【感想】『レーエンデ国物語』多崎礼|この運命は、私が選んだ選択なのだ!

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レーエンデ国物語|多崎礼

ケイチャン

ケイチャン

【2023年134冊目】

今回ご紹介する一冊は、

多崎礼 著

『レーエンデ国物語』です。

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【感想】「この運命は、私が選んだ選択なのだ!」

ファンタジー大河小説

美しくも呪われた大地
レーエンデ
運命に導かれ訪れた
父娘の冒険を描く物語です

さあ、行こう、
ファンタジーの世界へ!

まず目を引くのが
美しく装丁された表紙です
久々に手に取る
王道ファンタジー長編に
期待が深まります

そこに広がるのは
美しくも、厳しく
優しくも、排他的な
大陸中央部で山々に囲まれた
僻地のレーエンデです

ここに訪れるのが
隣国の王弟、ヘクトル・シュライヴァ
騎士団長も兼ねる歴戦の英雄です
そして娘の、ユリア・シュライヴァ
うら若きお姫様です

険しい山道に、街道を整備する

その目的のために
奔走する父ヘクトル
いっぽう娘ユリアは
恋に落ちる

影のある美貌の射手
トリスタン・ドゥ・エルウィン
最初は取っつきにくく
冷淡に思われたのだが
次第に打ち解け
秘めた優しさに触れるうちに
2人の心は接近する

しかし明確に一線を引くのは
なぜなの?

それは呪われた業病と
ユリアの持って生まれた
宿命のためでした

「この運命は、私が選んだ選択なのだ!」

トリスタンを蝕む
レーエンデ特有の風土病
銀呪病(ぎんしゅびょう)
治癒法がない、致死の病です

病にかかる
いきさつがせつない
トリスタンの心が
凍てつくはずです

恋と病の狭間で
悩むユリアでしたが
彼女の運命の歯車も
大きく進むのでした

希望の王か
破滅の悪魔か
運命の子をはらむユリアに
試練が訪れるのだ・・

物語の後半は
怒涛の展開となります
迫りくる軍勢
驚異の天変地異
そして真の敵です

厳しい運命にあらがい
それぞれの宿命を
全うしようとする
ユリアたちが輝いて見えます

神話か伝承のような
ドラマチックな描き方で
本巻は幕を閉じますが
幻想的なレーエンデの
その後が気になります

次巻が楽しみですね

作品紹介(出版社より)

異なる世界、西ディコンセ大陸の聖イジョルニ帝国。母を失った領主の娘・ユリアは、結婚と淑やかさのみを求める親族から逃げ出すように冒険の旅に出る。呪われた地・レーエンデで出会ったのは、琥珀の瞳を持つ寡黙な射手・トリスタン。
空を舞う泡虫、琥珀色に天へ伸びる古代樹、湖に建つ孤島城。ユリアはレーエンデに魅了され、森の民と暮らし始める。はじめての友達をつくり、はじめて仕事をし、はじめての恋を経て、親族の駒でしかなかった少女は、やがて帰るべき場所を得た。時を同じくして、建国の始祖の予言書が争乱を引き起こす。レーエンデを守るため、ユリアは帝国の存立を揺るがす戦いの渦中へと足を踏み入れる。

作品データ

タイトル:『レーエンデ国物語』
著者:多崎礼
出版社:講談社
発売日:2023/6/14

作家紹介

多崎礼(たさき・れい)

2006 年、 『煌夜祭』 で第 2 回 C・NOVELS 大賞を受賞しデビュー。
著書に 『〈本の姫〉 は謳う』、『血と霧』シリーズなど。
2023年『レーエンデ国物語』第一~二巻を発売。

多崎礼の作品紹介

『“本の姫”は謳う』シリーズ
『夢の上』シリーズ
『血と霧 』シリーズ

『煌夜祭』 2013/5/25
『神殺しの救世主』 2015/07/01
『叡智の図書館と十の謎』  2019/02/22
レーエンデ国物語』2023/6/14

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