ケイチャン
【2024年132冊目】
今回ご紹介する一冊は、
小野寺史宜 著
『うたう』です。
もくじ
【感想】「終わりの幕を降ろす」
大学時代に組んだロックバンド
カニザノビーの4人
夢破れ解散したその後の
再生を描く優しい物語です
まず始めにあるのが
バンドでボーカルを務める
絹代(きぬよ)ちゃんの
少女時代である前日譚です
ケイチャン
お母さんがコーラスで歌う
楽しそうな姿が忘れられない
そして時間は進み
大学を卒業して2年後
カニザノビーは行き詰まり
残念ながら解散してしまう
物語は解散後の4人の姿を
ギター、ベース、ドラムと
各担当者の今の姿を描き
最後にボーカルの絹代ちゃん
へとまた戻ってきます
ケイチャン
それは青春の終わりなのか?
今まで夢中になってひたすらに
やってきたことを止めた時
そこに何かは残っているか?
無駄ではなかったのだろうか?
バンドメンバー4人を描く
連作短編となっています
小野寺作品らしい距離感で
主人公と一体になるのでなく
1歩引いてついて行くような
絶妙な案配で物語は進みます
ギター担当でバンドリーダーだった
航次郎のケジメをつける決意が尊い
他のメンバーもそれぞれに
夢の幕を降ろして
現実を受け入れて
大人になって行きます
メンバーたちが次の道を選んだ時
また再び繋がっていく様子に
一緒に夢中になった時を過ごした
絆の強さを感じました
挫折の後の再生を描く
優しい物語でした
ケイチャン
夢中になったことは
いつまでも心に残るのでしょうね
ケイチャン
あなたの心に残っている
夢中になったことは
なんですか?
作品紹介(出版社より)
わたしは母を傷つけた。たった一人の肉親を、言葉のナイフで――。
あれから13年、後悔ばかりで大人になった。
でも、孤独に負けずにいられたのは、母の、仲間の、「うた」 があったから――。シリーズ累計54万部突破!『ひと』 『まち』 『いえ』に続く感動の青春譚
母がわたしを産んだ歳になった。今、わたしに、湧き出るものがある――。
27歳の古井絹枝には、晴らすことのできない後悔があった。中学生の頃、地域の合唱団に所属する母に「一緒にうたおうよ」と誘われたものの、撥ねつけてしまったのだ。母が秘めていた想いも知らずに・・・・・・。
大学時代、絹枝はバンドを組んでいた。
ギター担当は伊勢航治郎。バンド解散後もプロを目指したが芽が出ず、だらしない日々を送っていた。
ベース担当は堀岡知哉。バリバリ働く妻がいるが、自分はアルバイトの身で、音楽への未練も僅かにある。
ドラムス担当は永田正道。大学卒業後、父が越えられなかった資格試験の壁に挑もうとするが・・・・・・。
かつての仲間が、次の一歩を踏み出そうとする物語。
作品データ
タイトル:『うたう』
著者:小野寺史宜
出版社:祥伝社
発売日:2024/2/7
作家紹介
小野寺史宜 (おのでら・ふみのり)
1968年、千葉県生れ。
2006年「裏へ走り蹴り込め」でオール讀物新人賞を受賞。
2008年、『ROCKER』でポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。
他の著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『リカバリー』『ひりつく夜の音』『ひと』『夜の側に立つ』『縁』『今日も町の隅で』『食っちゃ寝て書いて』『今夜』『天使と悪魔のシネマ』などがある。
小野寺史宜の作品
『 ROCKER 』 (2008年11月)
『ナオタの星』(2009年6月)
『 みつばの郵便屋さん』 (2012年5月)
『 リカバ 』(2014年7月)
『 片見里、二代目坊主と草食男子の不器用リベンジ』(2014年9月)
『 みつばの郵便屋さん– 先生が待つ手紙 』(2015年2月)
『 ホケツ!』(2015年2月)
『 その愛の程度 』(2015年6月)
『ひりつく夜の音 』(2015年9月)
『みつばの郵便屋さん– 二代目も配達中』(2015年11月)
『近いはずの人 』(2016年2月)
『 家族のシナリオ 』(2016年6月)
『 太郎とさくら 』(2017年1月)
『本日も教官なり』(2017年9月)
『 みつばの郵便屋さん– 幸せの公園 』(2017年10月)
『それ自体が奇跡』(2018年1月)
『ひと 』(2018年4月)
『 夜の側に立つ 』(2018年8月)
『 みつばの郵便屋さん– 奇蹟がめぐる町』 (2018年11月)
『ライフ 』(2019年5月)
『 縁 』(2019年9月)
『 まち 』(2019年11月)
『 今日も町の隅で 』(2020年2月)
『 食っちゃ寝て書いて 』(2020年5月)
『 タクジョ! 』(2020年8月)
『 みつばの郵便屋さん– 階下の君は 』(2020年11月)
『今夜 』(2020年11月)
『天使と悪魔のシネマ 』(2021年2月)
『 片見里荒川コネクション』(2021年5月)
『 とにもかくにもごはん 』(2021年8月)
『ミニシアターの六人』(2021年11月)
『 いえ 』(2022年2月)
『 奇跡集 』(2022年5月)
『 みつばの郵便屋さん– あなたを祝う人 』(2022年6月)
『 レジデンス 』(2022年8月)
『 タクジョ! みんなのみち』(2022年11月)
『 みつばの郵便屋さん– そして明日も地球はまわる』(2022年12月)
『 君に光射す 』(2023年2月)
『うたう』2024/2/7