【本の感想】『逃亡者は北へ向かう』柚月裕子|もがくのを諦めるのも、勇気が必要

67 views
柚月裕子『逃亡者は北へ向かう』

ケイチャン

ケイチャン

【2025年68冊目】

今回ご紹介する一冊は、

柚月裕子 著

『逃亡者は北へ向かう』です。

PR

【感想】「もがくのを諦めるのも、勇気が必要」

震災クライムサスペンス

いったいどうしてこうなった??
図らずも罪を犯し、逃げる、彼方へ・・
不運の星の下に生まれた男を描く
慟哭の逃亡小説です

負の連鎖に苦しくなる

暗い目をした青年の真柴(ましば)さん
幼いころから肉親の愛情を受けることなく
孤独と共に生きてきました
・・俺は運がない

そんな彼に追い打ちをかけるように
さらなるトラブルが舞い込む
結果、2人を殺してしまうとゆー
最悪の状態に陥るのだ

東日本大震災の最中
逃亡を余儀なくされる、真柴
それを追う、警官たち
そして真柴と行動を共にする
幼い少年

少年の目に映る、真柴は
どんな姿をしているのだろうか?

「もがくのを諦めるのも、勇気が必要」

もうね、どうしようもなく悲しいんです
不運続きの真柴くんが・・
悪運が続々と舞い込み、選んだ選択は
全て裏目に出てしまう

なんて不運な人

あわれ過ぎる真柴に同情しかありません
その思いは、追う刑事の陣内(じんない)
も我々読者と同じように感じています
逃亡犯にシンパシーを持つ刑事の様子が
たったひとつの希望のようです

しかし、不運から逃れられない

逃げても逃げても
追いついてくる不運の魔手
ついに袋小路に追い込まれる

ケイチャン

ケイチャン

真柴の運命に、涙しかない・・

舞台が震災の渦中とあって
身内を失った登場人物が
多数登場します
彼らの姿を自分と重ねてしまう

身内を失うのは辛いこと

辛い運命を背負っても
なお生き続けねばならない

ケイチャン

ケイチャン

生き抜く尊さを応援する
作者の声が聞こえるようでした

どこに不運が転がっていても
おかしくはない

ケイチャン

ケイチャン

平穏無事な日々とはそれに
気が付いてないだけかも知れませんね

ケイチャン

ケイチャン

自分とみなさんの
幸運を
祈るばかりです

作品紹介(出版社より)

震災直後に殺人を犯し、死刑を覚悟しながらもある人物を探すため姿を消した青年・真柴亮。刑事の陣内康介は津波で娘を失いながらも容疑者を追う。ふたりはどこへ辿り着くのか──。『孤狼の血』『盤上の向日葵』の著者が地元・東北を舞台に描く震災クライムサスペンス。

作品データ

タイトル:『逃亡者は北へ向かう』
著者:柚月 裕子
出版社:新潮社
発売日:2025/2/27

作家紹介

柚月裕子(ゆづき・ゆうこ)

1968年岩手県生まれ。
2008年『臨床真理』で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞して、主婦業のかたわらで作家としてデビュー。
2013年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞を受賞。
2016年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞を受賞。
2018年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位。
その他の著書に『慈雨』『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』『暴虎の牙』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『教誨』などがある。
骨太なストーリーと繊細な心理描写でヒット作品を連発し続けている人気作家。

PR

柚月裕子の作品

『臨床真理』(2009年)
『最後の証人』(2010年)
『検事の本懐(短編集 )』(2011年)
『検事の死命(短編集)』(2013年)
『蟻の菜園 アントガーデン(2014年)
『パレートの誤算』(2014年)
『朽ちないサクラ』(2015年)
『ウツボカズラの甘い息』(2015年)
『孤狼の血』(2015年)
『あしたの君へ(短編集)』(2016年)
『慈雨』(2016年)
『合理的にあり得ない(短編集)』(2017年)
『盤上の向日葵』(2017年)
『凶犬の眼』(2018年)
『検事の信義』(2019年)
『暴虎の牙』(2020年)
『月下のサクラ』(2021年)
ミカエルの鼓動』(2021年)
『チョウセンアサガオの咲く夏』2022/4/6
『教誨』2022/11/25
『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』2023/3/29
『慈雨』(上巻・下巻)2023/5/24
風に立つ』2024/1/10
逃亡者は北へ向かう』2025/2/27

関連記事