ケイチャン
【2024年136冊目】
今回ご紹介する一冊は、
寺地はるな 著
『いつか月夜』です。
もくじ
【感想】「善き生き方なんて、わからないよ」
正体不明の不安感から逃れるため
僕は歩く、
夜の街を、
仲間と一緒に。
心の不安を描く物語です
ケイチャン
みなさんは夜に出歩くのが
好きですか?
僕は暗いとワクワクするのですが←え!?笑
妻は暗すぎると怖い怖いッ、となります
ケイチャン
夜の闇に対する感じ方は
人それぞれなんですね
と言うことで我が家の夜のお散歩は
月が出る夜となっております
さて主人公の寛成(みなり)くんは
理由なき不安感の妖怪(?)
モヤヤンに襲われることがある
こんな寝れない夜は歩くべし
そして夜の街へと出るのです
そこで偶然に出会うのが
会社の同僚である塩田さん
あれれ!独身と聞いていたが
娘さんと歩いているよ?
一緒に歩こうよ
こうして塩田さんと
娘じゃないけど娘のような
中二の熊(くま)ちゃんとの
夜のお散歩会が始まる
メンバーを増やしながら続く
夜のお散歩会で
ゆるやかに繋がる彼らの人生は
どこに向かってゆくのだろうか
さて主人公の寛成くんは
人間関係において
始める前から諦めてしまう
タイプの人間のようです
相手の顔を見て話せないところが
もどかしい
しかしそれは
誠実さの裏返しでもある
不登校の少女、熊ちゃんや
傷を負った元カノ、伊吹さんなど
彼の誠実さに惹かれていき
穏やかな連帯感に癒される
でも人間関係を深めるには
一歩踏み出すことが肝要です
熊ちゃん家出作戦や
伊吹さん救出事件などで
関係は深まりますが
別れの時は来る
ケイチャン
よく
告白するより別れる方が難しい
と言いますが
きっぱりと別れを告げる塩田さんの
毅然とした姿が心に残りました
ケイチャン
顔を上げて別れを告げ
次の人生へと進む
登場人物たちのキリリとした
表情が目に浮かぶようです
ひとときの連帯と別れを描く
優しい人生の物語
ケイチャン
僕も次の満月の夜に
妻を夜散歩に誘おうかな
作品紹介(出版社より)
会社員の實成は、父を亡くした後、得体のしれない不安(「モヤヤン」と呼んでいる)にとり憑かれるようになった。特に夜に来るそいつを遠ざけるため、とにかくなにも考えずに、ひたすら夜道を歩く。そんなある日、会社の同僚・塩田さんが女性を連れて歩いているのに出くわした。中学生くらいみえるその連れの女性は、塩田さんの娘ではないという……。やがて、何故か増えてくる「深夜の散歩」メンバー。元カノ・伊吹さん、伊吹さんの住むマンションの管理人・松江さん。皆、それぞれ日常に問題を抱えながら、譲れないもののため、歩き続ける。いつも月夜、ではないけれど。
作品データ
タイトル:『いつか月夜』
著者:寺地はるな
出版社:角川春樹事務所
発売日:2024/8/8
作家紹介
寺地はるな(てらち・はるな)
1977年佐賀県生まれ。 大阪府在住。
2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。
他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。
寺地はるなの作品紹介
『ビオレタ』(2017年1月)
『今日のハチミツ、あしたの私』(2017年3月)
『みちづれはいても、ひとり』(2017年10月)
『架空の犬と嘘をつく猫』(2017年12月)
『大人は泣かないと思っていた』(2018年7月)
『正しい愛と理想の息子』(2018年11月)
『夜が暗いとはかぎらない』(2019年4月)
『わたしの良い子』(2019年9月)
『希望のゆくえ』(2020年3月)
『水を縫う』(2020年5月)
『やわらかい砂のうえ』(2020年7月)
『彼女が天使でなくなる日』(2020年9月)
『どうしてわたしはあの子じゃないの』(2020年11月)
『ほたるいしマジカルランド』(2021年2月)
『声の在りか』(2021年5月)
『雨夜の星たち』(2021年6月)
『ガラスの海を渡る舟』(2021年9月)
『タイムマシンに乗れないぼくたち』(2022年2月)
『カレーの時間』(2022年6月)
『川のほとりに立つ者は』(2022年10月)
『白ゆき紅ばら』(2023年2月)
『わたしたちに翼はいらない』2023/8/18
『こまどりたちが歌うなら』2024/3/26
『いつか月夜』2024/8/8