【感想】『川のある街』江國香織|唯一無二の江國ワールド

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川のある街|江國香織

ケイチャン

ケイチャン

【2024年56冊目】

今回ご紹介する一冊は、

江國香織 著

『川のある街』です。

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【感想】「唯一無二の江國ワールド」

連作短編集

流れる水は絶えず変わるのに
全体として何も変わらない川
そのほとりに住む者たちの
連作群像小説です

唯一無二の世界観が、ある

本作は3つの章に分かれています
第1章は元気な子供の姿が書かれます
枝を投げ合う『ゴボウ』遊びの様子は
ひたすらに可笑しい

第2章はカラスが主人公
カラスの目に映る
カラス的な世界観が
これまた興味深い

第3章はがらりと様子が変わります
舞台をドイツに移して
認知症の老女の姿が描かれます
今のことはまだらで定かではないけれど
過去のことはよく覚えていることに
記憶の不思議さを感じます

「唯一無二の江國ワールド」

どのページを開いても
江國香織しかありえない
江國テイストに満ちていて
独創的な世界観に溺れます

様々な登場人物たちの目を
とおして見る世界は
多様で刺激に満ちていて
光にあふれているようです

息を弾ませて遊ぶ子供たち
夜の空を仲間と飛ぶカラス
曖昧な意識でさまよう老女
彼らの生の息吹を感じるようだ

変わりゆく全てを呑み込み
肯定も否定もなく
ただあるがままに
流れゆくような物語でした

たゆたうような読後感が
心地よい

水は流れるゆき
天候によってその様相は
晴の日は穏やかに
大雨の時は激しく変わるが
川はいつもそこにある

作品紹介(出版社より)

はかなく移りゆく濃密な生の営み。

人生の三つの〈時間〉を川の流れる三つの〈場所〉から描く、
生きとし生けるものを温かく包みこむ慈愛の物語。

ひとが暮らすところには、いつも川が流れている。

両親の離婚によって母親の実家近くに暮らしはじめた望子。そのマンションの部屋からは郊外を流れる大きな川が見える。父親との面会、新しくできた友達。望子の目に映る景色と彼女の成長を活写した「川のある街」。

河口近くの市街地を根城とするカラスたち、結婚相手の家族に会うため北陸の地方都市にやってきた麻美、出産を控える三人の妊婦……。閑散とした街に住まうひとびとの地縁と鳥たちの生態を同じ地平で描く「川のある街 Ⅱ」。

四十年以上も前に運河の張りめぐらされたヨーロッパの街に移住した芙美子。認知症が進行するなか鮮やかに思い出されるのは、今は亡き愛する希子との生活だ。水の都を舞台に、薄れ、霞み、消えゆく記憶のありようをとらえた「川のある街 Ⅲ」。

〈場所〉と〈時間〉と〈生〉を描いた三編を収録。

作品データ

タイトル:『川のある街』
著者:江國香織
出版社:朝日新聞出版
発売日:2024/2/7

作家紹介

江國 香織(えくに・かおり)

1964年東京都生まれ。
1987年「草之丞の話」で「小さな童話」大賞受賞。
1989年「409ラドクリフ」でフェミナ賞受賞。
1992年『こうばしい日々』で坪田譲治文学賞受賞。
1992年『きらきらひかる』で紫式部文学賞受賞。
1999年『ぼくの小鳥ちゃん』で路傍の石文学賞受賞。
2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞受賞。
2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞受賞。
2007年『がらくた』で島清恋愛文学賞受賞。
2010年『真昼なのに昏い部屋』で中央公論文芸賞受賞。
2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞受賞。
2015年『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』で谷崎潤一郎賞を受賞。
2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞受賞。さらに島清恋愛文学賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞を受賞。
近作に『去年の雪』『ひとりでカラカサさしてゆく』など。詩作のほか、海外の絵本の翻訳も多数。
父はエッセイストの江國滋。

江國香織の作品紹介

『つめたいよるに』(1996/5/29)
『こうばしい日々』(1995/5/30)
『綿菓子』(1993/10/1)
『きらきらひかる』(1994/5/30)
『温かなお皿』(1993/6/1)
『ホリー・ガーデン』(1998/3/2)
『なつのひかり』(1999/5/20)
『流しのしたの骨』(1999/9/29)
『落下する夕方』(1999/7/5)
『ぼくの小鳥ちゃん』(2001/11/28)
『すいかの匂い』(2000/6/28)
『神様のボート』(2002/6/28)
『冷静と情熱のあいだ Rosso』(2001/9/25)
『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』(2003/6/20)
『ウエハースの椅子』(2004/5/1)
『ホテルカクタス』(2004/6/17)
『江國 香織とっておき作品集(2001/8/1)
『東京タワー』 (2006/2/28)
『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』(2005/2/18)
『いつか記憶からこぼれおちるとしても』(2005/11/1)
『号泣する準備はできていた』(2006/6/28)
『スイートリトルライズ』(2006/8/1)
『思いわずらうことなく愉しく生きよ』(2007/6/1)
『間宮兄弟』(2007/11/6)
『赤い長靴』(2008/3/7)
『すきまのおともだちたち』(2008/5/20)
『ぬるい眠り』(2007/2/28)
『がらくた』(2010/2/26)
『左岸 上』(2012/2/17)
『雪だるまの雪子ちゃん』(2013/11/28)
『真昼なのに昏い部屋』(2013/2/15)
『抱擁、あるいはライスには塩を 上』(2014/1/17)
『抱擁、あるいはライスには塩を 下』(2014/1/17)
『金米糖の降るところ』(2013/10/8)
『犬とハモニカ』(2014/12/22)
『ちょうちんそで』(2015/5/28)
『はだかんぼうたち』(2016/1/23)
『扉のかたちをした闇』(2016/11/29)
『なかなか暮れない夏の夕暮れ』(2017/2/10)
『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』(2017/11/7)
『物語のなかとそと』(2018/3/20)
『なかなか暮れない夏の夕暮れ』(2019/8/8)
『江國香織童話集』(2018/2/27)
『彼女たちの場合は』(2019/5/2)
『去年の雪』(2020/2/28)
ひとりでカラカサさしてゆく』(2021/12/20)
シェニール織とか黄肉のメロンとか』2023/9/15
川のある街』2024/2/7

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