【感想】『誰かがジョーカーをひく』宇佐美まこと|ナメていると手ひどいしっぺ返しを受けるぞ!

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誰かがジョーカーを|宇佐美まこと

ケイチャン

ケイチャン

【2024年18冊目】
今回ご紹介する一冊は、
宇佐美まこと 著
『誰かがジョーカーをひく』です。

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【感想】「ナメていると手ひどいしっぺ返しを受けるぞ!」

クライムサスペンス

現金3,000万円の
ネコババ計画のバディは
アタマの軽いキャバ譲?
行き当たりばったりの犯罪小説です

ヒロインは、小太りのオバサン??

相棒(バディ)って大切ですよね
自分の背中を預けなきゃいけないバディには
賢くって信頼できる人を選びたいものです
・・え、でも主人公のバディは
ホストに入れあげて借金まみれの
アタマ軽そうなキャバクラ譲なんですか?

家出した主人公、沙代子さんの愛車
ピンクのラパンに飛び出してきたのは
キャバ譲の紫苑ちゃんと
現金3,000万円でした

これ、もらっちゃおうよ!

けれど紫苑ちゃんが
立てたネコババ計画案は
あきれるほど無謀で
あたまを抱えるほど杜撰な
デタラメなしろものでした笑

案の定、想定外の事態が続出し
犯罪組織につけ狙われ
やくざに目をつけられ
警察から追われるハメに・・

この凸凹コンビの運命は
さていかに?

「ナメていると手ひどいしっぺ返しを受けるぞ!」

とにかく地味な主人公の沙代子さん
消極的で流されやすく
自分の意見というものが
見えません

こりゃダメだ・・

主人公のダメっぷりに
イライラしっぱなしで
あ~あ、なんで紫苑ちゃんのいいように
ヤられちゃうんだよっ!
て、思ってしまう

しかしこれは
作者のミスリードです

ホントは芯が強く
根気があり辛抱強い
小太りオバサンの沙代子さんが
最後に大逆転を見せるのだ!

気持ち良い大逆転劇に
スカッとするエンディングは
エンタメ作品の醍醐味でしょう

オバサンとキャバ譲という
水と油のような2人がおこす
ドタバタ大騒動活劇
コメディ要素もサスペンスもある
笑ってドキドキな1冊でした

僕の車の前にもキャバ譲と大金が
飛び出してくるといいのになあ笑

作品紹介(出版社より)

胸のすくノンストップアクション。平凡な主婦が巻き込まれる誘拐事件! わくわくドキドキ冒険の日々。
女性たちの爽快な行動力が一気読みさせる書き下ろし長編!

地方都市にすむ本作な平凡な主婦・沙代子はおんぼろ軽四・ピンクのラパンで走行中、飛び出してきたキャバラ嬢・紫苑と接触事故で遭遇。
現金3千万円入りのボストンバッグを受け取る羽目に。
入れあげていたホストの俊に依頼された紫苑は、沙代子と折半にしようと、金の持ち逃げを提案。
この金があれば実家の倒産はまぬがれる。しかし、その金は誘拐事件の身代金だった。
紫苑と沙代子はやばい組織からも追いかけられる。そして、人質の女子高生・船場陽向(ひなた)は、より、したたかだった。
隙を見て、ホストの俊の部屋に逃げ込んできた。俊を巡る紫苑と陽向の争いに、陽向のいとこ・夏凜(かりん)という娘もからんできて、
追われるなか、船場陽向の父親の会社の権力抗争も背後に見え、事件は四つ巴、5つ巴の様相を呈してきた。
巻き込まれる過程で、変化してくる沙代子の意識…。
陽向の家の入船家は、光洋物産の社長の座にいる父・史郎と、双子の弟孝和が権力争いをしている様子。孝和はライバル社と密かに通じて、二社の合併を画策している。光洋物産内の重要な情報を流し、合併後は兄を失脚させ、自分が重役の座につく胸算用をしている。史郎には陽向、孝和には夏凜という同い年の娘が一人ずついる。弾けて遊び回る陽向と違い、夏凜は成績も優秀で、将来性のある娘。親からも期待をかけられている。
 陽向が見せてくれたいとこの夏凜の写真は、黒髪眼鏡で生真面目そうな正反対の少女だった。主婦とキャバ嬢、ホストと誘拐されたJKという4名の隠れ家生活の中で、陽向は家には帰らず、誘拐の依頼人あぶり出しを画策し、紫苑もなにか隠している。
 誘拐を実行した犯罪集団も黙ってはいない。犯罪集団にこの誘拐を持ちかけ、裏で糸を引いているらしき人物も見え隠れしてきた。目まぐるしく状況が変化して全貌が見えない中、とうとう史郎が警察に通報したようで、身代金の受け渡し現場に現れた垢抜けない中年女の画像がニュースで流れる。仰天する沙代子。知り合いが見れば、沙代子だとわかるのではないか? 特に夫が見れば。青くなっているのでは? 
沙代子はおんぼろ軽四・ピンクのラパンで、夜の街を疾走する。胸のすくコンゲーム・ハードボイルド!

作品データ

タイトル:『誰かがジョーカーをひく』
著者:宇佐美まこと
出版社:徳間書店
発売日:2023/11/29

作家紹介

宇佐美まこと(うさみ・まこと)

1957年愛媛県生まれ。
2006年「るんびにの子供」で第1回「幽」怪談文学賞短編部門を受賞しデビュー。
2017年『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門を受賞。
著書に『入らずの森』『角の生えた帽子』『死はすぐそこの影の中』『熟れた月』『骨を弔う』『羊は安らかに草を食み』『子供は怖い夢を見る』 『月の光の届く距離』『夢伝い』『ドラゴンズ・タン』 『逆転のバラッド』などがある。

宇佐美まことの作品紹介

『るんびにの子供』(2007/5/1)
『虹色の童話』(2008/6)
『入らずの森』(2009/3)
『愚者の毒』(2016/11)
『角の生えた帽子』(2017/9/22)
『死はすぐそこの影の中』(201/10)
『熟れた月』(2018/2/15)
『骨を弔う』(2018/6/28)
『少女たちは夜歩く』(2018/10)
『聖者が街にやって来た』(2018/12/6)
『恋狂ひ』(2019/3)
『展望塔のラプンツェル』(2019/9/18)
『黒鳥の湖』(2019/12/11)
『ボニン浄土』(2020/6/16)
『夜の声を聴く』(2020/9)
『羊は安らかに草を食み』(2021/1/7)
『子供は怖い夢を見る』(2021/9/29)
月の光の届く距離』(2022/1/18)
『夢伝い』(2022年5月)
ドラゴンズ・タン』(2022年9月)
逆転のバラッド』(2023/2/15)
『ボニン浄土』 2023/7/6
『鳥啼き魚の目は泪』2023/7/19
誰かがジョーカーをひく』2023/11/29

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