『テロル』月村了衛 あらすじと感想|人生が狂ったのは、誰のせい?


【2026年83冊目】
今回ご紹介する一冊は、
月村了衛 著
『テロル』です。
社会派サスペンスや重厚なミステリーが好きな人
あらすじと感想
元総理の暗殺事件の動画を見て、おれは衝撃を受けた・・
暗殺者を研究するうちにたどり着いた、世界の真実についての物語です
今の世界はどうなるのだろうか?
事件の動画を見て興奮する主人公の三上(みかみ)
非正規雇用の警備員で余裕のない日々を送っています
・・おれは底辺なのだ
そんな彼に暗殺を実行した犯人を研究するという目的が芽生えます
研究の同士として宗教二世の沼井と出会い調査を進めるうちに、フェイクニュースを作成させ流布している『ある組織』に気が付く
はたして奴らが世界を狂わせている、黒幕なのだろうか?
非正規雇用を余儀なくされ社会のピラミッドの底辺で生活する、三上の深い絶望感が作品全体に影を落としています
SNSのフェイクニュースを信じ、疑問を感じることなく差別し、自分よりもさらに弱い者を攻撃する姿が、悲しい・・
世界を悪くしている者は、誰だ?
さてフェイクニュースを調査する三上がたどり着いたのは、半グレ組織のボス、金久保(かなくぼ)です
三上と金久保との対話が本作のクライマックスです
世界を悪くしているのは、全ての人間だ!
無自覚で無責任な、全ての人々こそ、世界を悪くしている元凶だ
すなわちこの世界はとっくの昔に終わっているのだ・・
深い諦観と絶望感が漂うエンディングに冷汗が流れます
現実の世界も終わっているんじゃないのか?、と

SNSで大量の差別的投稿が氾濫する、今の時代に激しい警鐘を鳴らす物語でした

あなたはこの世界が
終わってると、感じていますか?
作品紹介(出版社より)
政治と宗教の癒着に対する復讐として元総理を銃撃した襲撃犯。その事実は、社会の底辺で生きる非正規雇用の警備員・三上自身にも力があるという啓示であり、人生を変える契機となった。犯人である松原の思想を理解しようと動き出す三上は、同じく松原に心酔する宗教二世の沼井と出会い、思想の分析と継承を目的にした研究会を起ち上げる。しかし、松原の模倣犯が現れ、三上は激しく動揺する。浅薄な動機による模倣は松原の名誉を傷つける「冒瀆」ゆえ、危機感を胸に思想の純粋性を守るため、同志を募り、深い理解と実践を目指していくが――。現代日本の苦しみと欺瞞を炙り出した著者の新機軸。
作品データ
タイトル:『テロル』
著者:月村了衛
出版社:集英社
発売日:2026/5/26
作家紹介
月村 了衛(つきむら りょうえ)
1963年大阪府生れ。早稲田大学第一文学部卒。
2010年『機龍警察』で小説家としてデビュー。冒険小説の新たな旗手として高く評価される。
2012年『機龍警察 自爆条項』で日本SF大賞を受賞。
2013年『機龍警察 暗黒市場』で吉川英治文学新人賞を受賞。
2015年『コルトM1851残月』で大藪春彦賞を、『土漠の花』で日本推理作家協会賞を受賞。
2019年『欺す衆生』で山田風太郎賞を受賞している。
他の著書に『東京輪舞(ロンド)』『奈落で踊れ』『白日』『機龍警察 白骨街道』『ビタートラップ』などがある。
月村了衛の作品紹介
『機龍警察』(2010年3月)
『機忍兵零牙』(2010年9月)
『機龍警察 自爆条項』(2011年9月)
『機龍警察 暗黒市場』(2012年9月)
『神子上典膳 一刀流無想剣 斬』(2012年10月)
『黒警』(2013年9月)
『コルトM1851残月』(2013年11月)
『機龍警察 未亡旅団』(2014年1月)
『土漠の花』(2014年9月)
『機龍警察 火宅』(2014年12月)
『槐(エンジュ)』(2015年3月)
『影の中の影』(2015年9月)
『ガンルージュ』(2016年2月)
『水戸黄門 天下の副編集長』(2016年7月)
『黒涙』(2016年10月)
『追想の探偵』(2017年4月)
『機龍警察 狼眼殺手』(2017年9月)
『コルトM1847羽衣』(2018年1月)
『東京輪舞』(2018年10月)
『悪の五輪』(2019年5月)
『欺す衆生』(2019年8月)
『暗鬼夜行』(2020年4月)
『奈落で踊れ』(2020年6月)
『白日』(2020年11月)
『非弁護人』(2021年4月)
『機龍警察 白骨街道』(2021年8月)
『ビタートラップ』(2021年10月)
『脱北航路』(2022年4月)
『地上の楽園』2025/10/21
『テロル』2026/5/26



