【感想】『嫌いなら呼ぶなよ』綿矢りさ|嫌らしいんだが、愛おしいんだ

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嫌いなら呼ぶなよ|綿矢りさ

ケイチャン

ケイチャン

【2022年131冊目】
今回ご紹介する一冊は、
綿矢りさ 著
『嫌いなら呼ぶなよ』です。

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【感想】

コロナ禍で同調圧力が増す現代を舞台にした
自分らしくあろうと足掻く人たちを描く
4つの短編集です

さすがは天才綿矢りさ!
癖の強いキャラを描き出す力量は一品です
あっという間に巻き込まれて背負い投げをくらうように
キャラクター達の魅力に一本とられちゃうんだ

「嫌らしいんだが、愛おしいんだ」

①眼帯のミニーマウス
一瞬の気の緩みで整形がバレ
執拗な整形ネタでいじられるハメに
こうなったらやけくその完全整形だ!

ロリータファッションを愛する
主人公の独特な世界観と
水槽で共食いする金魚のような
同僚とのやりとりが怖いです

『オーラの発表会』の主人公であだ名づけの天才
海松子(みるこ)の名前が出てきて嬉しかったです
まね師こと萌音ちゃんも出るかなと期待したの
ですがこちらは出てこず残念だったな

②神田タ
推しのユーチューバにアンチ認定されていた?
可愛さ余って憎さ百倍
ぽやんちゃんが衝動のままにとる行動とは?

フリーアルバイターの、ぽやんちゃんの
どこかズレた人との距離感が
極端なのですがちょっと共感できました

③嫌いなら呼ぶなよ
友人夫婦たちとの楽しいバーベキューが
僕の裁判になった!?

不倫罪の被告となった僕の
身勝手な言い訳に何故か
ふんふんと納得しそーになりました

④老は害で若も輩
作家綿矢りさのセルフパロディ
作家綿矢vsインタビュアーとのバトルに巻き込まれた
編集者の内田
何故か矛先が内田に向かう災厄となり
こうなりゃヤケ酒の結末とは

柔らかいグローブを嵌めて
ノーガードで殴り合うような
作家綿矢vsインタビュアーのメール応酬が
ホントに面白い
が、このやり取りに巻き込まれるとなると
怖いことこの上ないのです

天才綿矢りさが描く
どれも過剰でどこかズレたキャラクターたちの
しかしやはり他人の評価が気になり恐れる心の
2面性の描写が素晴らしいです

嫌らしさと愛おしさが同居する
人間味溢れるキャラクターたちの物語に
あなたも振り回されてみませんか

作品紹介(出版社より)

「一応、暴力だろ。石でも言葉でも嫌悪でも」。妻の親友の家に招かれた僕。だが突然僕の行動をめぐってミニ裁判が始まり……心に潜む “明るすぎる闇“に迫る綿矢りさ新境地! 全4作収録

作品データ

タイトル:『嫌いなら呼ぶなよ』
著者:綿矢りさ
出版社:河出書房新社
発売日:2022/7/26

作家紹介

綿矢りさ(わたや・りさ)


1984年京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒業。
2001年『インストール』で第38回文藝賞を受賞しデビュー。
2004年『蹴りたい背中』で第130回芥川賞を受賞。
2012年『かわいそうだね?』で第6回大江健三郎賞を受賞。
2020年『生のみ生のままで』(上・下)で第26回島清恋愛文学賞を受賞。

綿矢りさの作品紹介

『インストール』(2001年11月)
『蹴りたい背中』(2003年8月)
『夢を与える』(2007年2月)
『勝手にふるえてろ』(2010年8月)
『かわいそうだね?』(2011年10月)
『ひらいて』(2012年7月)
『しょうがの味は熱い』(2012年12月)
『憤死』(2013年3月)
『大地のゲーム』(2013年7月)
『ウォーク・イン・クローゼット』(2015年10月)
『手のひらの京』(2016年9月)
『私をくいとめて』(2017年1月)
『意識のリボン』(2017年12月)
『生のみ生のままで』(2019年6月)
『オーラの発表会』(2021年8月)
『あのころなにしてた?』(2021年9月)
嫌いなら呼ぶなよ』2022年7月)

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