『わたしを庇わないで』石田夏穂 あらすじと感想|船頭が多すぎる船は、どこに向かうのか?


【2026年81冊目】
今回ご紹介する一冊は、
石田夏穂 著
『わたしを庇わないで』です。
現代のルッキズムに違和感がある人
あらすじと感想
デブをデブと呼ばない世界は、逆にハラスメントじゃないのか?
お仕事小説の旗手が描く、女性を主人公にした3つの短編集です
ニッチな場所から、世界を撃つ!
①世紀の善人
大企業で働く女性の物語
上司&同僚たちを『群体生物』としてとらえるセンスが、抜群にオモシロイ
②小人二十面相
ディズニーランドへの卒業旅行を間近にした小学6年生の女の子の物語
鏡で自分を見るのが苦手な彼女が、どうルッキズムと向き合うのか?
逆転する価値観がシーソーのように感情を揺さぶります
③わたしを庇わないで

表題作のデブ小説です笑
水産加工会社の広報を担当する女性の物語
デブをデブと呼べない世界を揶揄する、抱腹絶倒の作品です

今、僕がイチオシな作家が石田夏穂です
世界はTVやSNSの情報なんかじゃない
職場あるいは学校の机から半径5メートルの同僚、あるいは同級生たちが、私の世界なのだ
一人称で進む物語の序盤はどの主人公も、常識人なのだがストーリーが進むうちに、閾値を超えたようにとっぴょうしもない行動をとるようになる

ふり幅の大きい展開が、痛快です
コミカルながらガツンと皮肉が効いた文章に、大いに笑わされ考えさせられます
果たしてこの世界は良き方向に進んでいるのか?…という疑問がむくむくと湧きあがってくる
誰もが心地よく、傷つかない世界なんて、実現可能なのだろうか?
無理やり夢を現実にすると、ゆがんでしまいそう!

あなたはこの世界が、良い方向に進んでいると思いますか?
作品紹介(出版社より)
あなたは人に「デブ」と言えますか?
欺瞞の薄皮をぴりりと剥ぎとる、
笑いと皮肉てんこ盛りの、傑作中編小説集!三國造船で働く安井は、職場の人たちを「サンゾウ」と一括りにし、直視せぬようやり過ごしてきた。労働組合からの要請を受け、改めて個々のサンゾウを観察し始めるが……。
――「世紀の善人」小学校を卒業した望は、友人とディズニーランドに行く計画を立てたが、自分の顔が嫌いで乗り気になれない。「奇跡の一枚」を目にしたことで、自意識が変わり……。
――「小人二十面相」タナマル水産の広報部員として働くアヤノは、自他ともに認める「デブ」である。担当する食べ歩き企画で、その食べっぷりと自虐ネタが「おもしろい」と話題になり……。
――「わたしを庇わないで」
作品データ
タイトル:『わたしを庇わないで』
著者:石田夏穂
出版社:集英社
発売日:2026/6/5
作家紹介
石田夏穂(いしだ・かほ)
1991年埼玉県出身。東京工業大学工学部卒。
2021年「我が友、スミス」でデビュー、第45回すばる文学賞佳作。同作は第166回芥川賞候補にもなる。
他著に『ケチる貴方』(第44回野間文芸新人賞候補、第40回織田作之助賞候補)、『黄金比の縁』、『我が手の太陽』(第169回芥川賞候補、第45回野間文芸新人賞候補)がある。
石田夏穂の作品紹介
『我が友、スミス』2022/1/19
『ケチる貴方』2023/1/26
『黄金比の縁』 2023/06/05
『我が手の太陽』 2023/07/13
『ミスター・チームリーダー』2024/11/20
『緑十字のエース』2025/11/19
『わたしを庇わないで』2026/6/5


