ケイチャン
【2024年142冊目】
今回ご紹介する一冊は、
櫛木理宇 著
『死蝋の匣』です。
もくじ
【感想】「愛し・愛されたいから、傷つけてしまう」
連続メッタ刺し事件が発生!
容疑者の女性が指名手配されるが
彼女を知る者は口をそろえて言うんだ
そんなことするはずない、と・・
戦慄のサスペンスです
前作『虜囚の犬』の続編です
僕はあいにく未読でして
ちょっと登場人物の背景が
解らないところがありました
先に読んでおくべきでしたね
本作が面白かったので
いずれ読みたいと思います
元・家裁調査官の白石と
警察官の和井田刑事は友人で
白石が溺愛する妹と和井田が
付き合っています
兄の白石は複雑な気持ちですね
ジュニアアイドル事務所の
社長と内縁の妻が殺された
劇薬で顔を焼かれ、ナイフで
メッタ刺しという凄惨さ
不可解なチーズみたいなものは
死蝋(死体が蝋化したもの)でした
猟奇的さが高まるなか
次々と増える、犠牲者たち
いっぽうで物語では
天井裏にひそむ
影のような人物のようすが
挟まれてゆく
父親に母と弟たちを殺され
一家無理心中を生き残った
千草(ちぐさ)さんは思う
父が憎い、けど
父のことを、知りたいんだ・・
もう1人の少女は物心がつく前から
母親によって児童ポルノへ出演していた
私は誰にも愛されない
居場所なんてもう、どこにもない・・
住人が出かけた時を見計らって
コッソリと室内に降り立つ
食べかけのポテチを数枚つまみ
ちょっとだけ歯磨き粉をつけ
歯磨きする
ケイチャン
ぶるるッ、怖い、こわーい
けど少し、おもしろくて
なんだか不思議な気持ちになりました
こんな生活はちょっと
してみたいかも笑
物語に進むにつれて
被害者よりも(悪い人ばかりなので)
加害者に心情移入してゆく
ケイチャン
この不幸な犯人に、救いはないのか?
自分ではどうにもならない
幼少期の出来事で
社会からはみ出てしまった
罪人を描く慟哭の物語でした
ケイチャン
作中にある
『家庭にいない父親と妻』
についての逸話も
既婚者で父親である僕にとって
耳の痛いことでした
猟奇的な描写が目を引くも
しっかりと社会問題も提起する
今を描く本作
ケイチャン
エンタメ作品だからこそ
届く言葉があると思います
ケイチャン
もしかして
あなたの家の天井裏に
影のような人が
いたりしませんか?
作品紹介(出版社より)
事件の鍵は犯人が残した「死蝋」。『虜囚の犬』白石&和井田コンビ再び!
茨城県で滅多刺しの男女の死体と死蝋のかけらが発見される。翌日、白昼のコンビニで女子中学生たちが襲撃される第二の事件が発生。現場の指紋から捜査線上に椎野千草という女性が浮かび上がる。彼女は、十三年前に起きた史上最悪の無理心中事件の生き残りだった――。千草の足取りが掴めぬまま、増えてゆく死体。止まらぬ猟奇殺人犯を元家裁調査官・白石と県警捜査第一課・和井田コンビが追う!
作品データ
タイトル:『死蝋の匣』
著者:櫛木理宇
出版社:KADOKAWA
発売日:2024/7/2
作家紹介
櫛木 理宇(くしき・りう)
2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞読者賞を受賞しデビュー。
同年『赤と白』で第25回小説すばる新人賞を受賞。
『ドリームダスト・モンスターズ』シリーズや、『死刑にいたる病』『209号室には知らない子供がいる』『鵜頭川村事件』『避雷針の夏』や『老い蜂』、映画化を控える『死刑にいたる病』など著書多数。
櫛木理宇の作品紹介
『ホーンテッド・キャンパス』
『お城のもとの七凪町 骨董屋事件帖』(2014/02/20)
『ドリームダスト・モンスターズ』
『チェインドッグ』(2015/07/22)
『赤と白』(2015/12/22)
『侵蝕 壊される家族の記録』(2016/06/18)
『僕とモナミと、春に会う』(2016/12/06)
『避雷針の夏』(2017/07/20)
『死刑にいたる病』(2017/10/25)
『アンハッピー・ウェディング 結婚の神様』(2018/01/09)
『瑕死物件 209号室のアオイ』(2018/11/22)
『少女葬』(2019/05/01)
『世界が赫(あか)に染まる日に』(2019/09/20)
『死んでもいい』(2020/04/16)
『虜囚の犬』(2020/07/09)
『殺人依存症』(2020/10/07)
『鵜頭川村事件』(2020/11/10)
『ぬるくゆるやかに流れる黒い川』(2021/09/09)
『老い蜂(2021/09/24)
『残酷依存症』(2022/04/07)
『氷の致死量』(2022/05/10)
『虎を追う』(2022/06/14)
『少年籠城 』(2023/05/10)
『骨と肉』2024/7/25
『死蝋の匣』2024/7/2