【本の感想】『リボンちゃん』寺地はるな|のろくたって、私は前に進んでいる

【2025年109冊目】
今回ご紹介する一冊は、
寺地はるな 著
『リボンちゃん』です。
【感想】「のろくたって、私は前に進んでいる」
よくわかんない店で働きながら
伯母のテーラーを手伝う私が見つけた
やりたいこととは?
お仕事を中心にした女性の物語です
トレードマークは頭のリボン
手先が器用で手芸が得意な
百花(ももか)ちゃん
伯母からビスチェのリメイクを
手伝って欲しいと頼まれた
依頼者の夫は、貫禄がついた妻に
そんなセクシーな下着はもう
要らないだろうと言ったそうな
・・要らないってなにさ?
好きだから、気に入っているから
ずっと使いたいだけなのに!
誰のために下着なのか?
もちろん女性のための
下着に決まっている
使い勝手よい優しい下着を
私たちは作るんだ!
33歳になった百花ちゃん
数年前にパートナーと別れて以来
一人で暮らしてきました
・・子供のいる同級生と比べたって
しかたないよ・・
そんな彼女の周りには
上手く生きられない女性がいます
優秀だが融通が利かず、最初の就職で
躓いた、えみちゃん
拘りの強い妹を持ち、お姉ちゃんだから
って我慢を強いられる、中学生の女の子
そんな女性たちに向かって
マイペースで行こうよ
急がなくてもいいんだよ
と、百花が伝えているようでした
さてマイペースでのろのろと
歩いているような百花ですが
ついにやりたいことを見つけます
そうしたらもう一直線なんだ
急がなくとも、無理しなくとも
きっと見つけることが出来る
大切なこと・・
そんなメッセージを受けました
ジェンダー作家としての
イメージが強い寺地はるなですが
本作はそのキツさが
ちょっと弱くなっています

リアルな世界のジェンダーギャップが
少しは改善されているのかな?
自分らしく生きることが
みんなに認められる

そんな世界が早く来るといーですよね!

みなさんはマイペースで
生きていますか?
作品紹介(出版社より)
“距離感”を描き続けてきた著者の最高傑作
光浦靖子さん推薦!
「針は心のあるべき場所に導いてくれる。大袈裟に言えば救い、手芸らしく地味に言えば楽しいからねえ」
街の小さなテーラーを舞台に、しなやかに生きる力をくれる物語。
☆デビュー10周年記念作品☆
あらすじ:幼い頃から可愛いものが大好きで、頭のリボンがトレードマークの百花。”よくわかんない店”で働きながら、マイペースに日々を過ごす彼女は、あるとき伯母の加代子が営むテーラーを手伝うことになる。女性であることを理由に、紳士服を作ることが許されなかった加代子は、夫亡き後、日用品を中心に製作しているが、あるとき「下着のリメイク」の依頼が届き、手芸好きの百花の力を借りることにしたのだった。
下着にまつわる固定観念を軽やかにすり抜け、読む人の心をそっと解きほぐす物語。
作品データ
タイトル:『リボンちゃん』
著者:寺地はるな
出版社:文藝春秋
発売日:2025/7/10
作家紹介
寺地はるな(てらち・はるな)
1977年佐賀県生まれ。 大阪府在住。
2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。
他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。
寺地はるなの作品紹介
『ビオレタ』(2017年1月)
『今日のハチミツ、あしたの私』(2017年3月)
『みちづれはいても、ひとり』(2017年10月)
『架空の犬と嘘をつく猫』(2017年12月)
『大人は泣かないと思っていた』(2018年7月)
『正しい愛と理想の息子』(2018年11月)
『夜が暗いとはかぎらない』(2019年4月)
『わたしの良い子』(2019年9月)
『希望のゆくえ』(2020年3月)
『水を縫う』(2020年5月)
『やわらかい砂のうえ』(2020年7月)
『彼女が天使でなくなる日』(2020年9月)
『どうしてわたしはあの子じゃないの』(2020年11月)
『ほたるいしマジカルランド』(2021年2月)
『声の在りか』(2021年5月)
『雨夜の星たち』(2021年6月)
『ガラスの海を渡る舟』(2021年9月)
『タイムマシンに乗れないぼくたち』(2022年2月)
『カレーの時間』(2022年6月)
『川のほとりに立つ者は』(2022年10月)
『白ゆき紅ばら』(2023年2月)
『わたしたちに翼はいらない』2023/8/18
『こまどりたちが歌うなら』2024/3/26
『いつか月夜』2024/8/8
『雫』2024/11/6
『リボンちゃん』2025/7/10

