【感想】『わたしたちに翼はいらない』寺地はるな|僕たちはこの地上で生きるしかない

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わたしたちに翼はいらない|寺地はるな

ケイチャン

ケイチャン

【2024年15冊目】

今回ご紹介する一冊は、

寺地はるな 著

『わたしたちに翼はいらない』です。

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【感想】「僕たちはこの地上で生きるしかない」

現代小説

中学生の時傷ついた心は
まだ癒えない・・
悩み、傷つき、戸惑う
3人の男女の物語です

仏陀のことば
サイの角のようにただ独り歩め・・
・・そんなことが出来るなら、苦労はしない

思春期真っ只中の中学生のとき
イジメを受けた園田くんと朱音さん
過去の傷がじゅくじゅくと痛む

いっぽうイジメする側のグループに
いた莉子ちゃんだが
彼女も望まぬ加害を受けていました

そんな3人の男女が大人になり
子供を育てる年齢になった
親世代になっても、それぞれに
悩み、傷つき、戸惑う・・

この気持ちに終止符を打つのだ
・・イジメっ子を殺す
そう決めた園田くんの復讐を軸に
3人の運命は交差するのでした

「僕たちはこの地上で生きるしかない」

複雑に絡まる心情描写が
見事な寺地はるな作品
ぐるぐると高速回転する
3人の想いの渦に巻き込まれるようでした

わたしたちは友達ではない

思いは届かないし
噛み合わない
友達じゃない3人だけど
瞬間的に触れ合うココロが
優しいんだ

物語は園田くんの復讐を軸にして
シングルマザー
モラルハラスメント
いじめトラウマと
社会問題を絡めて進み
どう生きればいいのか?
と僕らに問いかけているようです

むろん正解など、ない

かつて傷付きやすい子供だった3人が
しかし大人になってもまだ傷付き
でもここで、この地上で生きるしかない
たゆまず歩く僕らの物語でした

優しいエピローグに
心がふっと軽くなりました
寺地はるなの作品は
救いがありますね

作品紹介(出版社より)

同じ地方都市に生まれ育ち現在もそこに暮らしている三人。4歳の娘を育てるシングルマザー――朱音。朱音と同じ保育園に娘を預ける専業主婦――莉子。マンション管理会社勤務の独身――園田。いじめ、モラハラ夫、母親の支配。心の傷は、恨みとなり、やがて……。2023年本屋大賞ノミネート、最旬の注目度No.1作家最新長篇。

作品データ

タイトル:『わたしたちに翼はいらない』
著者:寺地はるな
出版社:新潮社
発売日:2023/8/18

作家紹介

寺地はるな(てらち・はるな)

1977年佐賀県生まれ。 大阪府在住。
2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。
他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。

寺地はるなの作品紹介

『ビオレタ』(2017年1月)
『今日のハチミツ、あしたの私』(2017年3月)
『みちづれはいても、ひとり』(2017年10月)
『架空の犬と嘘をつく猫』(2017年12月)
『大人は泣かないと思っていた』(2018年7月)
『正しい愛と理想の息子』(2018年11月)
『夜が暗いとはかぎらない』(2019年4月)
『わたしの良い子』(2019年9月)
『希望のゆくえ』(2020年3月)
『水を縫う』(2020年5月)
『やわらかい砂のうえ』(2020年7月)
『彼女が天使でなくなる日』(2020年9月)
『どうしてわたしはあの子じゃないの』(2020年11月)
『ほたるいしマジカルランド』(2021年2月)
『声の在りか』(2021年5月)
『雨夜の星たち』(2021年6月)
ガラスの海を渡る舟』(2021年9月)
タイムマシンに乗れないぼくたち』(2022年2月)
カレーの時間』(2022年6月)
川のほとりに立つ者は』(2022年10月)
白ゆき紅ばら』(2023年2月)
わたしたちに翼はいらない』2023/8/18

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