【感想】『二人キリ』村山由佳|その身の獣性に、あらがえない・・

58 views
二人キリ|村山由佳

ケイチャン

ケイチャン

【2024年67冊目】

今回ご紹介する一冊は、

村山由佳 著

『二人キリ』です。

PR

【感想】「その身の獣性に、あらがえない・・」

阿部定事件を描く絶愛小説

愛人の男性器を切り取った
サダとは何者なのか?
けっして社会になじめない
激情の女性の物語です

父を殺した女に会いに行く・・

なぜ父は殺されたのだろう?
サダに殺害された上に
お〇んちんまでちょん切られた
不名誉な男の息子が主人公です

息子といえど愛人の子供
義眼の脚本家、吉弥は父の死に
納得できなかった
あの時ホントは何があったのか?

その真相を知るために
第一発見者の女中を始め
サダの幼なじみから愛人にまで
話を聞いて回るのでした

そしてついに、サダ本人との対話が始まる

父を殺した女の告白に
吉弥は何を思うのだろうか・・

「その身の獣性に、あらがえない・・」

愛人を殺した上にペ〇スを切り取る
当時は大変なスキャンダルだったでしょう
今でも阿部定の影響力は健在で
芸名にする人もいれば
エロ・グロ小説や漫画の題材にされています

しかしホントの彼女はどんな人だったのか?

話し手を変えて語られるサダの姿は
ワガママで奔放、倫理観がなく、こらえ性もない
しかし面倒見がよく、寂しがりやという
多面性を持つものでした

そしてサダ自身が語る、彼女の気持ち
それはいわゆる社会の規範から大きくはずれ
自分でもどうしようもない情動に突き動かされる
鎖に繋ぐことの出来ない人の姿でした

サダの持つ多面性はそのまま
彼女の魅力となっています
美しい容姿に、読めない言動
これは悪女とか妖女と表現するしか
ないような人ですね

物語の終わりのほうで綴られる
殺された父、吉蔵の告白は
惚れた女にとり殺されてゆく
幸福を感じました

定吉二人キリ

破滅の美を描く本作
凄惨な死にざまの吉蔵を
老境に至るまで思い返すサダの姿に
甘美な永遠を見るようです

恋って恐ろしい・・
けどこんな想いをしてみたいって
あなたもそう
思いませんか?

作品紹介(出版社より)

その女は愛する男を殺し、陰部を切り取り逃亡した──
脚本家の吉弥は、少年時代に昭和の猟奇殺人として知られる「阿部定事件」に遭遇。
以来、ゆえあって定の関係者を探し出し、証言を集め続けてきた。
定の幼なじみ、初恋の人、初めての男、芸妓屋に売った女衒、更生を促した学校長、被害者の妻、そして、事件から30年が経ち、小料理屋の女将となっていた阿部定自身……。
それぞれの証言が交錯する果てに、定の胸に宿る“真実”が溢れだす。
性愛の極致を、人間の業を、圧倒的な筆力で描き出す比類なき評伝小説。
作家デビュー30周年記念大作!

作品データ

タイトル:『二人キリ』
著者:村山由佳
出版社:集英社
発売日:2024/1/26

作家紹介

村山由佳(むらやま・ゆか)

1964年、東京都生れ。立教大学卒。
1993年『天使の卵―エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
2003年『星々の舟』で直木賞を受賞。
2009年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞を受賞した。他の著書に、『アダルト・エデュケーション』『放蕩記』『天翔る』『天使の柩』『ありふれた愛じゃない』『ワンダフル・ワールド』『La Vie en Rose ラヴィアンローズ』『嘘 Love Lies』『ミルク・アンド・ハニー』『燃える波』『風よあらしよ』『雪のなまえ』など。

村山由佳の作品紹介

『もう一度デジャ・ヴ』(1993年6月)
『天使の卵』(1994年1月)
BAD KIDS』(1994年7月)
『キスまでの距離– おいしいコーヒーのいれ方』(1994年9月)
『野生の風』(1995年3月)
『青のフェルマータ』(1995年11月)
『きみのためにできること』(1996年11月)
『僕らの夏– おいしいコーヒーのいれ方』(1996年7月)
『翼– cry for the moon』(1997年9月)
『彼女の朝– おいしいコーヒーのいれ方』(1997年10月)
『夜明けまで1マイル– おいしいコーヒーのいれ方』(1999年4月)
『海を抱く– BAD KIDS』(1999年7月)
『緑の午後– おいしいコーヒーのいれ方』(2000年12月)
『約束』(2001年7月)
『すべての雲は銀の…(2001年11月)
『遠い背中– おいしいコーヒーのいれ方』(2002年3月)
『永遠。』(2003年2月)
『星々の舟(2003年3月)
『坂の途中– おいしいコーヒーのいれ方』(2003年5月)
『天使の梯子』(2004年10月)
『優しい秘密– おいしいコーヒーのいれ方』(2004年5月)
『聞きたい言葉– おいしいコーヒーのいれ方』(2005年5月)
『夢のあとさき– おいしいコーヒーのいれ方』(2006年5月)
『ヘヴンリー・ブルー』(2006年8月)
『蜂蜜色の瞳– おいしいコーヒーのいれ方 Second Season』(2007年5月)
『明日の約束– おいしいコーヒーのいれ方 Second Season』(2008年5月)
『ダブル・ファンタジー』(2009年1月)
『消せない告白– おいしいコーヒーのいれ方 Second Season』(2009年5月)
『遥かなる水の音』(2009年11月)
『凍える月– おいしいコーヒーのいれ方 Second Season』(2010年5月)
『アダルト・エデュケーション』(2010年7月)
『約束– 村山由佳の絵のない絵本』(2011年3月)
『雲の果て– おいしいコーヒーのいれ方 Second Season』(2011年6月)
『彼方の声– おいしいコーヒーのいれ方 Second Season』(2011年12月)
『放蕩記』(2011年11月)
『花酔ひ』(2012年2月)
『ダンス・ウィズ・ドラゴン(2012年5月)
『記憶の海 – おいしいコーヒーのいれ方 Second Season』(2012年6月)
『天翔る』(2013年3月)
『地図のない旅– おいしいコーヒーのいれ方 Second Season』(2013年6月)
『天使の柩』(2013年11月)
『ありふれた愛じゃない』(2014年3月)
『ワンダフル・ワールド』(2016年3月)
『ラヴィアンローズ』(2016年7月)
『嘘 Love Lies』(2017年12月)
『風は西から』(2018年3月)
『ミルク・アンド・ハニー』(2018年5月)
『燃える波』(2018年7月)
『はつ恋』(2018年11月)
『まつらひ』(2019年1月)
『ありふれた祈り– おいしいコーヒーのいれ方 Second Season』(2020年6月)
『風よ あらしよ』(2020年9月)
『雪のなまえ』(2020年12月)
『てのひらの未来– おいしいコーヒーのいれ方 Second Season:アナザーストーリー』(2022年5月)
星屑』(2022年7月)
BAD KIDS』(2022年10月)※文庫
『ある愛の寓話』(2023年1月)
Row&Row』(2023年3月)
二人キリ』2024/1/26

PR
カテゴリー:
関連記事