ミステリー

『修羅の桜』秋吉理香子 あらすじと感想|競い合うことの喜び

ケイチャン(サカキ ケイ)
現在の画像: 秋吉理香子『修羅の桜』あらすじと感想

【2026年54冊目】
今回ご紹介する一冊は、
秋吉理香子 著
『修羅の桜』です。

この小説はこんな人にオススメ

中学受験のリアルな裏側を知りたい、イヤミスやミステリー小説が好き

あらすじと感想

中学受験ミステリー

学年トップの少年が行方不明になる
事故?それとも・・事件!
難関進学塾に通う『受験の鬼たち』を描く、どんでん返しミステリーです

受験システムとは、正しいのか?

なんとしても『開成』に受かる!
超難関中学の受験に挑む、4家族の『母』の視点から進みます

母親は受験戦争の総司令官!!

子どもの中学受験のために、全てをつぎ込む、母親たち
それに比べて、父親たちは母親以上に熱心になるもの
まーまー協力するもの、ちょっと否定的なもの、…と様々な様子です

子どもたちの成績に、一喜一憂する、母親たち
成績が落ちたらもう、地獄…キレて怒りまくって、大変なのだ

子どもたち本人の気持ちは?

塾でトップだった多門(たもん)くんが、ある日突然、行方不明となる
心配するよりも、ライバルが減ったことを喜ぶ親たちだが・・

昌也(まさや)くんの家からは、血染めの多門くんの服が見つかり
英太郎(えいたろう)くんの家からは、多門くんの通塾リュックが見つかるのだ

いったい子供たちは何をしでかしたのだろうか?

「競い合うことの喜び」

とんでもない物品を見つけてしまった母親たちは、似たような選択をする
・・とりあえず、黙っておこう、だって、もうすぐ受験なんだから・・

人の生死よりも受験を優先するのだ

日に日に憔悴する、多門の母を前に、証拠物品を秘匿し続ける彼女たち

・・あ~、マズいよ、早く言っちゃえよ とも
・・致し方ない、だって自分の子供のほうが大事だからな・・
とも、思ってしまいます

秘密を胸にしまいながら、多門の父母に協力して
捜索ボランティアしたり、小学校の活動を一緒にする

嫌らしい展開にゾワゾワが止まらない

さて、完全に子供達が『殺ってしまった』展開を匂わせて物語は進んでゆくが
これは作者のミスリード、後半からいよいよ想定外の『どんでん返し』が始まります

*注意)以下、物語の真相に触れるネタバレとなります

実は4人の子供達が示し合わせた狂言行方不明に
たまたま同じタイミングで息子を殺そうとした多門の父親が犯人だったんです

え?父親が犯人なんて最近おこった事件と似てるよね!

構図はちょっと異なるが、
京都府南丹市小5男児行方不明事件を連想してしまいました

さて、南丹市事件と異なるのが、多門くんが生きて生還すること
そしていよいよ『開成中学』を受験するところで2度目のどんでん返しとなるのです

サッカーや野球と同じように、僕たちはこの『受験』に挑み
楽しんでいるんんだ、と多門くんは言うのです

え?嫌々じゃなかったの!

自分たちの人生を賭けて挑戦を楽しむ、子供たちのたくましい姿をもって物語は終わります

イヤミスの女王、秋吉作品らしからぬ、清々しいエンディングにびっくりです

過酷な中学受験を舞台にしたイヤらしい人間模様の物語かと思いきや
まさかのどんでん返しで終わる、清々しい作品でした
少ないページの文庫ながら、読み応え十分で大満足です

さて、僕の家庭の受験は、浪人した上に、後期日程までずれ込んで合格した長男の地獄のような大学受験から、前期日程で現役合格した次男をもって終了しました!今はホッとした気持ちです

子どもの受験はホント大変だったな~
あなたの家の『受験』はいかがですか?

作品紹介(出版社より)

読者を何度も翻弄する中受×ミステリ

“どんでん返し”の名手の叙述トリックが炸裂する衝撃作!

消えた成績トップの男児と、血に染まったジャンパー……犯人は我が子なのか?

中学受験本番まであとわずか。
高レベルの受験塾で、やり手塾長が直接指導する「開成コース」で
しのぎを削る親子の焦りと苛立ちがピークに達したある日、成績トップの男児が消えた。
家出か、事故か、事件か。
彼は生きているのか、それとも――。

警察も出動し街が騒然とする中、ある男児の家で血のついたジャンパーが見つかる。
まさか我が子が? 

夫の高卒を気にする妻、共働きのバリキャリ妻、シングルマザー、裕福な家庭の専業主婦。
成績優秀な息子を第一に想う4人の母親を中心に、物語は読者を何度も裏切りながら疾走します。

『暗黒女子』で女子高生の悪意を、『聖母』で母性の狂気を暴き出した
“どんでん返しの名手”秋吉理香子さんによる、
痛烈なリアリティと叙述トリックで読者を翻弄する
ジェットコースターのような“中学受験ミステリー”が、文庫書き下ろしで登場!

作品データ

タイトル:『修羅の桜』
著者:秋吉理香子
出版社:文藝春秋
発売日:2026/3/4

作家紹介

秋吉理香子(あきよし・りかこ)

兵庫県育ち、大阪在住。早稲田大学第一文学部卒業。
カリフォルニア州ロヨラ・メリーマウント大学大学院にて、映画・TV番組制作修士号取得。
2008年、短篇「雪の花」でYahoo!JAPAN文学賞を受賞。
2009年に『雪の花』でデビュー。
他の著書に『暗黒女子』『婚活中毒』『ジゼル』『サイレンス』などがある。

秋吉理香子の作品

『暗黒女子』 2013/06/19
『放課後に死者は戻る』 2014/11/19
『聖母』 2015/09/16
『自殺予定日』 2016/04/28
『絶対正義』 2016/11/10
『サイレンス 2017/01/26
『機長、事件です! 空飛ぶ探偵の謎解きフライト』 2017/03/25
『ジゼル』 2017/09/26
『婚活中毒』 2017/12/08
『鏡じかけの夢』 2018/05/22
『ガラスの殺意』 2018/08/21
『灼熱』 2019/07/25
『眠れる美女』 2020/10/15
『終活中毒』 2022/07/28
月夜行路』 2023/08/09
無人島ロワイヤル』2023/10/18
殺める女神の島』2024/3/4
修羅の桜』2026/3/4

ABOUT ME
ケイチャン
ケイチャン
サラリーマン読書家
年間150冊以上の本(主に小説)を読む、名古屋で働くサラリーマン【ケイチャン】です。ミステリー・サスペンス・イヤミス・恋愛小説を中心に、本の感想とおすすめをご紹介しています。「読む本に迷ったとき」の参考になれば幸いです。好きな言葉は「花には水を、人には愛を!」一緒に読書を楽しみましょう!!
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