【感想】『私たちの世代は』瀬尾まいこ|少しの違いが、人生を変えてしまう

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瀬尾まいこ『私たちの世代は』

ケイチャン

ケイチャン

【2023年123冊目】

今回ご紹介する一冊は、

瀬尾まいこ著

『私たちの世代は』です。

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【感想】「少しの違いが、人生を変えてしまう」

現代小説

当たり前の日々は
失われてしまったんだ
パンデミックで子供時代を
歪められてしまった
悲しい世代の物語です

家に押し込められた子供たち

毎日学校に通えるのが楽しい
友達とおしゃべりして
汗して遊ぶ
そんな子供時代は貴重です

しかしコロナによって
学校生活は一変してしまう
学校閉鎖、リモート授業
たまの登校日もマスク着用
会話は厳禁
・・子供にとって厳しすぎる!

物語は小学生時代を
コロナ禍で過ごし
就職面接で知り合った
2人の女性の半生を
過去と現在を行き来しつつ
描いてゆく

水商売の娘と、不登校の娘

母子家庭で育つ、冴ちゃん
明るく前向きな性格の母から
だばだばと愛情を注がれ育つ
ある時放置児童の同級生と
仲良くなり、教育に興味を持つ
私は小学校の教師になりたい

いっぽう意識高い系の母により
高い教育をざぶざぶ受ける心晴ちゃん
過干渉に少々辟易してるとこに
タイミング悪いトドメの一撃を受けて
以降、学校に通えなくなってしまった

「少しの違いが、人生を変えてしまう」

タイミング、という
テーマを扱う本書
些細なことでも
当人にとっては
一生を左右することがあります

コロナによって
人生のスタート地点から
大きな枷を受ける
2人の世代が、悲しい

けれどもそれならば
ちょっとしたことで
人生が大きく
進み出すかも知れないですね

人生には勇気を振り絞って
一歩を踏み出さなければ
ならない時がある

それぞれの一歩を
踏み出す2人の女性が
成長してゆく姿が
たくましい

明日になるのが待ち切れない
そんな希望を持っていた
子供時代の心を
もう一度思い出しました

不幸を時代のせいにしたって
どうにもなりゃしない
あなたも僕と一緒に
一歩一歩、歩いていきましょう

作品紹介(出版社より)

明日が怖いものではなく楽しみになったのは、あの日から――

『そして、バトンは渡された』『夜明けのすべて』の著者の書下ろし長編

いまを生きる私たちの道標となる物語の誕生!

「明日が怖いものではなく楽しみになったのは、あの日からだよ」
今でもふと思う。あの数年はなんだったのだろうかと。
不自由で息苦しかった毎日。
家で過ごすことが最善だとされていたあの期間。
多くの人から当たり前にあるはずのものを奪っていったであろう時代。
それでも、あの日々が連れてきてくれたもの、与えてくれたものが確かにあった――。

作品データ

タイトル:『私たちの世代は』
著者:瀬尾まいこ
出版社:文藝春秋
発売日:2023/7/24

作家紹介

瀬尾まいこ(せお・まいこ)

1974年大阪府生れ。大谷女子大学国文科卒。
2001年「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年、単行本『卵の緒』で作家デビュー。2005年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞受賞。
2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞受賞。
2019年『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞。
他の作品に『天国はまだ遠く』『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』など著書多数。
唯一無二の、爽やかで感動的な作風が愛されている。

瀬尾まいこの作品

『卵の緒』(2002年11月)
『図書館の神様』(2003年12月)
『天国はまだ遠く』(2004年6月)
『幸福な食卓』(2004年11月)
『優しい音楽』(2005年4月)
『強運の持ち主』(2006年5月)
『見えない誰かと』(2006年12月)
『温室デイズ』(2006年7月)
『ありがとう、さようなら』(2007年7月)
『戸村飯店青春100連発』(2008年3月)
『僕の明日を照らして』(2010年2月)
『狐フェスティバル– 集団読書テキスト』(2010年5月)
『おしまいのデート』(2011年1月)
『僕らのごはんは明日で待ってる』(2012年4月)
『あと少し、もう少し』(2012年10月)
『春、戻る』(2014年2月)
『君が夏を走らせる』(2017年7月)
『ファミリーデイズ』(2017年11月)
『そして、バトンは渡された』(2018年2月)
『傑作はまだ』(2019年3月)
『夜明けのすべて』(2020年10月)
『その扉をたたく音』(2021年2月)
夏の体温』(2022年3月)
掬えば手には』(2022年7月)
私たちの世代は』( 2023/07/24)

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