【感想】『ひとりでカラカサさしてゆく』江國香織|誰も他人を理解することなんて出来ない

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『ひとりでカラカサさしてゆく』江國香織 

ケイチャン

ケイチャン

【2022年18冊目】

今回ご紹介する一冊は、

江國香織 著

『ひとりでカラカサさしてゆく』です。

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【感想】「誰も他人を理解することなんて出来ない」

喪失の物語

80歳を過ぎた3人の男女
楽しく酒を飲み
過去を懐かしく語り
そして・・

猟銃自殺を遂げる

冒頭で結末が告げられる構成です
不穏当だが、どこか優しい文章
展開が全く見当つかない筋立て
自分がどう感じて良いのか
わからない不可思議な作品です

物語は2つのパートから展開します

自殺する3人の最後の1晩を描くパート
それぞれの来し方が語られます
3人ともがそこそこ満足な人生を過ごしてきた
もう、満足である・・と

自殺する3人の深い諦観
これ以上生きる理由を見いだせない虚無に
僕も動揺をしました
そう、生きる意味なんて本当は無いのだと・・
そんなこと知りたくないです

もう1つのパートは残された家族の話
突然にもたらされた訃報
しかも猟銃自殺という衝撃に動揺します
なぜ?どうして?そんなことを!

「誰も他人を理解することなんて出来ない」

家族のパートは登場人物が多く
それぞれのとらえ方が違います
怒り、悲しみ、裏切られたと感じる者
後悔、思慕、彼らの行動に理解を示すもの
異なる価値観がいつくもあらわれて
僕も自分がどう感じていいのか
わからなくなってしまいました

そうです、どう思うかは自分次第
安易な答えを用意しない優しさ
そこに江國香織の凄さを感じました

あなたにも人生最後の1夜を
共に過ごしたいと思う友はいますか

作品紹介(出版社より)

大晦日の夜、ホテルに集まった八十歳過ぎの三人の男女。彼らは酒を飲んで共に過ごした過去を懐かしみ、そして一緒に猟銃で命を絶った。三人にいったい何があったのか――。妻でも、子どもでも、親友でも、理解できないことはある。唐突な死をきっかけに絡み合う、残された者たちの日常。人生におけるいくつもの喪失、いくつもの終焉を描く物語。

作品データ

タイトル:『ひとりでカラカサさしてゆく』
著者:江國香織
出版社:新潮社
発売日:2021/12/20

電子書籍はこちら↓

作家紹介

江國 香織(えくに・かおり)

1964年東京都生まれ。
1987年「草之丞の話」で「小さな童話」大賞受賞。
1989年「409ラドクリフ」でフェミナ賞受賞。
1992年『こうばしい日々』で坪田譲治文学賞受賞。
1992年『きらきらひかる』で紫式部文学賞受賞。
1999年『ぼくの小鳥ちゃん』で路傍の石文学賞受賞。
2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞受賞。
2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞受賞。
2007年『がらくた』で島清恋愛文学賞受賞。
2010年『真昼なのに昏い部屋』で中央公論文芸賞受賞。
2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞受賞。
2015年『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』で谷崎潤一郎賞を受賞。
他の著書に『ちょうちんそで』『彼女たちの場合は』『去年の雪』など多数。小説のほか詩やエッセイ、翻訳も手掛けている。

江國香織の作品紹介

『つめたいよるに』(1996/5/29)
『こうばしい日々』(1995/5/30)
『綿菓子』(1993/10/1)
『きらきらひかる』(1994/5/30)
『温かなお皿』(1993/6/1)
『ホリー・ガーデン』(1998/3/2)
『なつのひかり』(1999/5/20)
『流しのしたの骨』(1999/9/29)
『落下する夕方』(1999/7/5)
『ぼくの小鳥ちゃん』(2001/11/28)
『すいかの匂い』(2000/6/28)
『神様のボート』(2002/6/28)
『冷静と情熱のあいだ Rosso』(2001/9/25)
『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』(2003/6/20)
『ウエハースの椅子』(2004/5/1)
『ホテルカクタス』(2004/6/17)
『江國 香織とっておき作品集(2001/8/1)
『東京タワー』 (2006/2/28)
『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』(2005/2/18)
『いつか記憶からこぼれおちるとしても』(2005/11/1)
『号泣する準備はできていた』(2006/6/28)
『スイートリトルライズ』(2006/8/1)
『思いわずらうことなく愉しく生きよ』(2007/6/1)
『間宮兄弟』(2007/11/6)
『赤い長靴』(2008/3/7)
『すきまのおともだちたち』(2008/5/20)
『ぬるい眠り』(2007/2/28)
『がらくた』(2010/2/26)
『左岸 上』(2012/2/17)
『雪だるまの雪子ちゃん』(2013/11/28)
『真昼なのに昏い部屋』(2013/2/15)
『抱擁、あるいはライスには塩を 上』(2014/1/17)
『抱擁、あるいはライスには塩を 下』(2014/1/17)
『金米糖の降るところ』(2013/10/8)
『犬とハモニカ』(2014/12/22)
『ちょうちんそで』(2015/5/28)
『はだかんぼうたち』(2016/1/23)
『扉のかたちをした闇』(2016/11/29)
『なかなか暮れない夏の夕暮れ』(2017/2/10)
『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』(2017/11/7)
『物語のなかとそと』(2018/3/20)
『なかなか暮れない夏の夕暮れ』(2019/8/8)
『江國香織童話集』(2018/2/27)
『彼女たちの場合は』(2019/5/2)
『去年の雪』(2020/2/28)
ひとりでカラカサさしてゆく』(2021/12/20)

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