『永遠の記憶』東野圭吾 あらすじと感想|その正義は私の役に立ちません!

【2026年95冊目】
今回ご紹介する一冊は、
東野圭吾 著
『永遠の記憶』です。

ガリレオシリーズのファンや人間ドラマの深いミステリーを好む人
あらすじと感想
スーパーでお買い物をしていた内海刑事が刺された
黙秘する犯人の老人の陰にいる若い女性は、誰なのか?
不幸を招く『正しさ』は、許されるのか・・
本作の発売前に著者の訃報が報道されました
ガリレオシリーズ、マスカレードシリーズなど、続きを楽しみにしていた作品ばかりで残念でなりません
東野圭吾さんのご冥福をお祈りいたします
仕事が終わり主婦としてスーパーでお買い物をする内海さん
今夜の献立に悩み、息子のお菓子を買う、幸せな様子だが、その後を付ける1人の男性の姿にアラートが鳴り響きます
見知らぬ老人にナイフで襲われる内海さん
脇腹を刺されるも、幸いなことに軽傷で済む
しかし襲撃の状況に違和感を持った草薙管理官は、ガリレオ先生こと湯川教授に相談を持ち掛けます
・・これは演技のようだ
老人の攻撃は観客に見せつけるようじゃないか・・
湯川のとっぴょうしない指摘に『観客』を探す警察は、1人のレジ係の若い女性に目を付けます、なぜならば・・彼女は内海が(間接的に)殺した女性の娘だったから
そして取調室で若い女性は内海と対決するんだ
本作の前半は内海(警察)によって人生が狂ってしまった
元女子中学生の藤村沙穂(ふじむら さほ)の物語です
鉄壁のアリバイ工作をもって、母と共謀し父を殺すが、湯川教授に見破られ、母は刑務所で自殺する
父が悪で、母が正義だったのに・・なんで!?
女子中学生が考えついた見事なアリバイが素晴らしい
それを冴えわたる論考で見抜く湯川教授もスゴイ
しかしその結果は母の死で、沙穂ちゃんは納得いくはずもない
警察は、悪だ!
本作の後半は内海を刺した老人の人生を振り返る構成になります
沙穂ちゃんに負けず劣らない過酷な人生は、辛いことばかり

2人に訪れた不幸の数々に、涙が出ちゃいます
三崎老人が沙穂ちゃんと違うのが、長い人生を生き延びたこと
激情をほとばせる沙穂と、人生を諦め達観する三崎の姿が、老人と若者の対比となっています
これから人生を始める者、人生のリタイアを考える者
人生とは立場によって見え方が違ってくるものなのでしょうか?

『終活』というキーワードが、湯川教授や草薙管理官から、たびたび発せられ、これまでの作品と違う印象を受けました
そして物語の原点へと繋がります
ガリレオシリーズの中、屈指の傑作とされる『容疑者Xの献身』
その最後の秘密が明かされて、物語は幕を閉じます

シリーズの集大成のような構成に僕は驚きました
著者は本シリーズの終活を成し終えたんですね
数々の見事なトリック、それを上回る冴えわたる論考
警官の罪を問う問題提起もある、終活を描くシリーズの集大成でした

もうガリレオ先生に会えないのがさみしいな・・
作品紹介(出版社より)
ガリレオシリーズ、待望の最新長編!
内海薫が刺された。
犯人は70歳ほどの老人。飛び降り自殺を図るも失敗し、
取り調べには黙秘を貫く。
やがて内海に恨みを抱く若い娘が捜査線上に浮かぶが、
老人との関係は不明。それどころか、内海への本当の復讐はこれからだった。
彼女が迫った「究極の選択」とは一体――。
一方、湯川と草薙は、老人の“ある持ち物”を手掛かりに、
「忘れてはいけない謎」の扉を開く。
シリーズ最新、最高峰の謎がいま明かされる。
作品データ
タイトル:『永遠の記憶』
著者:東野圭吾
出版社:文藝春秋
発売日:2026/8/5
作家紹介
東野 圭吾(ひがしの・けいご)
1958年大阪府生まれ。
1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。
1999年『秘密』で、第52回日本推理作家協会賞を受賞。
2006年には『容疑者Xの献身』で、第134回直木賞を受賞した。
他著に、『超・殺人事件』『白夜行』『手紙』『赤い指』など多数。
東野 圭吾の作品紹介
『放課後』
『秘密』
『容疑者Xの献身』
『超・殺人事件』
『白夜行』
『手紙』
『赤い指』
『魔力の胎動』 2018/3/23
『沈黙のパレード』2018/10/11
『クスノキの番人』2020/3/17
『白鳥とコウモリ』2021/4/7
『透明な螺旋』2021/9/3
『マスカレード・ゲーム』2022/4/20
『魔女と過ごした七日間』2023/3/17
『あなたが誰かを殺した』2023/9/21
『クスノキの女神』2024/5/23
『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』2024/1/24
『架空犯』2024/11/1
『マスカレード・ライフ』2025/7/30
『永遠の記憶』2026/8/5
…他多数


