【感想】『トヨトミの世襲』梶山三郎｜サラリーマン読書家“ケイチャン”の感想・レビュー

ケイチャン

【2024年28冊目】

今回ご紹介する一冊は、

梶山三郎 著

『トヨトミの世襲』です。

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【感想】「社長は王様で何してもいいの？」

企業小説

愛知県豊臣市を本拠地とする
巨大企業グループ
トヨトミ自動車を描く
シリーズ３作めです

ト〇タ自動車とは関係ないはず？笑

世界的な企業でありながら
創業家が絶大な力を持つ
摩訶不思議な会社があります
それがトヨトミ自動車です

前作で地獄のアメリカ議会公聴会を
見事に乗り切り、危機を脱した章男・・もとい
豊臣統一(とよとみとういつ)社長
自信をつけ権力を不動にした彼が
次にしたことは・・粛清です

自分の意に沿わない者
自分の地位を脅かす実力ある者
そういった者はみな
左遷、降格、転籍です

こわいッ怖い
サラリーマンなら誰しも
もう反対意見を述べようなど
とは思わなくなるでしょう

統一社長の次なる目標は
権力の継承です
創業家社長の地位を
息子に継がせたい

物語はこの後継者問題に
EV(電気自動車)化の流れに
翻弄される自動車業界の
現状を絡めて巨大企業の
内情を赤裸々に暴き出す

それは戦国時代の大名家の
盛衰を描くような
終わりなき戦いの日々でした

「社長は王様で何してもいいの？」

トヨ〇自動車の暴露本という
側面ももつ本作ですが
僕はそれよりも現代の大名家の
悩める家族ドラマとして
興味深く読みました

ただでさえ親子関係は難しい

そこに親族の関係
会社の人間関係の思惑
野次馬的な世間の目など
『持つ者』は批判・批評に晒される

いやいや、これは大変そうです

創業家の苦労を描く本作
苦労知らずのお坊ちゃんと
揶揄される息子の翔太さんが
最終章で父と対峙する様子は
新たな経営者の誕生を見るようでした
人間の成長の物語ですね

経営者でもサラリーマンでも
悩みのない者はいない
それぞれの立場で努力して
いかなければならない
そう感じました

僕もあなたも
悩みながらも
ちょっとでも楽しく
この人生を生きていきましょうね

作品紹介（出版社より）

衝撃の巨大自動車企業小説、ついに完結！

気鋭の経済記者が「覆面作家」となって、初めて書くことができた「世界一の自動車メーカー」禁断の真実。あまりに詳しすぎる内部情報や関係者しか知らない極秘ネタを小説に偽装したノンフィクションではないか……そう噂され、発売と同時にベストセラーとなった超問題作『トヨトミの野望』と続編『トヨトミの逆襲』。その「完結作」がついに発売！　

世界中を襲った未曾有のパンデミックのなか、巨大自動車会社トヨトミも待ったなしのEV（電気自動車）シフト転換を迫られていた。しかし、販売ディーラーの相次ぐ「不正事件」や持ち株比率たった2％の創業家の「世襲問題」など暗雲が垂れ込める。カギを握るのは“トヨトミの母”と呼ばれる元女優の謎の老女。彼女がひた隠す「豊臣家の秘密」とは──。

「本書の内容のどこまでが事実でどこまでがフィクションなのか。これについて、巨大自動車企業に極めて近い経営者は99％が事実と私に言い切った」（夏野剛氏、『トヨトミの野望』文庫版解説より）綿密な取材をもとに描き、経済界を震撼させてきたトヨトミシリーズ。

その“衝撃のラスト”を見逃すな！