【感想】『K+ICO』上田岳弘|迷いのない道を、導いて欲しい

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上田岳弘『K+ICO』(ケー プラス イコ)

ケイチャン

ケイチャン

【2024年37冊目】
今回ご紹介する一冊は、

上田岳弘 著

『K+ICO』です。

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【感想】「迷いのない道を、導いて欲しい」

現代文学

私たちは孤独である
と同時に
私たちは孤独ではない
巨大なシステムに組み込まれた
巡り合わせの物語です

この出会いは、必然

現代を生きる若者たち
ウーバーイーツ配達員の大学生、Kと
人気TikTokerの女子大生、ICOの
2人の生活を中心に物語は巡ります

いつか姫を助けるんだ・・
そんな子供じみた夢を胸に
自転車を漕ぎ、金を稼ぐついでに
心身を鍛え、英語力を強化する、Kくん

なにやら求道者のような
ストイックな雰囲気があります
都会という荒野で
修行する行者のよう

いっぽう学費と生活費を稼ぐために
TikTokで自慢の胸をゆらす、ICOちゃん
狙い通りにバズり、必要以上に稼いでいるが
そんな生活に疲れているもよう

フードデリバリーを注文するも
食べずに捨てることもあるし
恋愛も上手くいかないし
TikTokerもう辞めようかな・・

そんな2人を繋ぐのが
やはりフードデリバリーサービス
迷いのない瞳のKくんと
迷える子羊のICOちゃんは
必然的に出会うのでした

「迷いのない道を、導いて欲しい」

フランツ・カフカの長編小説
『城』と『審判』がモチーフと
なっているようです
僕は未読でしたが、2作とも
未完ということです

ストイックで求道的なKくんと
過ちを犯したことを気に病むICOちゃんは
キリストと、娼婦であるマグダラのマリア
のような関係性にも思えました

うがち過ぎでしょうか?

対照的な男女の出会いを描き
そこで物語は終わる
その後の展開を読み手に委ねる
膨らみのある結末でした

どんなシステムに組み込まれようと
そこで生きるのは
思い悩む人間たち
バラバラで孤独のようだが
何かで繋がっている僕たち

その関係性を動かすことで
物語は動き出す・・
そんなふうに感じました

あなたの物語は

何ページめぐらいですか?

作品紹介(出版社より)

ウーバーイーツの配達員をしているK。TikTokerをしている女子大生のICO(イコ)。巨大な「システム」の中に生きる二人の人生が交錯する時、何かが動きはじめる。実力派作家がデビュー10周年に放つ、渾身作。

「死んだら、なにかの熱になれる。すべての生き物のなれのはてだ」

作品データ

タイトル:『K+ICO』
著者:上田岳弘
出版社:文藝春秋
発売日:2024/2/9

作家紹介

上田岳弘(うえだ・たかひろ)

1979年、兵庫県生れ。早稲田大学法学部卒業。
2013年「太陽」で新潮新人賞を受賞し、デビュー。
2015年「私の恋人」で三島由紀夫賞を受賞。2016年「GRANTA」誌のBest of Young Japanese Novelistsに選出。
2018年『塔と重力』で芸術選奨新人賞を受賞。
2019年に「ニムロッド」で芥川賞を受賞。
その他著書に『太陽・惑星』『異郷の友人』『キュー』『旅のない』…などがある。

上田岳弘の作品紹介

『太陽・惑星』2014/11/27
『私の恋人』 2015/6/30
『塔と重力』2017/7/31
『ニムロッド』2019/1/26
『異郷の友人』 2016/01/29
『キュー』2019/05/29
『旅のない』2021/09/15
『引力の欠落』2022/3/29
『最愛の』2023/09/05
K+ICO』2024/2/9

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