ケイチャン
【2022年59冊目】
今回ご紹介する一冊は、
真梨幸子著
『シェア』です。
もくじ
【感想】「ミスリードされる気持ち悪さが、キモチイイ」
シェアハウスというと
気遣いある常識的な人々と
距離感を保ちつつ、オシャレに生活
と、明るく楽しいイメージですね
しかしイヤミスの女王、真梨幸子が描くシェアハウスとは・・
集まるメンバーは貧乏で仕方なく来た者
あるいは下心を持ってやって来た者
もう不穏な予感しかない
物語は40才独身彼氏なしのユーチューバー
世直しバニー隊長ほのぴょん、こと
鹿島穂花（ほのか）が上手いこと言われて
自宅をシェアハウスに改装するところから
スタートします
いきなり多額の借金を背負う展開
こりゃマズイだろう止めときな、と忠告したくなります
案の定仲介を委託した不動産会社が破産
しかも預けた金を持ち逃げされます
こりゃダメだ
そして穂花は首を吊り
無人のシェアハウスから5体の胎児のミイラが見つかる
いったい何があったのか？
ここからシェアハウスの関係者へインタビュー形式で話が進む
だがその相手たちは・・
自分本位で我がまま、都合の悪いことは隠し
都合の良いことしか言わない、信頼の出来ない語り手たち
誰が本当の事を言っているのか
何が嘘なのか分からない展開に
不快感が沸き起こる
しかしそれも作者の意図
やがて物語は50年前のシェアハウスで起こった事件から
今へと続く歴史があらわになる
次々と死ぬシェアハウスの関係者たち
犯人の目的は何なのか？
こってりとした悪意に気分が悪くなりそう
けれどそれが逆に気持ちいい
今作も真梨幸子節が全開の
極悪なイヤミスです
作品紹介（出版社より）
鹿島穂花（40）は、相続した新宿区A町の古い民家をシェアハウスにすることに。しかし、不動産会社の口車に乗せられ想定外のリフォームをして借金を負う。さらに工事中に床下からとんでもないものを発見してしまう。
シェアハウスには「キラキラネーム」の四人を含む六人の女性が入居。スレッド主「君の名は」が立てた「キラキラネームさん集まれ！」板の常連たちだ。
時はコロナ禍、皆でマスクを手縫いし、果てには持続化給付金詐欺に手を染め……
次第に雲行きが怪しくなってゆくシェアハウスの実態は？ 「君の名は」の正体は？
作品データ
タイトル：『シェア』
著者：真梨幸子
出版社：光文社
発売日：2022/3/23
作家紹介
真梨幸子（まり・ゆきこ）
1964年宮崎県生まれ。
2005年『孤虫症』で第32回メフィスト賞を受賞しデビュー。
2011年に文庫化された『殺人鬼フジコの衝動』が累計60万部を超えるベストセラーに。
他に『5人のジュンコ』『人生相談。』『初恋さがし』『坂の上の赤い屋根』『縄紋』『フシギ』など多数の著書がある。
真梨幸子の作品紹介
『孤虫症』（2008/10/15）
『えんじ色心中』（2014/9/12）
『女ともだち』（2012/1/17）
『深く深く、砂に埋めて』（2011/8/12）
『クロク、ヌレ!』（2012/10/16）
『殺人鬼フジコの衝動』（2011/5/7）
『ふたり狂い』（2016/10/7）
『みんな邪魔』（2011/12/6）
『カンタベリー・テイルズ』（2015/11/13）
『パリ警察1768』（2021/3/11）
『プライベートフィクション』（2012/9/6）
『あの女』（2015/4/22）
『インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実』（2012/11/2）
『おひとり様作家、いよいよ猫を飼う。』（2019/4/10）
『鸚鵡楼の惨劇』（2015/7/7）
『人生相談。』（2017/7/14）
『5人のジュンコ』（2016/6/3）
『お引っ越し』（2017/11/25）
『アルテーミスの采配』（2018/2/7）
『6月31日の同窓会』（2019/2/7）
『私が失敗した理由は』（2019/9/13）
『イヤミス短篇集』（2016/11/15）
『カウントダウン（2017/2/25）
『祝言島』（2017/7/26）
『ご用命とあらば、ゆりかごからお墓まで 万両百貨店外商部奇譚』（2018/1/25）
『向こう側の、ヨーコ』（2018/4/19）
『ツキマトウ 警視庁ストーカー対策室ゼロ係 』（2018/7/27）
『初恋さがし』（2019/5/20）
『三匹の子豚』（2019/8/29）
『坂の上の赤い屋根』（2019/11/22）
『縄紋』（2020/6/2）
『聖女か悪女』（2020/11/20）
『フシギ』（2021/1/22）
『まりも日記』（2021/6/17）
『一九六一 東京ハウス 』（2021/12/22）
『初恋さがし』（2022/2/28）
『シェア』（2022/3/23）