【感想】『汝、星のごとく』凪良ゆう|あの時一緒に花火を見ていたら、ずっと一緒にいられたのだろうか?

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汝、星のごとく|凪良ゆう

ケイチャン

ケイチャン

【2022年144冊目】
今回ご紹介する一冊は、
凪良ゆう 著
『汝、星のごとく』です。

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【感想】「あの時一緒に花火を見ていたら、ずっと一緒にいられたのだろうか?」

2023年本屋大賞

切なさMAXの恋愛小説

母を捨てることが出来ない・・
同じ悩みと似た境遇で分かち難く結ばれた
高校生の櫂(かい)と暁海(あきみ)だが
しかし優しすぎる2人は
恋だけに生きることが出来なかった

冒頭のプロローグで語られる
暁海の結婚生活が不穏当で
不吉な予感しかしないのですが
その予感どおりの障害に満ちた
2人の恋路に胸が苦しくなります

ひとりで生きられない母が重いんだ

恋多き櫂の母
夫に裏切られた暁海の母
2人の母との生活はギリギリの均衡をゆく
壊れる寸前の状況でした

ヤングケアラーの側面も持つ2人は
自分を犠牲にして生活を支えます
しかし2人にも夢がある
先に夢を叶えて東京に行くことになる櫂
暁海も一緒に東京に行くことにするが
直前に母が壊れてしまった

「あの時一緒に花火を見ていたら、ずっと一緒にいられたのだろうか?」

ああ・・もう、切ないんです
幸せになれる・・そのタイミングで
必ず問題が発生する2人の恋が
高校時代に一心同体となり
この人しかいないと思い定めたのに
別れるなんてことあるんでしょうか?

フツーにあるでしょう
恋も結婚もタイミング次第
少し歯車が嚙み合わないだけで
運命のエンジンは止まってしまう
しかしこの2人の運命は
過酷過ぎやしないか?

地元に残った暁海も
東京で華々しく活躍する櫂も
手ひどい挫折を経験する
とくに櫂は大成功した後のため
その沈み具合も散々なものでした

仕事も友も失った櫂
やさぐれて生活は滅茶苦茶になる
過度の飲酒に溺れた代償は
あまりにも大きいものでした

いっぽう暁海は時間を掛けて
自分の夢を叶えて生活を立て直しました
しかし若い頃の恋を忘れることは出来ない
櫂の過酷な運命を知った時
暁海はついに自分の気持ちに従い

一度きりの恋に殉じる

そして暁海は地元を去り
櫂の元へ向かうのでした

ああ、もう遅すぎるよ!
と僕も皆さんも思うことでしょう
しかし暁海が思い切るには
このタイミングしかなかったのです
それが、切ない

そして全てが終わったラストシーン
夜空の下で、櫂の想いを手にした
暁海の心中を思うと
また切なさに心が満たされるのです

あなたは一度きりの恋のタイミングを
掴みとれましたか?

作品紹介(出版社より)

その愛は、あまりにも切ない。

正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。
本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の、心の奥深くに響く最高傑作。

ーーわたしは愛する男のために人生を誤りたい。

風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。
ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。

ーーまともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。

作品データ

タイトル:『汝、星のごとく』
著者:凪良ゆう
出版社:講談社
発売日:2022/8/4

作家紹介

凪良ゆう(なぎら・ゆう)

滋賀県生まれ。2006年にBL作品にてデビューし、代表作に「美しい彼」シリーズなど作品多数。2017年非BL作品である『神さまのビオトープ』を刊行し高い支持を得る。
2019年に『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。
2020年『流浪の月』で本屋大賞を受賞。近作の『滅びの前のシャングリラ』で2年連続本屋大賞ノミネートとなる。

凪良ゆうの作品紹介

『花嫁はマリッジブルー』(2007年11月)
『恋愛犯 – LOVE HOLIC』(2008年5月)
『花嫁は今夜もブルー』(2008年9月)
『初恋姫』(2009年2月)
『未完成』(2009年4月)
『夜明けには優しいキスを』(2009年7月)
『全ての恋は病から』(2010年3月)
『落花流水』(2010年5月)
『散る散る、満ちる』(2010年7月)
『叶わない、恋をしている』(2010年12月)
『もったいない!』(2011年1月)
『真夜中クロニクル』(2011年4月)
『積木の恋』(2011年10月)
『恋愛前夜』(2011年11月)
『まばたきを三回』(2012年5月)
『天涯行き』(2012年6月)
『お菓子の家– un petit nid』(2012年9月)
『恋をするということ』(2012年12月)
『きみが好きだった』(2013年2月)
『あいのはなし』(2013年9月)
『雨降りvega』(2013年12月)
『おやすみなさい、また明日』(2014年1月)
『求愛前夜– 恋愛前夜2』(2014年4月)
『365+1』(2014年7月)
『それはおまえが童貞だからです』(2014年10月)
『愛しのいばら姫』(2014年12月)
『美しい彼』(2014年12月)
『ショートケーキの苺にはさわらないで』(2015年2月)
『ここで待ってる』(2015年7月)
『累る– kasaneru』(2015年10月)
『ニアリーイコール』(2015年10月)
『初恋の嵐』(2015年11月)
『愛しのニコール』(2016年4月)
『薔薇色じゃない』(2016年6月)
『憎らしい彼– 美しい彼2』(2016年12月)
『闇を呼ぶ声– 周と西門』(2017年1月)
『神さまのビオトープ』(2017年4月)
『天水桃綺譚』(2017年5月)
『2119 9 29(2017年7月)
『セキュリティ・ブランケット 上』(2017年12月)
『セキュリティ・ブランケット 下』(2018年1月)
『すみれ荘ファミリア』(2018年7月)
『満願成就– 周と西門』(2018年9月)
『悩ましい彼– 美しい彼3』(2019年7月)
『流浪の月』(2019年8月)
『わたしの美しい庭』(2019年12月)
滅びの前のシャングリラ』(2020年10月)
『interlude 美しい彼番外編集』(2021年9月)
汝、星のごとく』(2022年8月)

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