【感想】『それでも旅に出るカフェ』近藤史恵|美味しいものを食べたら、だいたい大丈夫だよ

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それでも旅に出るカフェ|近藤史恵

ケイチャン

ケイチャン

【2023年81冊目】

今回ご紹介する一冊は、

近藤史恵 著

『それでも旅に出るカフェ』です。

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【感想】「美味しいものを食べたら、だいたい大丈夫だよ」

各国料理小説

コロナ禍で萎縮する日々に喜びを!
めずらしい各国の料理を提供する
カフェ・ルーズ
そこで人々は心と舌で
旅に出るのだ

食いしん坊の皆さんはご用心ください
お料理やスイーツの美味しそうな描写に
ぎゅううっつ~って
お腹が鳴っちゃうよ笑

コロナ禍の緊急事態も
少し落ち着いてきたものの
まだまだ自粛生活やマスクから
抜けきれない日々が続く
今日も(リアルで)誰とも話してない・・

リモートワークが続き
主人公の瑛子(えいこ)の心は孤独で砂漠のよう
そんな中で再開したのが
旅好きの元同僚の円(まどか)が経営する
カフェ・ルーズです

各国の料理を研究する

円の作る聞いたこともない
めずらしい料理たちは
曇天の雲を払う涼風のよう

コロナと仕事と、そして社会の
不条理に疲れた瑛子たち女性を
優しく温かくもてなす
オアシスとなるのです

「美味しいものを食べたら、だいたい大丈夫だよ」

新彊ウイグルの砂漠の
ドライブインで食べた、ラグメン
イスタンブールの橋の
たもとで食べた、サバサンド

今思いついた
僕が旅先で食べて美味しかったものです
食事って記憶とダイレクトに繋がってて
忘れられないですね

カフェ・ルーズに集う女性たちは
美味しい料理と
円の鋭い洞察力とアドバイスで
うっぷんをはらったり
心配事を解決してゆきます

コロナ禍によって
たくさんの人が影響を受けました
今は少しずつ平時に戻っているけど
まだ心から楽しむ気持ちに
なれない人も多いでしょう

せめて心だけでも
外国に思いをはせて
自由を味わいたい・・
そんな作者の思いが伝わるようです

優しさと共感に溢れたストーリーで
やわらかいお湯に浸かったように
心がほどけてゆく物語でした

僕はいつかオーストリアの
カフェ・ザッハーで
ザッハトルテを食べてみたいな!

あなたが海外で
食べてみたいものは
なんですか?

作品紹介(出版社より)

世界のさまざまなカフェメニューを提供する、カフェ・ルーズ。円が営むカフェもコロナ禍の影響を受けていて……。日常のちいさな事件や、モヤモヤすることを珍しいお菓子が解決していく。「こんなカフェに行きたい!」の声続々のコージーミステリー第二弾。

作品データ

タイトル:『それでも旅に出るカフェ』
著者:近藤史恵
出版社:双葉社
発売日:2023/4/19

作家紹介

近藤史恵(こんどう・ふみえ)

1969年大阪府生れ。
1993年『凍える島』で鮎川哲也賞を受賞し、作家デビュー。
2008年『サクリファイス』で大藪春彦賞を受賞。
ほかに『ときどき旅に出るカフェ』『インフルエンス』『震える教室』『わたしの本の空白は』、「ビストロ・パ・マル」シリーズ、「清掃人探偵・キリコ」シリーズ、「猿若町捕物帳」シリーズなど、著書多数。

近藤史恵の作品紹介

『凍える島』(1993年9月)
『ねむりねずみ』(1994年7月)
『ガーデン』(1996年2月)
『スタバトマーテル』(1996年7月)
『散りしかたみに』(1998年3月)
『演じられた白い夜』(1998年10月)
『カナリヤは眠れない– 整体師・合田力』(1999年7月)
『アンハッピードッグズ』(1999年10月)
『茨姫はたたかう– 整体師・合田力(2000年6月)
『この島でいちばん高いところ』(2000年10月)
『巴之丞鹿の子– 猿若町捕物帳』(2001年10月)
『遙かなる時空の中で– 遙かなる夢ものがたり』(2001年12月)
『桜姫』(2002年1月)
『遙かなる時空の中で2』(2002年5月)
『青葉の頃は終わった』(2002年10月)
『ほおずき地獄– 猿若町捕物帳』(2002年10月)
『天使はモップを持って– 清掃人探偵・キリコ』(2003年3月)
『Shelter(シェルター)– 整体師・合田力』(2003年9月)
『狼の寓話– 南方署強行犯係』(2003年10月)
『遙かなる時空の中で2– 八葉幻夢譚』(2004年2月)
『二人道成寺』(2004年3月)
『モップの精は深夜に現れる– 清掃人探偵・キリコ』(2005年2月)
『遙かなる時空の中で– 花がたみ』(2005年3月)
『賢者はベンチで思索する』(2005年5月)
『黄泉路の犬– 南方署強行犯係』(2005年9月)
『にわか大根– 猿若町捕物帳』(2006年3月)
『ふたつめの月(短編集)』(2007年5月)
『モップの魔女は呪文を知ってる– 清掃人探偵・キリコ』(2007年6月)
『サクリファイス』(2007年8月)
『タルト・タタンの夢』(2007年10月)
『遙かなる時空の中で3– 紅の月』(2007年12月)
『ヴァン・ショーをあなたに』(2008年6月)
『寒椿ゆれる– 猿若町捕物帳』(2008年11月)
『エデン』(2010年3月)
『アネモネ探偵団– 香港式ミルクティーの謎』(2010年3月)
『薔薇を拒む』(2010年5月)
『あなたに贈るX(キス)』(2010年7月)
『砂漠の悪魔』(2010年9月)
『モップの精と二匹のアルマジロ– 清掃人探偵・キリコ』(2011年2月)
『アネモネ探偵団2– 迷宮ホテルへようこそ』(2011年3月
『三つの名を持つ犬』(2011年5月)
『サヴァイヴ』(2011年6月)
『ホテル・ピーベリー』(2011年11月)
『ダークルーム』(2012年1月)
『アネモネ探偵団3– ねらわれた実生女学院』(2012年3月)
『シフォン・リボン・シフォン』(2012年6月)
『はぶらし』(2012年9月)
『キアズマ』(2013年4月)
『土蛍– 猿若町捕物帳』(2013年6月)
『さいごの毛布』(2014年3月)
『胡蝶殺し』(2014年6月)
『私の命はあなたの命より軽い』(2014年11月)
『岩窟姫』(2015年4月)
『昨日の海と彼女の記憶』(2015年7月)
『スーツケースの半分は』(2015年10月)
『モップの精は旅に出る– 清掃人探偵・キリコ』(2016年4月)
『スティグマータ』(2016年6月)
『シャルロットの憂鬱』(2016年10月)
『マカロンはマカロン』(2016年12月)
『ときどき旅に出るカフェ』(2017年4月)
『インフルエンス』(2017年11月)
『震える教室』(2018年3月)
『わたしの本の空白は』(2018年5月)
『みかんとひよどり』(2019年2月)
『歌舞伎座の怪紳士』(2020年1月)
『夜の向こうの蛹たち』(2020年6月)
たまごの旅人』(2021年7月)
おはようおかえり』(2021年11月)
『シャルロットのアルバイト』(2022年2月)
筆のみが知る 幽霊絵師火狂』(2022/6/3)
それでも旅に出るカフェ』(2023/4/19)

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