【感想】『夏の体温』瀬尾まいこ|子供の時間が大人と一緒だと思うな!

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夏の体温|瀬尾まいこ

ケイチャン

ケイチャン

【2022年54冊目】

今回ご紹介する一冊は、

瀬尾まいこ

『夏の体温』です。

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【感想】「子供の時間が大人と一緒だと思うな!」

心の交流を描いた3つの短編集です

長期入院中の少年、瑛介と
検査入院で3日だけ入院する壮介の物語
もう一か月も入院している瑛介は
先の見えない入院生活に倦んでいた

そこに朗報!同じ小学3年生の少年が来る
待ち望んでいた友達の登場に、喜びを抑え切れない瑛介
そしてやってきた壮太は、思い描いていた以上の
気の合うヤツだった

一瞬で友達になる
いいですね、子供の特権ですね
同じ境遇の友を得て、ウキウキと遊ぶシーンに
良かったねえと、読み手の気持ちも上がります

酷暑のニュースが流れる瑛介の病院にも
やっと楽しい夏休みが訪れる
しかし、この休みは短い・・一緒にいられるのは
3日間だけなのだ

「子供の時間が大人と一緒だと思うな!」

狭い病院で、限られた日にちしかないからこそ
この時間を惜しむように大切にする2人が愛おしいです
病と闘いながらも、成長することを止めない
一瞬一瞬が貴重なものとなります

そして友は去っていった
しかし瑛介は、この3日間を後に幾度も反芻し
永遠のものにすることでしょう
輝きはもう、あせることはないのです

退院した壮太から届いた手紙には
外はこんなに暑いんだぜえ!と
カリカリに干からびたバッタの死骸が入っていた笑
・・なんとも子供らしい描写が微笑ましい

バッタの死骸を手紙に入れられるほどに
2人の友情は固く結べられたのです

繊細な心の動きを、言葉にならない思いを
温かくそしてユーモラスに描くのが
瀬尾まいこはホントに上手いですね
優しい気持ちになれる、そんな本でした

作品紹介(出版社より)

「出会い」がもたらす「奇跡」を描いた全3篇

■「夏の体温」
2002年刊行、瀬尾さんのデビュー作『卵の緒』で描かれたのは、小学生男子の視点で綴った「親子の絆」。それから、およそ20年を経て生み出されたのは、同じく小学生男子の瑞々しい「友情」物語です。瀬尾さんご自身も「久しぶりに小学生の物語を書きました。子どもがいる空間は生き生きしていて、書いている間、とても楽しかったです」とコメントしている思い入れのある表題作です。

<あらすじ>
夏休み、小学3年生の瑛介は血小板数値の経過観察で1ヶ月以上入院している。退屈な毎日に、どうしたっていらいらはつのる。そんなある日、「俺、田波壮太。3年。チビだけど、9歳」と陽気にあいさつする同学年の男子が病院にやって来た。低身長のための検査入院らしい。遊びの天才でもある壮太と一緒に過ごすのは、とても楽しい。でも2人でいられるのは、あと少しだ──。

■ 「魅惑の極悪人ファイル」
「物語に悪い人がほとんど出てこない」ことがよく知られている瀬尾さんの作品に、どんな悪人が、どのように登場するのでしょうか。瀬尾さんならではの「極悪人」をお楽しみください。

<あらすじ>
容姿にコンプレックスを抱く、内向的な大学生の早智。だが大学1年生の時に発表した小説が文学賞を受賞し、にわかに注目を集める。そして3作目。執筆に苦戦し、それまでの作風とは異なった「悪人」を主人公にした小説に挑む。そのモデルに選んだのが、腹黒いと周りから言われている男子学生、倉橋だった。早智が取材を進めてゆくと……。

■ 「花曇りの向こう」
中学1年生の国語教科書に掲載された掌編。 この度、単行本初収録作品となります。 装画を手がけた人気漫画家・イラストレーター、カシワイさんの描き下ろし挿絵付きです。 まるで教科書のように、文章と挿絵をあわせて堪能していただけるかと思います。

作品データ

タイトル:『夏の体温』
著者:瀬尾まいこ
出版社:双葉社
発売日:2022/3/17

作家紹介

瀬尾まいこ(せお・まいこ)

1974年大阪府生れ。大谷女子大学国文科卒。
2001年「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年、単行本『卵の緒』で作家デビュー。2005年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞受賞。
2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞受賞。
2019年『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞。
他の作品に『天国はまだ遠く』『あと少し、もう少し』などがある。

瀬尾まいこの作品

『卵の緒』(2002年11月)
『図書館の神様』(2003年12月)
『天国はまだ遠く』(2004年6月)
『幸福な食卓』(2004年11月)
『優しい音楽』(2005年4月)
『強運の持ち主』(2006年5月)
『見えない誰かと』(2006年12月)
『温室デイズ』(2006年7月)
『ありがとう、さようなら』(2007年7月)
『戸村飯店青春100連発』(2008年3月)
『僕の明日を照らして』(2010年2月)
『狐フェスティバル– 集団読書テキスト』(2010年5月)
『おしまいのデート』(2011年1月)
『僕らのごはんは明日で待ってる』(2012年4月)
『あと少し、もう少し』(2012年10月)
『春、戻る』(2014年2月)
『君が夏を走らせる』(2017年7月)
『ファミリーデイズ』(2017年11月)
『そして、バトンは渡された』(2018年2月)
『傑作はまだ』(2019年3月)
『夜明けのすべて』(2020年10月)
『その扉をたたく音』(2021年2月)
夏の体温』(2022年3月)

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