
ケイチャン
【2025年9冊目】
今回ご紹介する一冊は、
エマ・トルジュ 著
『血の魔術書と姉妹たち』です。
もくじ
【感想】「妖しく美しい、魔術書の世界」
1年に1度、必ず逃げなければならない・・
父との約束を破ったエスターに追手が迫る!
血で記された魔術書を巡る壮大な
大人向けファンタジーです
謎の魔術書に命を奪われる父エイブの姿から
物語はスタートします
生前、エイブは2人の娘に言い残します
姉のエスターは年に1度逃げ、家に帰らないようにと
妹のジョアンナは日に1度、家に結界を張るようにと
しかし18歳から10年も逃亡生活を続けるエスターは
ついに父との約束を破ることを決意する
愛する人が出来たんだ
彼女と一緒にいるんだ
鏡の魔法によって
自らに追手がかかったことを知るエスター
ここから緊迫の逃亡劇が始まる
だが彼女を追っているのは
何者なのだろうか?
物語はあと2人の主人公
家で魔術書を守り、引きこもり生活を送る
妹のジョアンナと
謎の巨大組織、ライブラリで魔術書を記す
英国貴族のニコラスが登場する
個別に進む3つのストーリーが
中盤で合流すると一気に加速します

ケイチャン
・・面白い!
妖しく美しい、魔術書の世界に
溺れます
魔術書に翻弄される3人の運命も悲しく
辛い生きざまに同情してしまう
主人公たちと同化し
一体感となります
2人の姉妹に厳しい掟を課すエイブを始め
それぞれの親たちが
それぞれのやり方で
子供らを守っていました
え!でも、そのやり方は変じゃないの?
かえって子供達を縛ってるんじゃない?
と思うこともあるのですが
しかしそれも、愛なのです!

ケイチャン
姉妹の家族に対する想いに
ウルウルと感情移入しました
また家族と縁遠いニコラスを
ヨシヨシと慰めてあげたくなる

ケイチャン
また恋愛パートもしっかりあって
情熱的なエスターと
ロマンスに憧れるジョアンナと
違った味わいで
2度美味しかったです笑

ケイチャン
南極からの逃亡劇から
イギリス、アメリカと大陸をまたぐ
スケールの大きさも良く
冒険した気持ちになれました
血で書かれたという恐ろし気な魔術書ですが

ケイチャン
なかには『空飛ぶ魔法のじゅうたんの魔術書』
などコメディ的なものや
なんの役に立つの?という葬送のフリーレンに
出てきそうな魔術書もあり
ほっこりすることもありました
魔術書を巡る冒険を描く
妖しく美しい、大人のファンタジー

ケイチャン
運命に抗う主人公たちの姿に
ハラハラドキドキでした

ケイチャン
あなたの実家の片隅に
ひょっとすると
音を出す古い本が
あったりしませんか?
作品紹介(出版社より)
血のインクで綴られた本に導かれ、
再会した姉妹の運命が動き出す。
バーモント州の片田舎に屋敷を構えるカロテイ家は、祖父の代から収集した魔術書を守って暮らしてきた。
本に記された、命を奪ったり火を放ったりするような数々の魔術は世界の理を揺るがすもので、魔術書を手に入れ、その力を手にしたいと狙う人間が後を絶たなかった。
カロテイ家の異母姉妹、エスターとジョアンナは、父エイブとともに、本を守る結界の呪文が張られた家でひっそりと隠れ暮らしていたが、魔術が効かない姉エスターは家を離れ、各地を転々とする生活を送るようになる。いっぽう、父の死後、魔術を使う力を父から受け継いだ妹のジョアンナは家に閉じこもり、魔術書と生きる生活を続けていた。
だがエスターに魔術書を狙う者の魔の手が迫り、それをきっかけに姉妹は再会し、魔術書をめぐる陰謀渦巻く世界に足を踏み入れることになる――
〈ニューヨーク・タイムズ〉紙が選ぶ「2023年ベストSF&ファンタジー」の一冊に選ばれた、秘密の書物と姉妹をめぐるミステリアス・ファンタジー。
作品データ
タイトル:『血の魔術書と姉妹たち』
著者:エマ・トルジュ
出版社:早川書房
発売日:2024/8/21
作家紹介
エマ・トルジュ
モンタナ大学ミズーラ校で修士号を取得。
現在はミネソタ州ミネアポリス在住。マカレスター大学で教鞭をとっている。
SF雑誌に短篇を掲載後、2023年に『血の魔術書と姉妹たち』で長篇デビュー。
大きな話題を呼び、“ニューヨーク・タイムズ”紙が選ぶ「2023年ベストSF&ファンタジー」および、“100 Notable Books of 2023”の一冊に選出された。
エマ・トルジュの作品紹介
『血の魔術書と姉妹たち』2024/8/21