ケイチャン
【2023年122冊目】
今回ご紹介する一冊は、
秋吉理香子著
『月夜行路』です。
もくじ
【感想】「みんながそれぞれ、物語の主人公」
私はあなたたちの家政婦じゃない！
夫は浮気、子供たちは身勝手
愛が失われた家を出て
初恋の人を探しに行くんだ
あなたは誕生日を
祝ってもらってますか？
元バレー選手の涼子さん
報われることが少ない
専業主婦の生活に
鬱屈した日々です
・・誕生日も祝ってもらえない
そして最後のひとわらが乗せられる
夜、夫が浮気相手に呼び出されて
出掛けてしまったのだ
・・もう、許せない！
激情のままに
夫を追いかけて銀座へ来る
そこで涼子さんを待っていたのは
魅力的なニューハーフのママでした
すらりとした長身
はっきりとした顔立ち
悩ましい胸と腰つき
まるで銀幕のスターのよう
美しいママは言う
わたしが初恋探しに
ついていってあげるわ
こうして2人は大阪へと向かうのだ
自らも小説を執筆するというママ
するどい洞察力で、涼子さんを助ける
・・でもどうして、ここまでしてくれるの？
道中に出くわす
様々なトラブルを解決しつつ
涼子さんの初恋の人
カズトを探すんだ！
女２人の楽しそうな旅路に
読んでいて嬉しくなってきます
すっかり仲良くなった
涼子さんとママ
2人がそれぞれを補って
トラブルを解決してゆく
バディ物としての
楽しみもあります
そして2人の旅が終わるとき
涼子さんは自分の物語が
再び動き出すことを知る
自分を探す旅でもありました
最後に明かされる
ママの物語にも
ホロリとされました
なるほどこういうことだったのね
僕も自分を見失ったら
旅に出よう
その時はあなたも
一緒に来てくれませんか？
作品紹介（出版社より）
わたしは誕生日すら祝ってもらえない――。冷えきった夫との関係や子どもとの生活に孤独感を募らせていた沢辻涼子は、我慢の糸が切れたある日、家出を決行する。飛び出した夜の街で出会ったのは、洞察力と推理力に優れた美しいBARのママ、野宮ルナ。ルナに自分が抱える報われなさの正体が「大学時代の元彼」であることを言い当てられた涼子は、彼女と二人で元彼を探すため大阪へ旅に出ることに……。元彼探しが難航する中、次々と事件に巻き込まれる二人は、無事に想い人と再会できるのか――。仕掛けに騙され泣かされる、圧巻のサプライズエンディング！
作品データ
タイトル：『月夜行路』
著者：秋吉理香子
出版社：講談社
発売日：2023/8/9
作家紹介
秋吉理香子（あきよし・りかこ）
兵庫県育ち、大阪在住。早稲田大学第一文学部卒業。
カリフォルニア州ロヨラ・メリーマウント大学大学院にて、映画・TV番組制作修士号取得。
2008年、短篇「雪の花」でYahoo！JAPAN文学賞を受賞。
2009年に『雪の花』でデビュー。
他の著書に『暗黒女子』『婚活中毒』『ジゼル』『サイレンス』などがある。
秋吉理香子の作品紹介
『暗黒女子』 2013/06/19
『放課後に死者は戻る』 2014/11/19
『聖母』 2015/09/16
『自殺予定日』 2016/04/28
『絶対正義』 2016/11/10
『サイレンス 2017/01/26
『機長、事件です! 空飛ぶ探偵の謎解きフライト』 2017/03/25
『ジゼル』 2017/09/26
『婚活中毒』 2017/12/08
『鏡じかけの夢』 2018/05/22
『ガラスの殺意』 2018/08/21
『灼熱』 2019/07/25
『眠れる美女』 2020/10/15
『終活中毒』 2022/07/28
『月夜行路』 2023/08/09