【感想】『一九六一東京ハウス』真梨幸子|誰もがアヤシイ!誰も信用できない

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『一九六一東京ハウス』真梨幸子

ケイチャン

ケイチャン

【2022年19冊目】

今回ご紹介する一冊は、

真梨幸子 著

『一九六一東京ハウス』です。

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【感想】「誰もがアヤシイ!誰も信用できない」

リアリティショーを舞台としたイヤミス

企画されたリアリティショー
それは昭和36年のの生活を
2組の家族が再現するというもの
古き良き懐かしき昭和時代の生活・・
しかしそれは周到に用意された復讐の舞台であった

物語はリアリティショーの企画から始まり
内容が歪に改変されてゆく過程を綴ります
邪悪な意図が織り込まれてゆく・・
冒頭から不穏さが漂うスタートです

東京ハウスとタイトルされるも
選ばれた団地は何故か静岡県
それもかつて殺人事件が起こった
いわくつきの場所
もう事件が起こる予感しかない!

「誰もがアヤシイ!誰も信用できない」

そして登場人物たち
真梨幸子は嫌らしい人々を描くのが上手いね
自分を正当化し他人を貶める言動
憶測に満ちた自分勝手な意見
そして都合悪いことはけして言わない
『信用できない語手たち』ばかり
誰の言葉が正しいのか全くわからないです

リアリティを謳いながら
視聴者好みを演技を求められるショー
出演者のSNSが炎上し
死者が出た事件は記憶に新しいところですが
むろんイヤミスの女王真梨幸子が描く物語ゆえ
事件が起こるのは必至です

殺人事件が発生する!
しかも1961年に起こった事件を再現する形で
しかしそれは黒幕たちが企画したことであった・・

登場人物たちの思惑を超えて拡大していく事件
次々にあらわれるアヤシイ人物
誰が誰を操っているのか
何が真実で何が演技かわからず
混沌としたストーリ展開に胸糞の悪さと
何かが壊れてゆくのを見る気持ち良さが
同居するような感覚です

あなたはリアリティショーが
好きですか?

作品紹介(出版社より)

賞金につられてリアリティショーに集まった二つの家族。古き佳き時代であるはずの昭和の生活は、楽じゃないどころか、令和の今より地獄の格差社会。お気楽バラエティのはずが、外野も巻き込みどんどん不穏になっていく現場は疑心暗鬼で大荒れの末、まさかまさかの超展開。次々と起こる惨劇は虚構か、現実か!?

作品データ

タイトル:『一九六一東京ハウス』
著者:真梨幸子
出版社:新潮社
発売日:2021/12/22

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作家紹介

真梨幸子(まり・ゆきこ)

1964年宮崎県生まれ。
2005年『孤虫症』で第32回メフィスト賞を受賞しデビュー。
2011年に文庫化された『殺人鬼フジコの衝動』が累計60万部を超えるベストセラーに。
他に『5人のジュンコ』『人生相談。』『初恋さがし』『坂の上の赤い屋根』『縄紋』『フシギ』など多数の著書がある。

真梨幸子の作品紹介

『孤虫症』(2008/10/15)
『えんじ色心中』(2014/9/12)
『女ともだち』(2012/1/17)
『深く深く、砂に埋めて』(2011/8/12)
『クロク、ヌレ!』(2012/10/16)
『殺人鬼フジコの衝動』(2011/5/7)
『ふたり狂い』(2016/10/7)
『みんな邪魔』(2011/12/6)
『カンタベリー・テイルズ』(2015/11/13)
『パリ警察1768』(2021/3/11)
『プライベートフィクション』(2012/9/6)
『あの女』(2015/4/22)
『インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実』(2012/11/2)
『おひとり様作家、いよいよ猫を飼う。』(2019/4/10)
『鸚鵡楼の惨劇』(2015/7/7)
『人生相談。』(2017/7/14)
『5人のジュンコ』(2016/6/3)
『お引っ越し』(2017/11/25)
『アルテーミスの采配』(2018/2/7)
『6月31日の同窓会』(2019/2/7)
『私が失敗した理由は』(2019/9/13)
『イヤミス短篇集』(2016/11/15)
『カウントダウン(2017/2/25)
『祝言島』(2017/7/26)
『ご用命とあらば、ゆりかごからお墓まで 万両百貨店外商部奇譚』(2018/1/25)
『向こう側の、ヨーコ』(2018/4/19)
『ツキマトウ 警視庁ストーカー対策室ゼロ係 』(2018/7/27)
『初恋さがし』(2019/5/20)
『三匹の子豚』(2019/8/29)
『坂の上の赤い屋根』(2019/11/22)
縄紋』(2020/6/2)
『聖女か悪女』(2020/11/20)
『フシギ』(2021/1/22)
『まりも日記』(2021/6/17)
一九六一 東京ハウス 』(2021/12/22)

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