【感想】『秋麗 東京湾臨海署安積班』今野敏|警察は何でも知っている

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秋麗 東京湾臨海署安積班|今野敏

ケイチャン

ケイチャン

【2023年12冊目】

今回ご紹介する一冊は、

今野敏 著

『秋麗 東京湾臨海署安積班』です。

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【感想】「警察は何でも知っている」

警察小説

安積班シリーズの最新作です

東京湾に浮かんだ老人は

詐欺師だった?

緻密な捜査と冴え渡る鑑読みで

犯人を追い上げる警察官の物語です

ぽっかり海に浮かんだ

身なり良い老人

しかし彼は詐欺事件の

加害者でした

不起訴に終わったその事件

しかしそこに実は彼が

詐欺の常習犯だったのでは?

そんな疑いが残っていたのです

「警察は何でも知っている」

物語はほぼ物証がないスタートから

警察官たちがそれぞれの役割りを果たし

細い糸を切らないように

丁寧に手繰り寄せるような

捜査の過程が描かれます

少しずつ網にかかる事件のようす

ヒーローはいないけど

地道に働く警察官たちに

熱くなります

そして網にかかり

浮かびあがるのが

か弱い年寄りのイメージを覆す

元気な老人たちでした

老境に入る

それはどんな思いなんでしょうか?

本作では老人たちが

それぞれの老境を過ごし

物語の鍵となっています

ある者は後輩にセクハラパワハラし

ある者はスリルを求めて犯罪する

極端な行為ですが

共通するのは

枯れるには早い

そんな心境なのでしょう

そして物語は自身も老境を前に

円熟というべき安積を中心にして

犯人たちを見事に一網打尽という

気持ち良い大団円に終わります

警察小説のお手本のような作品でした

作品紹介(出版社より)

青海三丁目付近の海上で遺体が発見される。身元は、かつて特殊詐欺の出し子として逮捕された戸沢守雄という七十代の男だった。安積たちが特殊詐欺事件との関連を追う中、遺体発見の前日に戸沢と一緒にいた釣り仲間の猪狩修造と和久田紀道に話を聞きに行くと、二人とも何かに怯えた様子だった。何らかの事情を知っていると踏んだ安積たちが再び猪狩と和久田の自宅を訪れるも既に誰もおらず、消息が途絶えてしまう……。「自分が誰からも必要とされなくなる。それでも毅然としていられるかどうか……。それが怖い」(本文より)。 安積が事件の先に見たものとは――。ドラマ化もされた大ベストセラー“安積班シリーズ”熱望の最新刊!

作品データ

タイトル:『秋麗 東京湾臨海署安積班』
著者:今野敏
出版社:角川春樹事務所
発売日:2022/11/15

作家紹介

今野敏 (こんの・びん)

1955年北海道生れ。
1978年上智大学在学中に「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞。
2006年『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞 受賞 。
2008年『果断―隠蔽捜査2―』で山本周五郎賞と日本推理作家協会賞を受賞。
さまざまなタイプのエンターテインメントを手がけているが、警察小説の書き手としての評価も高い。

今野敏の作品

『 怪物が街にやってくる 』 (短編集)(1985年7月)
『隠蔽捜査 – 隠蔽捜査1』(2005年9月)
『 果断– 隠蔽捜査2 』 (2007年4月)



『 精鋭 』(2015年2月)
『 マインド– 警視庁捜査一課・碓氷弘一6 』(2015年5月)
『 豹変 』(2015年6月)
『 潮流– 東京湾臨海署安積班 』(2015年8月)
『 プロフェッション– ST警視庁科学特捜班 』(2015年8月)
『 寮生– 一九七一年、函館。 』(2015年10月)
『 臥龍– 横浜みなとみらい署暴対係 』(2016年2月)
『 防諜捜査– 倉島警部補5 』(2016年4月)
『 マル暴総監 』(2016年5月)
『 真贋– 萩尾警部補シリーズ 』(2016年6月)
『 去就– 隠蔽捜査6 』(2016年7月)
『 継続捜査ゼミ 』(2016年10月)
『 サーベル警視庁 』(2016年12月)
『 回帰– 警視庁強行犯係・樋口顕 』(2017年2月)
『 アンカー– スクープシリーズ4 』(2017年5月)
『 変幻– 同期シリーズ 』 (2017年6月)
『 武士マチムラ– 琉球空手シリーズ 』(2017年9月)
『 道標– 東京湾臨海署安積班(短編集) 』(2017年12月)
『 棲月– 隠蔽捜査7 』(2018年1月)
『 カットバック– 警視庁FC2 』(2018年4月)
『 任侠浴場 』(2018年7月)
『 エムエス– 継続捜査ゼミ2 』(2018年10月)
『 キンモクセイ 』(2018年12月)
『 スクエア– 横浜みなとみらい署暴対係 』(2019年2月)
『 呪護– 祓師・鬼龍光一 』(2019年3月)
『 機捜235 』(2019年3月)
『 炎天夢– 東京湾臨海署安積班 』(2019年6月)
『 清明– 隠蔽捜査8 』(2020年1月)
『 焦眉– 警視庁強行犯係・樋口顕 』(2020年4月)
『 任侠シネマ 』(2020年5月)
『 黙示– 萩尾警部補シリーズ 』(2020年6月)
『 オフマイク– スクープシリーズ5 』(2020年7月)
『 帝都争乱– サーベル警視庁2 』(2020年9月)
『 天を測る 』(2020年12月)
『 大義– 横浜みなとみらい署暴対係(短編集) 』(2021年3月)
『 宗棍 』(2021年6月)
『 ロータスコンフィデンシャル 』(2021年7月)
『 暮鐘 東京湾臨海署安積班 』(2021年8月)
『 ボーダーライト』(2021年10月)
『 探花– 隠蔽捜査9』(2022年1月)
『 無明– 警視庁強行犯係』(2022年3月)
『 確証 上・下』(2022年5月)
『石礫 機捜235』(2022年5月)
任侠楽団』(2022年6月)
『マル暴ディーヴァ』(2022年9月)
秋麗 東京湾臨海署安積班』(2022年11月)
『審議官』(2023年1月)

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