『アクリル』井上荒野 あらすじと感想|推し活はしょせん、代償行為なのか?


【2026年100冊目】
今回ご紹介する一冊は、
井上荒野 著
『アクリル』です。
「推し活」の裏側や熱量に興味がある人
あらすじと感想
子どもを諦めた僕ら夫婦を救ったのは、アクスタの『推し』だった!?
推し活の功罪を赤裸々に描く、歪だけど美しい、夫婦愛の物語です
『推し』と『愛』は、どう違うの?
都内に住む30代の夫婦からスタートします
結婚したなら子供が欲しい!と、妊活前にお互い生殖能力について調査したところ、夫の卓郎(たくろう)さんが無精子症だと判明します

夫婦のピンチだ!
動揺する卓郎に対して、妻の美幸(みゆき)さんは、一見、淡々と状況を受け入れたかのようですが・・・・何かが壊れたのか?
美幸は『推し活』に歯止めがかからなくなります
イベントにグッズに、際限なく課金し、推し活中心の生活で、仕事にも支障が出る
大混乱の中、夫の卓郎は妻の美幸について、何を思いどう感じたのだろうか?
美幸がハマるのが漫画『YO!YO!学園』の人気キャラ『霧谷ビョルン永劫』くんです
金髪の三つ編みを垂らしたヨーヨーバトラーで、覚醒すると髪が連獅子のように広がるそうです
ヨーヨーバトラーって、何ソレ面白そう笑
2.5次元の舞台も好評で、ビョルンを演じる俳優の月岡も推しの対象となる
しかし現実世界で生きる月岡は人間なので大失敗を犯し、これが夫婦の危機にもなったりします

2次元のキャラは裏切らないから、安心だねw
いっぽう夫の卓郎の気持ちは起伏が激しい
ビョルンのアクリルスタンドを常に持ち歩く美幸に対して、初めは違和感、ついで嫌悪感、しかし裏返って共感するなど、ジェットコースターのように感情は乱高下します
どう思うのが、正しいのか?
混乱する夫婦生活だが、美幸は超えてはならない一線を軽々と越えてしまう・・
*注意(以下、物語の重大なネタバレとなります!
推し活のお金を稼ぐためにパパ活(売春)する美幸
それを知り卓郎は悩むのだが、結局は許してしまうのだ
夫の公認となったパパ活に励む妻、服装は派手になり化粧は濃くなるが美しさは増してゆくのだ・・
ついに卓郎は美幸のパパ活のようすをストーカーのように付きまとうようになり、その夜2人は激しく愛し合うのでした・・

う~ん・・この物語を読んで僕は、どう思えばいいのか??
そしてパパ活の末に、美幸は妊娠してしまう
苦悩する卓郎だが、結局また許してしまって、2人に赤ちゃんが産まれます
推しが赤ちゃんに変った美幸は、もうアクスタのビョルンを見向きもしない
そんな妻をつまらないと思いつつ、卓郎は赤ちゃんの本当の父親を殺すことを決意するのだ

いろいろな愛のカタチがあるんですね・・
歪な愛のカタチを描く不穏な物語

自分の物語の読者は、自分だけ
どう思うかは自分で決めましょうw

あなたの推しは誰ですか?
作品紹介(出版社より)
人はみな、「幸せな物語」のための材料でしかない。
YO!YO!学園の霧谷ビョルン永劫。
金髪の三つ編みを垂らしたヨーヨーバトラー。
それが僕の妻・美幸の「推し」だ。付き合って三年、三十三歳で結婚した卓郎と美幸。
妊活を始めた矢先、卓郎の無精子症が発覚する。
子を持たずに幸せを手に入れようと約束した二人だったが、
ある日、美幸が「推し」の霧谷ビョルン永劫のアクリルスタンドを購入。
以降ビョルンのアクスタは、食卓に、枕元に、職場の打ち合わせに、旅先に、美幸が行くあらゆる場所に伴われるようになり……。「推し活」を通じて、現代人の孤独とグロテスクな欲望を容赦なく描く、
ノンストップ・アクスタ小説!
作品データ
タイトル:『アクリル』
著者:井上荒野
出版社:集英社
発売日:2026/7/24
作家紹介
井上荒野(いのうえ・あれの)
1961年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。
1989年『 わたしのヌレエフ 』で第1回フェミナ賞を受賞。
2004年『潤一』で第11回島清恋愛文学賞を受賞。
2008年『切羽へ』で第139回直木賞を受賞。
2011年『そこへ行くな』で第6回中央公論文芸賞を受賞。
2016年『赤へ』で第29回柴田錬三郎賞を受賞。
2018年『その話は今日はやめておきましょう』で第35回織田作之助賞を受賞。
その他、『あちらにいる鬼』『生皮 あるセクシャルハラスメントの光景』『小説家の一日』『照子と瑠衣』など著書多数。
井上荒野 の作品
『グラジオラスの耳』 1991/05/01
『もう切るわ』 2001/10/01
『ひどい感じ―父・井上光晴』 2002/08/01
『ヌルイコイ』 2002/10/01
『潤一』 2003/11/01
『森のなかのママ』 2004/03/26
『だりや荘』 2004/07/22
『しかたのない水』 2005/01/26
『誰よりも美しい妻』 2005/12/15
『不恰好な朝の馬』 2006/10/31
『学園のパーシモン』 2007/01/01
『ズームーデイズ』 2007/07/01
『ベーコン』 2007/10/26
『夜を着る』 2008/02/18
『切羽へ』 2008/05/01
『あなたの獣』 2008/11/29
『雉猫心中』 2009/01/22
『静子の日常』 2009/07/01
『女ともだち』 2010/03/18
『つやのよる』 2010/04/01
『もう二度と食べたくないあまいもの』 2010/04/10
『チーズと塩と豆と』 2010/10/05
『ベッドの下のNADA』 2010/12/09
『ハニーズと八つの秘めごと』 2011/02/25
『そこへ行くな』 2011/06/24
『キャベツ炒めに捧ぐ』 2011/09/01
『だれかの木琴』 2011/12/09
『結婚』 2012/03/27
『夜をぶっとばせ』 2012/05/18
『さようなら、猫』 2012/09/15
『それを愛とまちがえるから』 2013/01/24
『あなたにだけわかること』 2013/05/24
『ほろびぬ姫』2013/10/31
『夢のなかの魚屋の地図』 2013/12/21
『虫娘』 2014/08/27
『悪い恋人』 2014/12/05
『ママがやった』 2016/01/16
『赤へ』 2016/06/14
『綴られる愛人』 2016/10/05
『あなたならどうする』 2017/06/16
『その話は今日はやめておきましょう』 2018/05/18
『あちらにいる鬼』 2019/02/07
『あたしたち、海へ』 2019/11/27
『そこにはいない男たちについて』 2020/07/15
『ママナラナイ』 2020/10/14
『百合中毒』 2021/04/26
『生皮 あるセクシャルハラスメントの光景』 2022/04/07
『小説家の一日』 2022/10/13
『荒野の胃袋』 2022/10/20
『僕の女を探しているんだ』 2023/02/20
『錠剤F』2024/1/10
『猛獣ども』2024/8/7
『だめになった僕』2024/10/16
『しずかなパレード』2025/2/19
『私たちが轢かなかった鹿』2025/6/20
『アクリル』2026/7/24


