【感想】『愚かな薔薇』恩田陸|少女は変容する

447 views
愚かな薔薇|恩田陸

ケイチャン

ケイチャン

【2022年24冊目】

今回ご紹介する一冊は、

恩田陸 著

『愚かな薔薇』です。

PR

【感想】「少女は変容する」

耽美で伝奇的なSF

美しくもおぞましく
闇の中で淡く煌めくような
耽美さにため息がもれちゃう
恩田ワールドが素晴らしい

舞台は山間の村、磐座(いわくら)
神のいる場所という言葉どおり
古代の宇宙船が発見された聖域です

ここで星々を巡る『虚ろ舟乗り』を選別する
夏のキャンプへ招集された少女、那智(なち)
が主人公です

「少女は変容する」

14歳の那智は初々しく可憐な美少女です
おそるおそる参加したキャンプで
誰よりも早く『変質』しその資質を見出すが
自分が変わってしまうことに激しく動揺します
怖い!私が変わってしまう!

そして那智に恋する少年
幼馴染みの従兄、深志(ふかし)
妹のように思っていた従妹が
美しく成長し心惹かれます
那智!『血切り』は俺とするんだ!

この血切りとは読んで字のごとく
変質するために血を飲むことです
血を飲む者啜られる者双方が快楽に
愉悦する描写が淫靡でゾクゾクします

吸血行為を激しく嫌悪する那智
自分が変わってしまう恐怖
しかしこのキャンプで起こる
様々な事件や
死んだ両親の秘密
キャンプの仲間との交流を経て
恐怖は徐々に薄れ
逆に憧れるような気持ちに変ってゆく

そう子供が大人へと成長してゆくように

狭い村が舞台なのに
語られるのは宇宙や人類の話
この落差が遠近感を狂わせ
あやしいリアルさを感じさせます

同じように1人の少女那智の成長と
人類の進化をシンクロさせるところが
スケール感を狂わせて
あやしい魅力となっています

そして夏祭りで明かされる
驚愕の真実を受け入れた時
那智の人生は次のステージへと
蝶が羽化するかのように舞い上がる

作品紹介(出版社より)

これは21世紀の「地球幼年期の終わり」だ。
山間の夏祭りの中で少年や少女が変化していく。
進化なのか? 人類はどこへ向かうのか?
巡る星々。過去と未来。
愛、愛はどこへ行くのか?


萩尾望都さん描き下ろし、期間限定カバーで展開!
※萩尾望都版カバーは期間限定です
※2022年3月までを予定。在庫がなくなり次第、通常カバーで販売します

作品データ

タイトル:『愚かな薔薇』
著者:恩田陸
出版社:徳間書店
発売日:2021/12/23

作家紹介

恩田陸(おんだ・りく)

1964年宮城県出身。早稲田大学卒。
1992年日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『六番目の小夜子』でデビュー。
2005年『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞、本屋大賞受賞。
2006年『ユージニア』で日本推理作家協会賞受賞。
2007年『中庭の出来事』で山本周五郎賞受賞。
2017年『蜜蜂と遠雷』で直木賞と2度目の本屋大賞をそれぞれ受賞。
ホラー、SF、ミステリーなど、さまざまなタイプの小説で才能を発揮している。
著書に、『三月は深き紅の淵を』『光の帝国常野物語』『ライオンハート』『私と踊って』『夜の底は柔らかな幻』『スキマワラシ』『灰の劇場』などがある。

PR

恩田陸の作品紹介

『六番目の小夜子』(1998/8/1)
『球形の季節』(1994/4/1)
『不安な童話』(1994/11)
『三月は深き紅の淵を』(1997/10)
『象と耳鳴り』(1999/10/1)
『木曜組曲』(1999/11)
『月の裏側』(2000/3/1)
『ネバーランド』(2000/7/5)
『麦の海に沈む果実』(2000/7/25)
『上と外』(2000年8月)
『puzzle』(2000/10/1)
『ライオンハート』(2000/12/1)
『MAZE』(2001/2/1)
『ドミノ』(2001/7/27)
『黒と茶の幻想』(2001/12)
『図書室の海』(2002/2/22)
『劫尽童女』(2002/4/1)
『ロミオとロミオは永遠に』(2002/10)
『ねじの回転』(2002/12)
『蛇行する川のほとり』(2002/12)
『まひるの月を追いかけて』(2003/9/11)
『クレオパトラの夢』(2003/10/1)
『黄昏の百合の骨』(2004/3/5)
『禁じられた楽園』(2004/4/21)
『Q&A』(2004/6)
『夜のピクニック』(2004/7/31)
『夏の名残りの薔薇』(2004/9/25)
『ユージニア』(2005/2/3)
『蒲公英草紙– 常野物語』(2005/6/3)
『ネクロポリス』(2005/10/13)
『エンド・ゲーム– 常野物語』(2006/1/5)
『チョコレートコスモス』(2006/3/15)
『中庭の出来事』(2006/11/29)
『朝日のようにさわやかに』(2007/3/1)
『木洩れ日に泳ぐ魚』(2007/7/1)
『いのちのパレード』(2007/12)
『不連続の世界』(2008/7/1)
『きのうの世界』(2008/9)
『ブラザー・サンシスター・ムーン』(2009/1/23)
『訪問者』(2009/5/14)
『六月の夜と昼のあわいに』(2009/6)
『私の家では何も起こらない』(2010/1/6)
『夢違』(2011/11/12)
『私と踊って』(2012/12/1)
『夜の底は柔らかな幻』(2013/1)
『雪月花黙示録』(2013/12/25)
『かがみのなか(2014/7/21)
『EPITAPH東京』(2015/3/6)
『ブラック・ベルベット』(2015/5)
『消滅 – VANISHINGPOINT』(2015/9)
『タマゴマジック』(2016/3/1)
『蜜蜂と遠雷』(2016/9/23)
『七月に流れる花』(2016/12/20)
『八月は冷たい城』(2016/12/20)
『終りなき夜に生れつく』(2017/2/20)
『失われた地図』(2017/2/10)
『錆びた太陽』(2017/3/21)
『おともだちできた?』(2017/6/30)
『祝祭と予感』(2019/10/4)
『歩道橋シネマ』(2019/11/20)
『ドミノin上海』(2020/2/4)
『スキマワラシ』(2020/8/5)
『灰の劇場』(2021/2/16)
『薔薇のなかの蛇』(2021/5/26)
愚かな薔薇』(2021/12/23)

好きな端末で読書をはじめよう

ケイチャン

ケイチャン

小説もビジネス書も、200万冊以上自分の好きな端末でで読めるよ!

本を読みたいけれど、重くてかさばるから持ち運ぶのは…とお悩みの方にはAmazonの「Kindle Unlimited」がおすすめです。自分のスマホ・PC・タブレットで利用可能。特にスマホはいつでもどこでも、片手で読めるから便利ですよ!まずは30日間の無料体験からはじめてみてはいかがですか?

【Kindle Unlimited】200万冊以上が読み放題!30日間の無料体験はこちらから▼

オーディオブックで本を聴こう
ケイチャン

ケイチャン

小説もビジネス書も、12万以上の対象作品が聴き放題!

本を読みたいけれど、活字を読むのは少し苦手、忙しい中でのスキマ時間が活用できれば…とお悩みの方にはAmazonの「Audible」がおすすめです。Audibleはプロのナレーターが朗読した本をアプリで聞けるサービス。これなら移動中や作業中などいつでもどこでも読書ができます!今なら30日間の無料体験ができます!まずは無料体験のお試しからはじめてみてはいかがですか?

【Audible】12万以上の対象作品が聴き放題!30日間の無料体験はこちらから▼

PR



カテゴリー:
タグ:
関連記事