時代

『カフェーの帰り道』嶋津輝 あらすじと感想|人生を彩る、カフェーの文化

ケイチャン(サカキ ケイ)
嶋津輝『カフェーの帰り道』

【2026年60冊目】

今回ご紹介する一冊は、

嶋津輝 著

『カフェーの帰り道』です。

この小説はこんな人にオススメ

歴史の教科書には載らない人々の生活に興味がある人

あらすじと感想

第174回直木賞受賞作

上野の片隅にある流行らない『カフェー西行』
そこで働く女性たちを描く、大正から昭和の、女給さんの物語です

小さなお店に人生が詰まっている

夫の浮気相手を見に行く・・
意を決してカフェーに入店する女性から物語はスタートします
・・修羅場が始まるか?と緊張するが、なんとその女性は
浮気相手と思われる女給さんの立ち振る舞い姿に、心を奪われるのだ

なんて素敵な人!

その女給のタイ子さんは、厚化粧で偶然、竹久夢二風の美女として人気となるのだが
彼女の人生はそこからどう進んで行くのだろうか・・

「人生を彩る、カフェーの文化」

連作の群像劇の本作
『カフェー西行』で働き、辞めて
その後の人生を送る女給さんたちの人生を追って物語は進みます

ゆったりと長い時間を刻む

流行らないカフェー西行
マイペースで人の好い店長のもと、暇がゆえに、あれこれと考え悩む
女給さんたちが紹介されますが、どなたも個性的でオモロイのだ

流されるような美女、タイ子さん
正体不明の嘘つき、美登里さん
気が強い、セイちゃん
…3人を中心にして物語は進みます

もう1つのテーマは、戦争

ストーリーに暗い影を落とすのが、だんだんと激しさを増す、戦争です
物品統制され、家族や恋人が徴兵され、我慢を強いられる戦時中の様子が、辛い

そして戦後へ

敗戦から5年たち『純喫茶・西行』として復活したカフェーに
また3人が集うシーンで物語は終わります

若く美しい女給時代は、ひとときのもの
しかしそれは長々と続く、その後の人生を明るく彩るかけがえのない時なのだ

どこか滑稽で、可笑し味ある優しい文章が好きになりました
力強く生き抜く女性の姿も凛々しく、僕の人生も肯定してくれるようです

とても素晴らしい物語でした

あなたのお気に入り喫茶店はどこですか?

作品紹介(出版社より)

第174回直木三十五賞受賞作

東京・上野の片隅にある、あまり流行(はや)っていない「カフェー西行」。食堂や喫茶も兼ねた近隣住民の憩いの場には、客をもてなす個性豊かな女給がいた。竹久夢二風の化粧で注目を集めるタイ子、小説修業が上手くいかず焦るセイ、嘘つきだが面倒見のいい美登里を、大胆な嘘で驚かせる年上の新米・園子。彼女たちは「西行」で朗らかに働き、それぞれの道を見つけて去って行ったが……。大正から昭和にかけ、女給として働いた“百年前のわたしたちの物語”。

作品データ

タイトル:『カフェーの帰り道』
著者:嶋津輝
出版社:東京創元社
発売日:2025/11/12

作家紹介

嶋津 輝(しまづ・てる)

1969年東京都生まれ。
2016年、「姉といもうと」で第96回オール讀物新人賞を受賞。
2019年、同作を含む短編集『スナック墓場』で書籍デビュー(文庫化にあたり、『駐車場のねこ』と改題)。
2025年刊行の『カフェーの帰り道』で第174回直木賞受賞。
他の著作に『襷がけの二人』がある。『猫はわかっている』『私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー』などのアンソロジーにも作品が収録されている。

嶋津 輝の作品紹介

『スナック墓場』2019/9/12
襷がけの二人』2023/9/25
カフェーの帰り道』2025/11/12

ABOUT ME
ケイチャン
ケイチャン
サラリーマン読書家
年間150冊以上の本(主に小説)を読む、名古屋で働くサラリーマン【ケイチャン】です。ミステリー・サスペンス・イヤミス・恋愛小説を中心に、本の感想とおすすめをご紹介しています。「読む本に迷ったとき」の参考になれば幸いです。好きな言葉は「花には水を、人には愛を!」一緒に読書を楽しみましょう!!
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