『アンチ・グッドモーニング』八木詠美 あらすじと感想|的外れな優しさは、大迷惑です


【2026年82冊目】
今回ご紹介する一冊は、
八木詠美 著
『アンチ・グッドモーニング』です。
仕事や日常に息苦しさを感じている人
あらすじと感想
ウェルビーイングな上場会社でリモートワークし、優しい夫と暮らす私なのだが、今夜も眠れないんだ・・
管理された社会のストレスを描く現代小説です
リモートワークは24時間働けるんだよ

え!?
夫と2人暮らしの野上有希(ゆき)さん
彼女の会社は働き方改革の最前線のような存在です
だが、リモートワークで働く有希の姿をみると、快適な会社ってなんだろう?と考えてしまいます
良いのか?悪いのか?最先端の社内ルール
①チャットは即レス
②スタンプは常にポジディブに
③大切なのは批判よりも解決力

ぬぬぬコレって、文句言わずにずっと働けってことでは?
そんな有希に訪れるのが不眠症です
寝れない彼女を心配して夫もいろいろと協力するのだが、やはり眠りはやってこない
そんな時、有希の前に妖しい『リモート講師』が現れ、魂と引き換えに眠らせてやると言うのだ
この取引は成立するのだろうか・・
寝れない有希を心配して夫がすることが、ニワトリを飼うことでした

え!?どうしてこうなる?
あまりに的外れな行動に、有希もニワトリも大迷惑です
会社の圧力がスゴイ!
有希を苦しめる最大の敵がリモートワークです
定時なく休日もなくスマホに通知が来る地獄に、疲弊する彼女の姿が哀れです

同僚たちもドンドン休職してゆくのが、怖い
メフィストフェレスはリモートでやってくる!
本作で最も不気味な存在がeラーニング講師の出冬覚(いでふゆ さとる)です
あらゆる講座の講師を務め、なんでもわかっているように話し、赤いヘビイチゴ色の眼鏡をかけた彼こそ本作のメフィストフェレス的存在
彼が語る『世界のありよう』こそ、現代が地獄の1歩手前である証拠のようでした
逃げよう!
真面目な者ほど損するのが、今の社会なんだ
恐れず堂々と、逃げよう!…こんなふうに感じてしまいました

僕の会社はリモートワークはぜんぜん進んでいません
あなたの仕事は、快適ですか?
作品紹介(出版社より)
ウェルビーイングを強いる会社、丁寧な暮らしを推奨する夫。ポジティブ主義のやさしい社会がもたらす、見えない抑圧から脱出できるか? 世界で注目される著者の「不眠」をめぐる冒険譚!
眠りは突然奪われた。
仕事のチャット通知に追い立てられ、自分を失った「わたし」。
ウェルビーイングを強要する会社、丁寧な暮らしを推奨する夫、怪しげなeラーニング講師。安眠のために奔走するうち、いつしか不思議な世界に迷い込んで──。
ポジティブ至上主義の現代社会に反逆する、“不眠”アドベンチャー長篇!デビュー作『空芯手帳』が世界26か国・地域で異例のヒット中!
世界が注目する著者による、新たなる“不眠”文学の誕生!
作品データ
タイトル:『アンチ・グッドモーニング』
著者:八木詠美
出版社:河出書房新社
発売日:2026/6/29
作家紹介
八木詠美(やぎ・えみ)
1988年、長野県生まれ。『空芯手帳』で第36回太宰治賞を受賞し、デビュー。
2024年に『休館日の彼女たち』で、第12回河合隼雄物語賞を受賞。
その他の著書に『喋る猫はいなくても』。
八木詠美の作品紹介
『空芯手帳』2020/12/2
『休館日の彼女たち』2023/3/20
『喋る猫はいなくても』 2026/2/13
『アンチ・グッドモーニング』2026/6/29


