『多類婚姻譚』凪良ゆう あらすじと感想|結婚制度はすでに破綻しているの?


【2026年71冊目】
今回ご紹介する一冊は、
凪良ゆう 著
『多類婚姻譚』です。
現代の結婚観について考えたい人
あらすじと感想
昭和で言うところの普通の家庭は、令和では特別になってしまったの?
大手食品メーカーに関係する様々な人の、結婚・恋愛・人生を描く、群像劇です
普通の定義なんてもう、無いんだ
誰もが知っている大手食品メーカーに勤める女性、華(はな)さんから物語はスタートです
入社15年目で課長に昇進、女性キャリアの出世頭的な存在で、お仕事は順調なのだが、私生活に問題を抱えています
部屋に転がり込んできた恋人が無職なのだ・・
新商品発売で激務が続く中、田舎の母親から久しぶりの帰省を懇願される
判断力が低下していたのか、疲れすぎて気が緩んだのか、問題ある恋人と帰省した華は家族とどう向き合うのか・・
ジェンダー問題についての作品を多く書いている凪良ゆうですが、本作はその総決算とも言える作品となっています
つまり男は男に生まれだけで、罪人であるんです

ええ?そこまで言われちゃうの!
※以下、若干ネタバレ有りの僕の感想となります
第4章『PositionTalk』の主人公、律(りつ)くんが辛すぎる!!
会社同僚と結婚間近の律くん、連日彼女の朱里(あかり)さんに、けちょんけちょんにヤられてしまうのだ
部内で恋愛したら女の私が移動させられた、結婚したら女の私の負担が増えてしまう、出産したら女の私のキャリアが失われてしまう・・等々
律くんは悪くないのに(むしろいい人!)律くんいは何もしていないのに(今までの男性優位社会のせい?)律くんは男であるゆえに、朱里さんに責められ続けるのです・・

これは地獄だ
さて物語は人を変え、テーマを替えながら、令和に生きる人々の悩みを描いてゆく
それは希望よりも諦めを、祝福よりも呪いを感じさせるものでした

明るい未来が描けない世界が、辛い
男女の差別を無くしハラスメントない社会を目指していたはずなのに、行き着いた先はディストピアだった・・

諦観を漂わせる物語でした

人が幸せになるのが難しい世の中になってしまったんですね
あなたはこの先の未来に、希望を持っていますか?
作品紹介(出版社より)
☆☆☆第175回 直木賞候補作☆☆☆
発売即大重版にて、早くも12万部突破!
一緒に生きる。わかりあえないあなたと。一番近くにいる他人-こいびと-。どうして結婚はこんなに難しくなってしまったのだろう。
『流浪の月』『汝、星のごとく』で二度の本屋大賞を受賞した著者が描く、今そこにある愛のかたち。セクシュアリティ/ジェンダー、金銭感覚、世代間格差、成育環境……
あらゆる価値観の対立の中で現代を生きるわたしたちの祈りと叫び。【凪良ゆう コメント】
「文芸書としては『星を編む』から2年半、ようやく新刊をお届けできます。
今作は結婚について。
婚姻譚と銘打ちながらも、婚姻への道のりがはてしなく遠い!! これは果たして婚姻譚と言えるのか、と担当さん達と首をかしげる場面もありました。
読んでくださった方たちと”現代の結婚”について語り合ってみたいです。」【収録作 紹介】
「Thank you for your understanding」
家族の期待に応え、ついに恋人と帰省する決意を固めた華。
「Beautiful Dreamer」
結婚したい。ありふれた夢のはずなのに、東京ではこんなにも遠い。
「小鳥たち」
離婚して、実家の書店を継いだ一葉。そこに偶然、初恋の人がやって来て--。
「Position Talk」
入籍を目前にした男女。性差を越え、個としてわかり合える日は来るのか。
「C’est la vie」
仕事も恋も、魂を分けあった二人。だが、夢のような時間にはいつか終わりが来る。「こんなこと言っちゃいけないんだけど……」いつからか発言する前に、保険をかけるようになった。誰も傷つけないよう意識を高く生きようとする27歳の佐々木律と、女性の尊厳を大切にする婚約者の朱里。入籍を目前にし、わかりあいたい二人の未来は。(「Position Talk」より)
作品データ
タイトル:『多類婚姻譚』
著者:凪良ゆう
出版社:講談社
発売日:2026/5/27
作家紹介
凪良ゆう(なぎら・ゆう)
滋賀県生まれ。2006年にBL作品にてデビューし、代表作に「美しい彼」シリーズなど作品多数。2017年非BL作品である『神さまのビオトープ』を刊行し高い支持を得る。
2019年に『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。
2020年『流浪の月』で本屋大賞を受賞。近作の『滅びの前のシャングリラ』で2年連続本屋大賞ノミネートとなる。
凪良ゆうの作品紹介
『花嫁はマリッジブルー』(2007年11月)
『恋愛犯 – LOVE HOLIC』(2008年5月)
『花嫁は今夜もブルー』(2008年9月)
『初恋姫』(2009年2月)
『未完成』(2009年4月)
『夜明けには優しいキスを』(2009年7月)
『全ての恋は病から』(2010年3月)
『落花流水』(2010年5月)
『散る散る、満ちる』(2010年7月)
『叶わない、恋をしている』(2010年12月)
『もったいない!』(2011年1月)
『真夜中クロニクル』(2011年4月)
『積木の恋』(2011年10月)
『恋愛前夜』(2011年11月)
『まばたきを三回』(2012年5月)
『天涯行き』(2012年6月)
『お菓子の家– un petit nid』(2012年9月)
『恋をするということ』(2012年12月)
『きみが好きだった』(2013年2月)
『あいのはなし』(2013年9月)
『雨降りvega』(2013年12月)
『おやすみなさい、また明日』(2014年1月)
『求愛前夜– 恋愛前夜2』(2014年4月)
『365+1』(2014年7月)
『それはおまえが童貞だからです』(2014年10月)
『愛しのいばら姫』(2014年12月)
『美しい彼』(2014年12月)
『ショートケーキの苺にはさわらないで』(2015年2月)
『ここで待ってる』(2015年7月)
『累る– kasaneru』(2015年10月)
『ニアリーイコール』(2015年10月)
『初恋の嵐』(2015年11月)
『愛しのニコール』(2016年4月)
『薔薇色じゃない』(2016年6月)
『憎らしい彼– 美しい彼2』(2016年12月)
『闇を呼ぶ声– 周と西門』(2017年1月)
『神さまのビオトープ』(2017年4月)
『天水桃綺譚』(2017年5月)
『2119 9 29(2017年7月)
『セキュリティ・ブランケット 上』(2017年12月)
『セキュリティ・ブランケット 下』(2018年1月)
『すみれ荘ファミリア』(2018年7月)
『満願成就– 周と西門』(2018年9月)
『悩ましい彼– 美しい彼3』(2019年7月)
『流浪の月』(2019年8月)
『わたしの美しい庭』(2019年12月)
『滅びの前のシャングリラ』(2020年10月)
『interlude 美しい彼番外編集』(2021年9月)
『汝、星のごとく』(2022年8月)
『星を編む』2023/11/8
『多類婚姻譚』2026/5/27


