題となった物質
ブラック・ベルベットをこの長崎県で発見したと言うのだ

何だか事態がきな臭くなってきた

かくしてブラック・ベルベット研究の第一人者で『アメリカに追われる科学者』ことアキコ・スタンバーグ博士の行方も追いつつ
祖母の『数え唄』の謎を追いかけることになる恵弥一行だが、この旅の行方はどこに向かうのだろうか・・

「夢と現実の境界にあるような、魅惑の傾斜都市」

11年ぶりのシリーズ新作ですが前作『ブラック・ベルベット』
前々作『クレオパトラの夢』と地続きになっているので
内容を覚えていないと、きっとよくわからないと思います

シリーズを再読されてから本作を読むことをおススメします

本シリーズを特徴づけるのが主人公の神原恵弥のキャラクターです
オネエ言葉をしゃべるバイセクシャルの男性麗人という設定は健在で
濃すぎる個性に、病みつきになりそうです

観光小説か?長崎の名所旧跡と銘菓名物料理が続々と登場!

シリーズ2作目では函館市、3作目ではトルコを観光案内のように旅しました
本巻は長崎が舞台となり、おしゃべりなガイドさん(恵弥w)のうんちくを聞きながら
美しい洋館をグラバー邸を訪ね、船に揺られて軍艦島をのぞみ、各地を訪ねます
もちろん美味しいものもたくさん食べる!僕もチャンポンが食べたくなりました

さて観光は順調に進みますがなかなか進まないのが
『数え唄』の謎とアキコ・スタンバーグ博士の行方です
終盤までヤキモキさせられるのですが
最後は意外な黒幕の正体と、本当の目的が明らかになり、大団円となります

前作のラストシーンを思い出させる演出も、嬉しかったな

洒脱で愉快な恵弥ら一行と巡る
魅惑の傾斜都市観光が、楽しすぎる!
個性的な友人(登場人物)たちと過ごす旅行小説でした

え!ミステリじゃないの?笑

あなたもきっと長崎でチャンポンを食べたくなるはず・・

作品紹介(出版社より)

米国資本の大手製薬会社を辞め、フリーとなった神原恵弥は九州のN崎を訪れた。N崎出身の祖母が遺した不思議な数え唄の意味を探るためだ。だがそんな恵弥に対しN崎大学の医学教授が、米国の監視下に置かれている女性科学者への接触を求めてきた。出島で見つかったある物質について博士の意見を聞きたいという。恵弥は、まるで影のような存在の博士とまみえることはできるのか? そして、唄の歌詞「かたむくマリア」に込められた秘密とは? 謎めいたラストが鮮烈な余韻を残すシリーズ第四作!

作品データ

タイトル:『傾斜のマリア』
著者:恩田陸
出版社:双葉社
発売日:2026/7/24

まだ読んでいない方はこちらから↓

タイトル:『MAZE[メイズ]』
著者:恩田陸
出版社:双葉社
発売日:2001/2/1

タイトル:『クレオパトラの夢』
著者:恩田陸
出版社:双葉社
発売日:2003/10/1

タイトル:『ブラック・ベルベット』
著者:恩田陸
出版社:双葉社
発売日:2015/5/20

作家紹介

恩田陸(おんだ・りく)

1964年宮城県出身。早稲田大学卒。
1992年日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『六番目の小夜子』でデビュー。
2005年『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞、本屋大賞受賞。
2006年『ユージニア』で日本推理作家協会賞受賞。
2007年『中庭の出来事』で山本周五郎賞受賞。
2017年『蜜蜂と遠雷』で直木賞と2度目の本屋大賞をそれぞれ受賞。
ホラー、SF、ミステリーなど、さまざまなタイプの小説で才能を発揮している。
著書に、『三月は深き紅の淵を』『光の帝国常野物語』『ライオンハート』『私と踊って』『夜の底は柔らかな幻』『スキマワラシ』『灰の劇場』などがある。

恩田陸の作品紹介

『六番目の小夜子』(1998/8/1)
『球形の季節』(1994/4/1)
『不安な童話』(1994/11)
『三月は深き紅の淵を』(1997/10)
『象と耳鳴り』(1999/10/1)
『木曜組曲』(1999/11)
『月の裏側』(2000/3/1)
『ネバーランド』(2000/7/5)
『麦の海に沈む果実』(2000/7/25)
『上と外』(2000年8月)
『puzzle』(2000/10/1)
『ライオンハート』(2000/12/1)
『MAZE[メイズ』(2001/2/1)
『ドミノ』(2001/7/27)
『黒と茶の幻想』(2001/12)
『図書室の海』(2002/2/22)
『劫尽童女』(2002/4/1)
『ロミオとロミオは永遠に』(2002/10)
『ねじの回転』(2002/12)
『蛇行する川のほとり』(2002/12)
『まひるの月を追いかけて』(2003/9/11)
『クレオパトラの夢』(2003/10/1)
『黄昏の百合の骨』(2004/3/5)
『禁じられた楽園』(2004/4/21)
『Q&A』(2004/6)
『夜のピクニック』(2004/7/31)
『夏の名残りの薔薇』(2004/9/25)
『ユージニア』(2005/2/3)
『蒲公英草紙– 常野物語』(2005/6/3)
『ネクロポリス』(2005/10/13)
『エンド・ゲーム– 常野物語』(2006/1/5)
『チョコレートコスモス』(2006/3/15)
『中庭の出来事』(2006/11/29)
『朝日のようにさわやかに』(2007/3/1)
『木洩れ日に泳ぐ魚』(2007/7/1)
『いのちのパレード』(2007/12)
『不連続の世界』(2008/7/1)
『きのうの世界』(2008/9)
『ブラザー・サンシスター・ムーン』(2009/1/23)
『訪問者』(2009/5/14)
『六月の夜と昼のあわいに』(2009/6)
『私の家では何も起こらない』(2010/1/6)
『夢違』(2011/11/12)
『私と踊って』(2012/12/1)
『夜の底は柔らかな幻』(2013/1)
『雪月花黙示録』(2013/12/25)
『かがみのなか(2014/7/21)
『EPITAPH東京』(2015/3/6)
『ブラック・ベルベット』(2015/5)
『消滅 – VANISHINGPOINT』(2015/9)
『タマゴマジック』(2016/3/1)
『蜜蜂と遠雷』(2016/9/23)
『七月に流れる花』(2016/12/20)
『八月は冷たい城』(2016/12/20)
『終りなき夜に生れつく』(2017/2/20)
『失われた地図』(2017/2/10)
『錆びた太陽』(2017/3/21)
『おともだちできた?』(2017/6/30)
『祝祭と予感』(2019/10/4)
『歩道橋シネマ』(2019/11/20)
『ドミノin上海』(2020/2/4)
『スキマワラシ』(2020/8/5)
『灰の劇場』(2021/2/16)
『薔薇のなかの蛇』(2021/5/26)
『愚かな薔薇』(2021/12/23)
『なんとかしなくちゃ。青雲編』(2022/11/7)
『鈍色幻視行』( 2023/05/26)
『夜果つるところ』( 2023/06/26)
『夜明けの花園』(2024/1/31)
『spring』2024/3/22
『珈琲怪談』2025/4/16
『傾斜のマリア』2026/7/24

ABOUT ME
ケイチャン
ケイチャン
サラリーマン読書家
年間150冊以上の本(主に小説)を読む、名古屋で働くサラリーマン【ケイチャン】です。ミステリー・サスペンス・イヤミス・恋愛小説を中心に、本の感想とおすすめをご紹介しています。「読む本に迷ったとき」の参考になれば幸いです。好きな言葉は「花には水を、人には愛を!」一緒に読書を楽しみましょう!!
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