『翠雨の人』伊予原新 あらすじと感想|好きなことを、夢中でしただけ

【2026年49冊目】
今回ご紹介する一冊は、
伊予原新 著
『翠雨の人』です。
理系や科学の世界が好き、骨太な人間ドラマが好き
あらすじと感想
女に学問はいらない・・
そんな風潮のなか女性科学者として
第二次世界大戦後の日本の先頭を走った
猿橋勝子博士の生涯を描く物語です
人は死後、何を残すのか?
第二次世界大戦の最中
勝子さんは悩んでいた
大学進学するべきか、否か
・・だって女で大学へ行く者は
ほとんどいないのだから・・
紆余曲折ありながら、新設の
帝国女子理学専門学校に進み
その後、気象台研究部に勤め
勝子の研究人生は続く
私は結婚せず、子も持たなかった
しかし勝子の研究はやがて
国際的な評価を得ることになり
世界平和に大きく貢献し、それは
彼女に続く女性研究者を育てる
道しるべとなるのでした
高校生の同級生が続々と結婚し
子を産み育てるなかで
ただひとり独身を貫き
研究ひとすじで生きる、勝子は
何を感じていたのだろうか?
人と比べても、意味はない
私にとって意味があることは
研究のみ

その道を歩み続ける、勝子の姿が凛々しい!
平和のために立ち上がる、女性たち
水爆実験による『死の灰』の研究により
平和運動の先頭立つことになった、勝子
感情ではなく、科学的な見地により
多くの人たちを動かすことになります
アメリカに勝つ、勝子
物語の後半で、勝子はアメリカに渡り
高名な科学者に対し挑むことになる
完全にアウェイな環境のなか
単身で戦う姿に、熱くなる
さて大きな業績を上げた、勝子は
研究者から1段ステージを上げて
女性研究者の地位向上を進める
オピニオンリーダーとなります
後進の女性研究者たちに囲まれた
勝子の晩年の姿はたくさんの
子や孫たちに恵まれた
祖母のようでした
自分の信じた道を進み
成すべきことを成す

愚直な人生の尊さを感じる物語でした
作品紹介(出版社より)
「雨は、なぜ降るのだろう」。少女時代に雨の原理に素朴な疑問を抱いて、戦前、女性が理系の教育を受ける機会に恵まれない時代から、科学の道を志した猿橋勝子。戦後、アメリカのビキニ水爆実験で降った「死の灰」による放射能汚染の測定にたずさわり、後年、核実験の抑止に影響を与える研究成果をあげた。その生涯にわたる科学への情熱をよみがえらせる長篇小説。
作品データ
タイトル:『翠雨の人』
著者:伊予原新
出版社:新潮社
発売日:2025/7/30
作家紹介
伊与原 新(いよはら・しん)
1972年大阪府生まれ。
神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。
2010年『お台場アイランドベイビー』で第30回横溝正史ミステリ大賞を受賞。
2019年『月まで三キロ』で第38回新田次郎文学賞、静岡書店大賞、未来屋小説大賞を受賞。
他著に『八月の銀の雪』『オオルリ流星群』『宙わたる教室』『ルカの方舟』『博物館のファントム』『ブルーネス』など多数。
伊与原 新の作品紹介
『お台場アイランドベイビー』2010/9/25
『プチ・プロフェスール』2011/9/10
『ルカの方舟』2015/10/15
『磁極反転』2014/8/22
『ブルーネス』2016/8/26
『コンタミ 科学汚染』2018/3/21
『オオルリ流星群』2022/2/18
『宙わたる教室』2023/10/20
『藍を継ぐ海』2024/9/26
『翠雨の人』『翠雨の人』


