『その針がさすのは』羽田圭介 あらすじと感想|世界を変えるのは、赤ちゃんです

【2026年50冊目】
今回ご紹介する一冊は、
羽田圭介 著
『その針がさすのは』です。
不妊治療や夫婦間の認識のズレに興味がある
あらすじと感想
閉鎖した中野サンプラザを横目に
中野ブロードウェイの鮮魚店で買い物して
僕は中野で暮らしている・・
停滞した時を進める、現代文学です
どうして僕はここで生きているの?
30代男性の『僕』が主人公
目下の悩みの種が『妊活』です
妻と共に不妊治療に励みますが
なかなか妊娠することが出来ない
もう諦めるべきなのか・・
そんな僕が住む街が『中野』です
閉鎖中の中野サンプラザを始め
再開発が遅れている地域だが
昭和の香りを残す街は親しみよく
暮らしやすいんだ
進まない、妊活
時の流れが遅い、中野
しかし変化はやってくる
そのキーワードは・・
『陸軍中野学校』の日満電信ケーブルと
ロレックス『GMTマスターⅡ』なんだ
物語は『僕』の生活ぶりを描いて進む
妻との妊活、大学生時代のバンド仲間
と飲みに行き、会社に仕事に行ったり
リモートで行かなかったりする毎日です
もう1人の主人公は、中野!
僕が暮らす『中野』の描写が
くどいぐらいに細かく描かれます
レトロと言うほど古くはないが
どこか時代に取り残された感があり
魅惑的なのだ
ちょっと住んでみたいかも
さて『妊活』がなかなか実を結ばず
気落ちする妻のようすを見て『僕』は
じょじょに厭世的な気持ちになってゆく
出奔した友達の父親に共感したりする
人生って、なんなのだろう??
そんな時になんと、妻が妊娠します
待望の妊娠に大喜びするかと思いきや
なんと、『僕』は逃げてしまうのだ
盗んだ自転車で走り出す、『僕』
無目的で走ること数時間で
我に返った時
世界が変わったことに気がつきます
真新しい気持ちで帰路につき
住み慣れた『中野』が
未知の街のように思うところで
物語は終わります

やっぱり、赤ちゃんはスゴい!という結末で
いいのかな~、どうなのかな~?と感じました←なんのこっちゃ(笑)
ギミックとして登場する
『陸軍中野学校』と『GMTマスターⅡ』も
物語の世界観を強化し、示唆を高めて
興味をそそるものでした
『生きる意味』と言う問いを
中野という特徴ある舞台で描く
人生の転換期の物語

現代に生きる者として共感しました

あなたの暮らす街はどんな特徴がありますか?
作品紹介(出版社より)
僕が住む中野は再開発の真っ最中だ。サンプラザが閉館し、高層マンションの建設が進んでいる。そんなこの街が戦前、満州国と電信ケーブルで繋がっていたらしい。不妊治療手術を受けた僕は、断絶した歴史と接続してしまったのだろうか──。芥川賞作家の想像力が、中野区を舞台に爆発する。第2回東京中野文学賞大賞受賞作。
作品データ
タイトル:『その針がさすのは』
著者:伊予原新
出版社:新潮社
発売日:2025/11/27
作家紹介
羽田圭介(はだ・けいすけ)
1985年、東京都生まれ。
2003年、高校在学中の17歲時に「黒冷水」で第40回文藝賞を受賞し、小説家デビュー。
明治大学商学部商学科卒。
2015年、「スクラップ・アンド・ビルド」で第153回芥川賞を受賞。
その他の著書に『走ル』『盗まれた顔』『メタモルフォシス』『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』『成功者K』『ポルシェ太郎』『Phantom』などがある。
羽田圭介の作品紹介
『黒冷水』(2005/11/1)
『不思議の国の男子』(2011/4/5)
『走ル』(2010/11/5)
『ミート・ザ・ビート』(2015/9/2)
『御不浄バトル』(2015/10/20)
『「ワタクシハ」』(2013/1/16)
『隠し事』(2016/2/8)
『盗まれた顔』(2014/10/9)
『メタモルフォシス』(2015/10/28)
『スクラップ・アンド・ビルド』(2018/5/10)
『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』(2018/11/15)
『成功者K』(2017/3/9)
『5時過ぎランチ』(2018/4/20)
『ポルシェ太郎』(2019/4/12)
『Phantom』(2021/7/14)
『滅私』(2021/11/30)
『タブー・トラック』2024/8/22
『その針がさすのは』2025/11/27


