【感想】『限界国家』楡周平|国境なき共和国に、僕らは向かう

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限界国家|楡周平

ケイチャン

ケイチャン

【2023年116冊目】

今回ご紹介する一冊は、

楡周平 著
『限界国家』です。

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【感想】「国境なき共和国に、僕らは向かう」

ビジネス小説

こんな国に誰がした?
少子高齢化
膨大な国債
地方の過疎化
こんな日本に警鐘を鳴らす物語です

鳴り響くアラート音が
聞こえないのか?

将来が不安でならない!
日々ニュースで伝えられる
数々の社会問題を聞いて
そう思われる方もいるでしょう

そう、危機は目前まで迫っているんです

政財界に影響力のある前嶋老人が
『我が国』の行く末を案じて
世界最大のコンサルティング会社に
『30年後の日本』を調査依頼する
しかしそこで明らかになるのは
想像以上に絶望的な
限界国家の姿でした

何事も先送り

なにせ物事を決めているのは
高齢の方々ばかり
そんな彼らが今苦労して
問題解決を図るはずがない
俺が死んだあとのことなんか
知ったこっちゃないんだよ!

え、でもそれじゃあ
若い僕らはどうしたらいいの?

「国境なき共和国に、僕らは向かう」

さて物語の前半パートは
絶望的な日本の現状を
これでもかと突き付けられます
・・しんどい

年金、社会保険など
高齢者優遇が過ぎる
現状に憤りを覚えます
しかし僕の両親も年金もらって
しょっちゅう病院にかかってんだよな
ああ、どうしたらいいの?

そして物語の後半パートは
成功した高齢者代表、前嶋老人と
Z世代の若き起業家との
対話となります

若者は老人に
どのような将来を
語るのでしょうか?

テクノロジーの進歩によって
劇的な変化を迎える、日本
今はまさにその前夜かも
知れません

夜明け前が一番暗い

しかしその朝を予想して
着々と準備している者もいる
彼らは喜々として待っているんだ
激変の未来を

彼らには
旧来の国家など眼中ありません
インターネットによって
国家の枠はすでに無くなっているんだ

危機の中に
希望が生まれる
そんな物語でした
僕も朝が来るのが
楽しみだな

作品紹介(出版社より)

世界最大級のコンサルティング会社「LAC」をフィクサーとして政財界に影響を与える前嶋栄作が訪れる。前嶋の依頼は自らの老い先が短いことを憂慮し「日本の30年後の未来」を調査して今から手を打とうというものだった。「LAC」幹部社員の津山百合は部下の神部恒昭とともに調査に乗り出すが、元官僚や若手起業家などに取材していくうちに、技術の革新とともに失われていく職業のこと、過疎化が進む地方都市のこと、そしてすでにこの国に見切りを付けている若者のこと……など、現役世代が見て見ぬふりをしている諸問題につきあたる。この先日本はどうなるのか? そして、こんな状態になるまで問題を放置したのは誰なのか? フィクションでありながら、現実の課題を照射するビジネス小説。

作品データ

タイトル:『限界国家』
著者:楡周平
出版社:双葉社
発売日:2023/6/21

作家紹介

楡周平(にれ・しゅうへい)

1957年生まれ。米国系企業に勤務中の1996年、30万部を超えるベストセラーになった『Cの福音』で衝撃のデビューを飾る。翌年から作家業に専念、日本の地方創生の在り方を描き、政財界に多大な影響を及ぼした『プラチナタウン』をはじめ、経済小説、法廷ミステリーなど、綿密な取材に基づく作品で読者を魅了し続ける。
著書に『介護退職』『国士』『和僑』『食王』(以上、祥伝社刊)他多数。

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