【感想】『錠剤F』井上荒野|物語にひそむ、刃(やいば)

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錠剤F|井上荒野

ケイチャン

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【2024年26冊目】

今回ご紹介する一冊は、

井上荒野 著

『錠剤F』です。

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【感想】「物語にひそむ、刃(やいば)」

現代小説

見たくない
知りたくない
自分が孤独であるということに
暗闇を覗き込むような
短編小説集です

闇の怖さを、見たいのか?

不穏で不吉な雰囲気を持つ
10作の短編が納められています
 
①乙事百合子の出身地
誰にもかまわれない
老女と女子販売員の
ひと時を描きます
救いも希望もないお話

②びびびーズ
妊娠を望む女性を
あざ笑う若者のお話
妄想的なラストシーンに
ゾワゾワとします

③あたらしい日よけ
最初から最後まで
不穏なお話
悪い予感しかしません

④みみず
みみず千匹の女性器のお話
徹底的に貶められる主人公が
あわれ

⑤刺繍の本棚
結婚相手は殺人者のお話
殺されるほど愛されたほうが
いいのか?

⑥墓
田舎へ移住した夫婦のお話
親切な隣人が
怖いよ

⑦スミエ
別れと結婚の岐路に立つ
男女のお話
訳の分からない展開が
井上荒野作品らしい

⑧ケータリング
妻に逃げられた料理人のお話
常連客が、怖い

⑨フリップ猫
人気インスタグラムの猫ちゃんに
現実逃避するお話
主人公の不安感が伝わって
ゾクゾクします

⑩錠剤F
安楽死の薬のお話
死ぬことしか希望がない

「物語にひそむ、刃(やいば)」

井上荒野作品らしい
日常にひそむ
闇をあばきだす
不穏で不吉な物語たち

僕たちが暮らす平穏な日常が
実はとてもあやういもので
簡単にくつがえってしまうことを
表しているようです

でも人って
何か決定的な事が
起こってしまい
不安が現実のものになると
かえって安心するのかも
知れません

これ以上は悪くならない、と

そんな不穏の心地良さを
感じてしまいました

井上荒野作品には
刃(やいば)が潜んでいるよう
唐突にその刃に刺されて
致命傷を負うような
物語でした

闇にきらめく刃を
あなたも覗いて見たく
ありませんか?

作品紹介(出版社より)

ひとは、「独り」から逃れられない。
著者史上最もグロテスクで怖い10の物語から成る、最高精度の小説集。

バイト先のコンビニに現れた女から、青年は「ある頼みごと」をされて──「ぴぴぴーズ」
男を溺れさせる、そんな自分の体にすがって生きるしかない女は──「みみず」
刺繍作家の女は、20年以上ともに暮らした夫の黒い過去を知ってしまい──「刺繍の本棚」
女たちは連れ立って、「ドクターF」と名乗る男との待ち合わせに向かうが──「錠剤F」
……ほか、あなたの孤独を掘り起こす短編10作を収録!

作品データ

タイトル:『錠剤F』
著者:井上荒野
出版社:集英社
発売日:2024/1/10

作家紹介

井上荒野(いのうえ・あれの)

1961年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。
1989年『 わたしのヌレエフ 』で第1回フェミナ賞を受賞。
2004年『潤一』で第11回島清恋愛文学賞を受賞。
2008年『切羽へ』で第139回直木賞を受賞。
2011年『そこへ行くな』で第6回中央公論文芸賞を受賞。
2016年『赤へ』で第29回柴田錬三郎賞を受賞。
2018年『その話は今日はやめておきましょう』で第35回織田作之助賞を受賞。
その他、『あちらにいる鬼』『生皮 あるセクシャルハラスメントの光景』『小説家の一日』『照子と瑠衣』など著書多数。

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井上荒野 の作品

『グラジオラスの耳』 1991/05/01
『もう切るわ』 2001/10/01
『ひどい感じ―父・井上光晴』 2002/08/01
『ヌルイコイ』 2002/10/01
『潤一』 2003/11/01
『森のなかのママ』 2004/03/26
『だりや荘』 2004/07/22
『しかたのない水』 2005/01/26
『誰よりも美しい妻』 2005/12/15
『不恰好な朝の馬』 2006/10/31
『学園のパーシモン』 2007/01/01
『ズームーデイズ』 2007/07/01
『ベーコン』 2007/10/26
『夜を着る』 2008/02/18
『切羽へ』 2008/05/01
『あなたの獣』 2008/11/29
『雉猫心中』 2009/01/22
『静子の日常』 2009/07/01
『女ともだち』 2010/03/18
『つやのよる』 2010/04/01
『もう二度と食べたくないあまいもの』 2010/04/10
『チーズと塩と豆と』 2010/10/05
『ベッドの下のNADA』 2010/12/09
『ハニーズと八つの秘めごと』 2011/02/25
『そこへ行くな』 2011/06/24
『キャベツ炒めに捧ぐ』 2011/09/01
『だれかの木琴』 2011/12/09
『結婚』 2012/03/27
『夜をぶっとばせ』 2012/05/18
『さようなら、猫』 2012/09/15
『それを愛とまちがえるから』 2013/01/24
『あなたにだけわかること』 2013/05/24
『ほろびぬ姫』2013/10/31
『夢のなかの魚屋の地図』 2013/12/21
『虫娘』 2014/08/27
『悪い恋人』 2014/12/05
『ママがやった』 2016/01/16
『赤へ』 2016/06/14
『綴られる愛人』 2016/10/05
『あなたならどうする』 2017/06/16
『その話は今日はやめておきましょう』 2018/05/18
『あちらにいる鬼』 2019/02/07
『あたしたち、海へ』 2019/11/27
『そこにはいない男たちについて』 2020/07/15
『ママナラナイ』 2020/10/14
百合中毒』 2021/04/26
生皮 あるセクシャルハラスメントの光景』 2022/04/07
『小説家の一日』 2022/10/13
『荒野の胃袋』 2022/10/20
僕の女を探しているんだ』 2023/02/20
錠剤F』2024/1/10

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