【感想】『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』多崎礼|愛と憎しみが、人生を彩る

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レーエンデ国物語 喝采か沈黙か|多崎礼

ケイチャン

ケイチャン

【2023年157冊目】

今回ご紹介する一冊は、

多崎礼 著

『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』です。

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【感想】「愛と憎しみが、人生を彩る」

異世界ファンタジー

愛しているからこそ
憎んでしまうんだ
天才と凡人に生まれた
双子の兄弟の運命を描く物語です

どうしても比べてしまうのが、兄弟というもの

兄は天才の脚本家、リーアン
弟は凡庸な俳優、アーロン
容姿は瓜二つなのに
才能だけが、どうしてこんなに違うのか?

アーロンの苦しい心情から
物語はスタートします
それは兄、リーアンに対する思い
愛憎がせめぎ合う痛々しい思いです

そんな2人の関係に
変化が訪れます
リーアンが新しい戯曲のテーマに
消し去られたレーエンデの英雄を選んだからです

それが前作、月と太陽の主人公
テッサ・ダールのことでした

生涯を賭けた大傑作を作るために
消し去られた英雄を求めて
そしてレーエンデ復活のために
双子の兄弟は、旅に出るのだ

「愛と憎しみが、人生を彩る」

テッサの行跡を探す旅路
それは2人の関係性を
再確認することにもなるが
なかなか素直になれないのが
男兄弟というもの

素直になって仲直りしろよ!
と、思ってしまうことでしょう

やがてテッサの真の業績を知り
ついに完成する
リーアンの最高傑作『月と太陽』

やったぜ!これでレーエンデは救われる
と、喜ぶ2人ですが
2人の周りに付きまとう暗い影に
悲劇的な結末の予感がします

さあ、2人の運命はいかに?

双子の兄弟の関係性に
始終する本作
愛のために、どちらが
どれだけ犠牲になれるのかと
チキンレースのような展開が
ひたすら切ない・・
・・もっと素直になれないものか

この展開は前作『月と太陽』の
テッサとルチアーノの関係性と
よく似ていましたが
結末は正反対でしたね

各章の間に差し込まれる
演劇『月と太陽』のシーンが
ミステリー小説の要素も備えて
本作の彩りを増しています

愛と憎しみは等しく
人生を色鮮やかにするもの・・
そんな思いにさせる
美しい悲劇でした

2人の共作である演劇が
上演されてから
レーエンデがどのように変化したのか?
と、次作が楽しみでなりません

作品紹介(出版社より)

シリーズ累計13万部突破!
絶賛続々の王道ファンタジー

☆☆☆

運命の幕が上がる。
たった一曲が世界を変えた。
灯火(はじまり)は、愛を知らない双子だった。

☆☆☆

ルミニエル座の俳優アーロウには双子の兄がいた。
天才として名高い兄・リーアンに、特権階級の演出家から戯曲執筆依頼が届く。

選んだ題材は、隠されたレーエンデの英雄。
彼の真実を知るため、二人は旅に出る。

果てまで延びる鉄道、焼きはらわれた森林、差別に慣れた人々。
母に捨てられた双子が愛を見つけるとき、世界は動く。

作品データ

タイトル:『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』
著者:多崎礼
出版社:講談社
発売日:2023/10/18

作家紹介

多崎礼(たさき・れい)

2006 年、 『煌夜祭』 で第 2 回 C・NOVELS 大賞を受賞しデビュー。
著書に 『〈本の姫〉 は謳う』、『血と霧』シリーズなど。
2023年『レーエンデ国物語』第一~二巻を発売。

多崎礼の作品紹介

『“本の姫”は謳う』シリーズ
『夢の上』シリーズ
『血と霧 』シリーズ

『煌夜祭』 2013/5/25
『神殺しの救世主』 2015/07/01
『叡智の図書館と十の謎』  2019/02/22
レーエンデ国物語』2023/6/14
レーエンデ国物語 月と太陽』2023/8/9
レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』2023/10/18

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