【感想】『歌舞伎町ララバイ』染井為人|罪で築いた繁栄は、砂上の楼閣

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染井為人『歌舞伎町ララバイ』とくず餅

ケイチャン

ケイチャン

【2025年67冊目】

今回ご紹介する一冊は、

染井為人 著

『歌舞伎町ララバイ』です。

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【感想】「罪で築いた繁栄は、砂上の楼閣」

トー横キッズ&ハードボイルド

地元にいられなくなり家を飛び出した
15歳の少女を受け入れてくれたのは
歌舞伎町の路上に集う少年少女だった
巨悪と戦う少女の復讐の物語です

大切なものは失ってから気が付くもの

アジア最大級の歓楽街、歌舞伎町
そこを流されるようにさまよう
1人の少女の姿から物語はスタートします
・・ここ以外、居場所がないんだ

実父に虐待され、不良少年に
ヤられる日々の七瀬(ななせ)ちゃん
そんな地元を中学卒業と同時に飛び出し
行き着いた先が歌舞伎町のトー横です

救いの神はキラキラネームの少女?

そんな彼女を助け、世話を焼き、
歌舞伎町での生き方を教えてくれたのが
3つ年上の愛莉衣(らぶりー)ちゃんです
・・推し(ホスト)のために今日も働くの

精神的に幼く、人に騙されやすい愛莉衣ちゃん
あれこれ世話を焼いてくれるのはいいけど
七瀬にとってはピント外れな忠告をしてくるのが
うっとうしい
邪険に扱ってしまう

そんな愛莉衣が死んでしまった

失ってから気が付く
本当に大切な人
愛莉衣の忠告がうっとうしかったのは
実は正しくて、本当に心配してくれたからなんだ

許せないのは
愛莉衣を死に至らしめた者と
愛莉衣の死を利用したもの
・・奴らを許さない

そして七瀬の復讐が始まるのだ

「罪で築いた繁栄は、砂上の楼閣」

2部構成となっていて
第2部は謎の美女『愛』さんが
5年前に七瀬を裏切った者どもを
じわじわと追い詰める展開となります

クールなキラークイーン

徒手空拳で無鉄砲と負けん気だけが
持ち前だった、七瀬ちゃんが
羽化して
権謀術策を駆使する悪女となります

ケイチャン

ケイチャン

カッコいい!

悪役たちが現実世界のどこかで
見たり聞いたりしたような
デジャヴュのある者ばかり
誰がモデルか考えるのも
楽しみのひとつです

罪を犯しての繁栄は
砂上の楼閣
せっせと積み上げても
一瞬で崩れ去る

ケイチャン

ケイチャン

主人公の七瀬ちゃんも
手段を選ばない悪女っぷりで
結局、染井作品には
悪人しかいないんですね笑

ケイチャン

ケイチャン

悪女vs悪人の戦いを描く
ノワール小説でした

作品紹介(出版社より)

中学卒業と同時に親元から飛び出し歌舞伎町にたどり着いた15歳の少女・七瀬。わずか15年の人生で絶望を味わい、すべてをあきらめている七瀬にとって、歌舞伎町は唯一、心を安らげる場所だった。トー横広場で仲間とダベり、危ないバイトに手を出していくうち、歌舞伎町の闇社会や家出少女たちを食い物にしようとする大人たちとも関わっていく。そして事件は起きた――。社会派サスペンスの新鋭が描く衝撃の復讐劇。

作品データ

タイトル:『歌舞伎町ララバイ』
著者:染井為人
出版社:双葉社
発売日:2025/3/19

作家紹介

染井為人(そめい・ためひと)

2017年、「悪い夏」で「第37回横溝正史ミステリ大賞」優秀賞を受賞しデビュー。
その他の著作に「正義の申し子」「震える天秤」「正体」がある

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染井為人の作品紹介

『悪い夏』 2017/09/29
『正義の申し子』 2018/07/27
『震える天秤』 2019/08/30
『悪い夏』 2017/09/29
『正体』 2022/01/12
『海神』2021/10/19
『鎮魂』2022/5/19
滅茶苦茶』2023/5/10
黒い糸』2023/8/30
歌舞伎町ララバイ』2025/3/19

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