【感想】『あくてえ』山下紘加|優しくしたら、つけあがるだけでしょ

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あくてえ|山下紘加

ケイチャン

ケイチャン

【2022年112冊目】

今回ご紹介する一冊は、

山下紘加 著

『あくてえ』です。

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【感想】「優しくしたら、つけあがるだけでしょ」

第167回芥川賞候補作

なんで私ら母娘が
こんな厄介者をしょいこまなきゃならないの?

わがままなババア
それに共依存する母
その関係を批判的に見る娘
いびつな三角関係の家族を描く物語です

浮気をして出て行った夫の母の世話をする
理不尽で僕なら絶対に納得出来ないですね
しかし血の繋がらない義母の世話を
母は優しく献身的にする
それを冷ややかに見つめる娘の、ゆめ
・・なんでそこまでするのよ

この祖母が憎たらしく描かれます
口が悪く、下品で、でかい声で悪態をつく
くそババアなんです

「優しくしたら、つけあがるだけでしょ」

19歳のゆめは小説家志望の派遣社員
同世代の若者が大学などで青春を謳歌するなか
昼は会社で仕事
夜は家事(介護)手伝い
なんとか時間を捻出して、小説の執筆をする日々

とにかくババアの手がかかるんだ

作中でも何度か倒れ入院するババア
その度に大騒ぎになり
生活のリズムが乱れまくる
しかも・・可愛げがない

祖母のためにと世話をする母にも文句ばかり
あげくに出て行った父と
浮気相手と作った男の子ばかりを
気にかけ、恋しがる

え!あたしら母娘はいったいあなたの何なのさ?怒

日々祖母と言い合いをし
あくてえ(悪態)をつく、ゆめ
けれどもゆめが本当に文句を言いたい相手は
母親のように思えました

いったいアンタはなんなのさ!
全て一人でしょいこんで
相手の言いなりを無制限に飲み込む
まるで自分を罰しているかのように
お母さん、いいかげんにしてよッ・・と

祖母の生活費も払わなくなった父と
セックスばかりしたがる彼氏との比較が
切ない

祖母を嫌悪しながらも
いざとなったら介護する、ゆめ
自分も共依存の関係に
取り込まれていることに気が付きながらも
日々の生活のために
今やるべきこと
ひとつずつ片づけるのでした

小説家になる理想と
介護生活の現実とを
鮮やかに対比させつつ
庶民の日々を描いた物語でした

作品紹介(出版社より)

あたしの本当の人生はこれから始まる。小説家志望のゆめは90歳の憎たらしいばばあと母親と3人暮らし。ままならなさを悪態に変え奮い立つ、19歳のヘヴィな日常。第167回芥川賞候補作

作品データ

タイトル:『あくてえ』
著者:山下紘加
出版社:河出書房新社
発売日:2022/7/15

作家紹介

山下 紘加 (やました・ひろか)

1994年、東京都生まれ。
2015年、『ドール』で第52回文藝賞を受賞しデビュー。
著書に『クロス』『エラー』などがある。

山下紘加の作品紹介

『ドール』(2015/11/19)
『クロス』(2020/4/16)
『エラー』(2021/5/25)
『あくてえ』(2022/7/15)

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