現代

『空き家と移住』垣谷美雨 あらすじと感想|綺麗ごとで生きられるほど、人生は甘くない

ケイチャン(サカキ ケイ)
垣谷美雨『空き家と移住』

【2025年26冊目】

今回ご紹介する一冊は、

垣谷美雨 著

『空き家と移住』です。

この小説はこんな人にオススメ

住宅事情や不動産問題に関心がある人

あらすじと感想

現代小説

東京は高くて家なんて買えない…だったら田舎に暮らせばいいじゃん!
・・そんなに簡単にはいきません・・
忖度なしで繰り広げられる住宅ラプソディです

令和は都会も田舎も暮らすのが、大変なのだ

東京23区のマンションの平均価格が1億円を超えたとのニュースが流れる今日この頃
これはもうダメだと嘆く30代のカップルから物語はスタートします

かと言って賃貸も高いんだ・・

いっぽう田舎の地元である風穂町の実家を継いだ60代の夫婦は
なんとかこの不(負)動産が売れないものかと悩んでいる

なんと町への寄付も断られてしまった・・

だったら風穂町に住めばいいのでは?と思うのだが
そこで大問題となるのが田舎の閉鎖的でプライバシー0の人間関係です
さて人生の一大決心となる『家をどうするか問題』を、彼らはどう解決するのでしょうか?

「綺麗ごとで生きられるほど、人生は甘くない」

群像劇で進む本作、もう1人の重要人物が、60代夫婦の1人娘の望美(のぞみ)ちゃんです
30代・お一人さまの彼女は、大嫌いな会社の人間関係に見切りをつけ、風穂町に移住する

本書は第2の人生を生きる望美の成長の物語でもあります

当初はオドオドと内気で無力なかんじの望美が、心機一転とばかりにキャッシュで家を買い、自分の生活を作り上げてゆくのが、とても良い
するどい人間観察力と、冷徹に損得勘定するとこも、とっても良いのです

物語に『毒』を潜ませる垣谷作品

垣谷美雨の魅力のひとつが清濁併せ吞むような人間描写です
本作は舞台が閉鎖的で男尊女卑な田舎ということもあり、善良な仮面をかぶった登場人物たちが突然、嫉妬やマウント合戦を始めたり、イヤミを言ったり差別をするシーンに、毒を飲んだような気持ちになる

人間って怖いな

その一例が『不倫かけおち事件』です
読書メーターやXではこの顛末に否定の声が多いようですが、僕はままならない事件に振り回されるリアルさを感じましたね
人は間違いを犯すもの、正しさだけでは生きていけない

あなたはどう思いますか?

さて作品の結末ですが、これだけいろいろな登場人物がいるのだから、みんな仲良く大団円とはなりません
スッキリしないと思われる方もいるでしょうが、それぞれが落としどころをすり合わせていくのが人間関係というものなのでしょう

現代の社会問題をテーマに、人間関係の難しさを描き、人生の歩き方を考えさせられる
気づきがある物語でした

あなたは、都会と田舎とどちらに住みたいですか?

作品紹介(出版社より)

「何も私は芸能人やセレブが住む高級なタワーマンションを買おうっていうんじゃないのよ。庶民的な小さなマンションでいいの。その程度の物件も買えないって、この世の中はどうなってんの?」
大学受験を乗り越え、正社員として勤めている史緒里と大河。贅沢もせず真面目に暮らしているのに、都内にマンションの一つも買えないことに、史緒里は怒りとため息を抑えきれない。そんな時、都内の一等地には空き家が増えているというニュースが流れてきた。駅チカの家なのに、誰も住まずに朽ち果てていくなんて……。二人が早速、空き家の見学に行くと、近所の老婦人が話しかけてくる。隣の一軒家に一人で暮らし、日々の食事も宅配のお弁当ですませているという彼女に同情した二人は、その家の雑務をこなしたり、食事に誘うようになる。やがて彼女から、あなたちのような人に、この家を譲りたいと言われるようになり……。
一方、母が暮らしていた田舎・風穂町の実家の処分に思いを巡らせていた星野路代は、実家の売却を決め、地元で同級生が営む不動産会社を訪れる。そこで思わぬ販売価格を聞いた彼女は、夫とともに海外旅行の計画を立て始める。優雅な生活を夢見る路代だが、いつまで経っても購入者は現れず、何度となく販売価格を下げてく。同時に、ブログで田舎の良さをアピールしようと、様々な工夫を凝らしていく。そんな折、この家の購入に興味を持った史緒里と大河から連絡を受けるのだが……。
『老後の資金がありません!』の著者が描く、真面目でコミカルな現代住宅事情。

作品データ

タイトル:『空き家と移住』
著者:垣谷美雨
出版社:朝日新聞出版
発売日:2026/5/7

作家紹介

垣谷 美雨(かきや・みう)

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『女たちの避難所』『夫の墓には入りません』『姑の遺品整理は、迷惑です』『うちの子が結婚しないので』などがある。

垣谷 美雨の作品紹介

『優しい悪魔』(2008/6/20)
『竜巻ガール』(2009/6/11)
『夫の彼女』(2011/4/22)
『禁煙小説2011/12/15)
『エール!』(2013/4/5)
『夫のカノジョ』(2013/10/1)
『あなたの人生、片づけます』(2013/11/6)
『結婚相手は抽選で』(2014/6/12)
『if: サヨナラが言えない理由』(2014/11/11)
『避難所』(2014/12/22)
『七十歳死亡法案、可決』(2015/2/10)
『ニュータウンは黄昏れて』(2015/6/26)
『子育てはもう卒業します』(2016/7/13)
『あなたの人生、片づけます』(2016/11/10)
『後悔病棟』 (2017/4/6)
『女たちの避難所』(2017/6/28)
『老後の資金がありません』(2018/3/23)
『夫の墓には入りません』(2019/1/22)
『農ガール、農ライフ』(2019/5/15)
『うちの子が結婚しないので』(2019/9/27)
『あなたのゼイ肉、落とします』(2019/11/14)
『うちの父が運転をやめません』(2020/2/21)
『リセット』(2020/4/16)
『定年オヤジ改造計画』(2020/9/11)
『希望病棟』(2020/11/6)
『四十歳、未婚出産』(2021/2/4)
『代理母、はじめました』(2021/2/20)
『もう別れてもいいですか』(2022/1/7)
『姑の遺品整理は、迷惑です』(2022/4/14)
あきらめません!』(2022/5/25)
墓じまいラプソディ』2023/12/20
マンダラチャート』2024/11/20
空き家と移住』2026/5/7

ABOUT ME
ケイチャン
ケイチャン
サラリーマン読書家
年間150冊以上の本(主に小説)を読む、名古屋で働くサラリーマン【ケイチャン】です。ミステリー・サスペンス・イヤミス・恋愛小説を中心に、本の感想とおすすめをご紹介しています。「読む本に迷ったとき」の参考になれば幸いです。好きな言葉は「花には水を、人には愛を!」一緒に読書を楽しみましょう!!
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