ケイチャン
【2023年112冊目】
今回ご紹介する一冊は、
恩田陸 著
『夜果つるところ』です。
もくじ
【感想】「恐ろしくも美しい、堕月荘の磁力」
山中にそびえる大娼館
堕月荘(ついげつそう)
3人の母と暮らす少女が見る
幻想的で破滅的な物語です
究極のメタフィクションが
ここに完成する!
作者の前作
『鈍色幻視行』に登場する
架空の小説を、ホントに
発刊してしまいました
呪われた小説
2度、映画化が試みられるも
その都度、人が死に
映像化されることがなかった小説が
この『夜果つるところ』です
『鈍色幻視行』の登場人物たちが
熱く語っていた『夜果つるところ』
その蠱惑的な娼館
堕月荘(ついげつそう)に
僕も期待に胸を膨らませ
登楼しました
本書の特色は
メタフィクションである
と、いうことでしょう
『鈍色幻視行』で登場人物たちが
その内容や感想を
語っていましたが
僕もその一員となれるのです
そして、堕月荘(ついげつそう)
まず、名前がイイ!笑
月が墜落するという
不吉で破壊的なイメージに
溺れてしまいそうです
素晴らしいセンスですね!!
増築と改築を重ねた
迷宮のような巨大娼館
和洋折中の幻想的な
魅力たっぷりの魔窟です
ここを舞台にして
謎めいて罪を抱えたような
登場人物たちが織りなす
愛憎と欲望の大宴会
まるで美しい悪夢を
見ているようでした
そして遂に訪れる
破滅の時
燃え上がる堕月荘の最後に
少女が見るものは・・
めくるめく男女の
愚かでどうしようもない
人の性(さが)でした
強くイメージを喚起する
唯一無二の物語
あなたも一緒に
堕月荘へ行ってみませんか?
作品紹介(出版社より)
執筆期間15年のミステリ・ロマン大作『鈍色幻視行』の核となる小説、完全単行本化。
「本格的にメタフィクションをやってみたい」という著者渾身の挑戦がここに結実…!遊廓「墜月荘」で暮らす「私」には、三人の母がいる。日がな鳥籠を眺める産みの母・和江。身の回りのことを教えてくれる育ての母・莢子。無表情で帳場に立つ名義上の母・文子。ある時、「私」は館に出入りする男たちの宴会に迷い込む。着流しの笹野、背広を着た子爵、軍服の久我原。なぜか彼らに近しさを感じる「私」。だがそれは、夥しい血が流れる惨劇の始まりで……。
謎多き作家「飯合梓」によって執筆された、幻の一冊。
『鈍色幻視行』の登場人物たちの心を捉えて離さない、美しくも惨烈な幻想譚。
作品データ
タイトル:『夜果つるところ』
著者:恩田陸
出版社:集英社
発売日:2023/6/26
作家紹介
恩田陸(おんだ・りく)
1964年宮城県出身。早稲田大学卒。
1992年日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『六番目の小夜子』でデビュー。
2005年『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞、本屋大賞受賞。
2006年『ユージニア』で日本推理作家協会賞受賞。
2007年『中庭の出来事』で山本周五郎賞受賞。
2017年『蜜蜂と遠雷』で直木賞と2度目の本屋大賞をそれぞれ受賞。
ホラー、SF、ミステリーなど、さまざまなタイプの小説で才能を発揮している。
著書に、『三月は深き紅の淵を』『光の帝国常野物語』『ライオンハート』『私と踊って』『夜の底は柔らかな幻』『スキマワラシ』『灰の劇場』などがある。
恩田陸の作品紹介
『六番目の小夜子』(1998/8/1)
『球形の季節』(1994/4/1)
『不安な童話』(1994/11)
『三月は深き紅の淵を』(1997/10)
『象と耳鳴り』(1999/10/1)
『木曜組曲』(1999/11)
『月の裏側』(2000/3/1)
『ネバーランド』(2000/7/5)
『麦の海に沈む果実』(2000/7/25)
『上と外』(2000年8月)
『puzzle』(2000/10/1)
『ライオンハート』(2000/12/1)
『MAZE』(2001/2/1)
『ドミノ』(2001/7/27)
『黒と茶の幻想』(2001/12)
『図書室の海』(2002/2/22)
『劫尽童女』(2002/4/1)
『ロミオとロミオは永遠に』(2002/10)
『ねじの回転』(2002/12)
『蛇行する川のほとり』(2002/12)
『まひるの月を追いかけて』(2003/9/11)
『クレオパトラの夢』(2003/10/1)
『黄昏の百合の骨』(2004/3/5)
『禁じられた楽園』(2004/4/21)
『Q&A』(2004/6)
『夜のピクニック』(2004/7/31)
『夏の名残りの薔薇』(2004/9/25)
『ユージニア』(2005/2/3)
『蒲公英草紙– 常野物語』(2005/6/3)
『ネクロポリス』(2005/10/13)
『エンド・ゲーム– 常野物語』(2006/1/5)
『チョコレートコスモス』(2006/3/15)
『中庭の出来事』(2006/11/29)
『朝日のようにさわやかに』(2007/3/1)
『木洩れ日に泳ぐ魚』(2007/7/1)
『いのちのパレード』(2007/12)
『不連続の世界』(2008/7/1)
『きのうの世界』(2008/9)
『ブラザー・サンシスター・ムーン』(2009/1/23)
『訪問者』(2009/5/14)
『六月の夜と昼のあわいに』(2009/6)
『私の家では何も起こらない』(2010/1/6)
『夢違』(2011/11/12)
『私と踊って』(2012/12/1)
『夜の底は柔らかな幻』(2013/1)
『雪月花黙示録』(2013/12/25)
『かがみのなか(2014/7/21)
『EPITAPH東京』(2015/3/6)
『ブラック・ベルベット』(2015/5)
『消滅 – VANISHINGPOINT』(2015/9)
『タマゴマジック』(2016/3/1)
『蜜蜂と遠雷』(2016/9/23)
『七月に流れる花』(2016/12/20)
『八月は冷たい城』(2016/12/20)
『終りなき夜に生れつく』(2017/2/20)
『失われた地図』(2017/2/10)
『錆びた太陽』(2017/3/21)
『おともだちできた?』(2017/6/30)
『祝祭と予感』(2019/10/4)
『歩道橋シネマ』(2019/11/20)
『ドミノin上海』(2020/2/4)
『スキマワラシ』(2020/8/5)
『灰の劇場』(2021/2/16)
『薔薇のなかの蛇』(2021/5/26)
『愚かな薔薇』(2021/12/23)
『なんとかしなくちゃ。青雲編』(2022/11/7)
『鈍色幻視行』( 2023/05/26)
『夜果つるところ』( 2023/06/26)