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ケイチャン
【2024年66冊目】
今回ご紹介する一冊は、
夏川草介 著
『スピノザの診察室』です。
もくじ
【感想】「人は死ぬ、必ず死ぬ、絶対に死ぬ」
本当に人のためになる医療って
なんなの?
冷酷で無慈悲な世界に生きる僕らの
祈りのような物語です
京都のこぢんまりとした
病院で働く雄町哲郎(おまち てつろう)
チャリンコ通勤し、外来往診もする彼は
実は将来を嘱望された凄腕医師でした
大学病院で最先端医療を学び
数々の難しい手術をこなしていたが
亡き妹の息子を引き取ることになり
大学でのキャリアを捨てる決断をする
![ビートルくん](https://keibooks.com/wp-content/uploads/2024/06/c53600e2fab455a3d870f0f29f0cee34.jpg)
ビートルくん
野に降りた天才、というかんじですね
物語は地域の人々と寄り添い
地道な仕事を続ける哲郎と
彼の実力を惜しむ大学病院の人
そして彼の患者の姿を描きながら
ホントの医療とは何かという
難しい問題を考えていきます
死が医療の敗北であるなら
医者は必ず負ける運命にあります
だって人は死ぬ存在ですからね
大きな矛盾を抱えているわけです
必敗が宿命である
残酷な世界に僕らは生きている
でも、だからこそ、
努力することに意義がある
人の生き死にと向き合う
哲郎たち医師の姿が
辛く、悲しいのに
美しく、魅力的です
つねに悩み、考えている
哲郎の真摯な姿には
暖かい共感を覚えます
![ケイチャン](https://keibooks.com/wp-content/uploads/2024/06/6b4c150044912f63f344be8fc11e16ff.jpg)
ケイチャン
だって僕らも生きる意義を
探している人間ですものね
おそらく正解などない
生きる意義を探る本書は
悟りを求めてさまよう
巡礼者を描いているようでした
妹の遺児、龍之介との毎日
大好きな、お餅グルメを楽しむ瞬間
そして患者や同僚との交流
人の生きる意義は、ここにある・・
医療の過酷さと、けれど
そこにある喜びを描く
祈りのような物語でした
懸命に働く医師たちに
感謝の念がわきます
![ケイチャン](https://keibooks.com/wp-content/uploads/2024/05/09f86514358ed9c4a4bfca3dc49ec3e3.jpg)
ケイチャン
努力して生きるって
素晴らしいですね
作品紹介(出版社より)
現役医師として命と向き合い続けた著者が到達した、「人の幸せ」とは。
累計340万部のベストセラー『神様のカルテ』シリーズを凌駕する、新たな傑作の誕生!その医師は、最期に希望の明かりをともす。
【あらすじ】雄町哲郎は京都の町中の地域病院で働く内科医である。三十代の後半に差し掛かった時、最愛の妹が若くしてこの世を去り、 一人残された甥の龍之介と暮らすためにその職を得たが、かつては大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望された凄腕医師だった。 哲郎の医師としての力量に惚れ込んでいた大学准教授の花垣は、愛弟子の南茉莉を研修と称して哲郎のもとに送り込むが……。
作品データ
タイトル:『スピノザの診察室』
著者:夏川草介
出版社:水鈴社
発売日:2023/10/27
作家紹介
夏川草介(なつかわ・そうすけ)
1978年大阪府生まれ。信州大学医学部卒。長野県にて地域医療に従事。
2009年『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同書で2010年本屋大賞第2位、映画化もされた。
他の著著に『神様のカルテ2』『神様のカルテ3』『神様のカルテ0』『本を守ろうとする猫の話』がある。
夏川草介の作品紹介
『神様のカルテ』2009/8/27
『神様のカルテ2』2010/9/28
『神様のカルテ3』2012/8/8
『本を守ろうとする猫の話』2017/1/31
『新章 神様のカルテ』2019/1/31
『勿忘草の咲く町で ~安曇野診療記~』2019/11/28
『始まりの木』2020/9/25
『臨床の砦』2021/4/23
『レッドゾーン』2022/8/30
『スピノザの診察室』2023/10/27
『君を守ろうとする猫の話』2024/2/28