【本の感想】『イオラと地上に散らばる光』安壇美緒|悪意と戦う必要ないんだよ

【2026年20冊目】
今回ご紹介する一冊は、
安壇美緒 著
『イオラと地上に散らばる光』です。
【感想】「悪意と戦う必要ないんだよ」
SNSで僕らは
何を見たいのだろうか?
ある女性が起こした事件が炎上する
悪意に満ちた世界の物語です
男と女は住んでる世界が違うのか?
とある新聞社のネットメディア配信部が舞台
部員たちはバズるニュースを虎視眈々と探し
求めています、けどなかなか見つからない
・・だったら僕らで、炎上させてみようか!
そして白羽の矢が立つのが
ある女性が起こした
耳目を引く事件でした
狙い通りにバズりPVは大きく跳ね上がる

やったね!
しかし喜びは束の間のこと
すぐに次のニュース(炎上)を求め
生け贄を探すのだが・・
こんなSNSばかりを見て
僕たちは幸せになれるのだろうか?
炎上事件を起こしたのは
萩尾威愛羅(はぎお いおら)さん
個性的な名前からイオラ事件と呼ばれる
若い彼女は抱っこひもで赤ちゃんを連れ
旦那さんの上司を包丁で刺したのだ
私がワンオペ育児で辛いのは
旦那を残業させる上司が悪い
と、事件を起こした理由を
警察に語ったそうです
これを『悪意あるカタチ』で
配信し炎上させたのが
ネットメディアの岩永です
物語は彼を代表とする、男性と
家事育児するモノと見なされる
女性たちとの、相容れない
世界の違いが綴られてゆく
ジェンダー問題が、辛い
本書のもう一つのテーマが
『SNSの在り方』です
不安をあおるとバズる
バズれば何をしてもOK!
・・なんて、こんなんで
ホントにイイのだろうか?
もう辞めていいんじゃない!

幸せになれないものからはもう離れてしまおうよ!
そんなメッセージを僕は感じました
ジェンダー問題と
SNSの炎上を取り上げた
現代の人々の心を映す物語

暗いスマホの画面に映る呆けた自分の顔を見るようでした
男と女も、SNSも
相手に対する敬意が必要ですよね

あなたには信頼で繋がった大切なひとがいますか?
作品紹介(出版社より)
読んでしまったらもう傍観者ではいられない。衝撃と共感の事件小説
「検索すればすぐに出てくるよ。赤ん坊を抱いたまま旦那の上司を刺しに行った女。なんか怪獣みたいな名前でさ」
ワンオペ育児で追い詰められた母親が夫の上司を刺傷した。彼女は赤ん坊を抱っこ紐で帯同したまま犯行に及んだという。事件を取り上げたWEB記事をきっかけに、イオラという犯人の特徴的な名前や事件の異常さが注目を集め、SNS上ではイオラ擁護派と否定派の論争が過熱。記事の担当者・岩永清志郎は、大きな反響に満足しながら、盛り上がりが続くよう新たなネタを探して奔走するが……。
作品データ
タイトル:『イオラと地上に散らばる光』
著者:安壇美緒
出版社:KADOKAWA
発売日:2025/11/18
作家紹介
安壇 美緒(あだん・みお)
1986年北海道生まれ。 早稲田大学第二文学部卒業。
2017年『天龍院亜希子の日記』で第30回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。
著書に、北海道の女子校を舞台に思春期の焦燥と成長を描いた『金木犀とメテオラ』がある。
安壇 美緒の作品紹介
『天龍院亜希子の日記 』2018/03/05
『金木犀とメテオラ』 2020/02/26
『ラブカは静かに弓を持つ』 2022/05/02
『イオラと地上に散らばる光』2025/11/18


