【感想】『ルミネッセンス』窪美澄|やり残した後悔で、焦燥に駆られてしまう

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ルミネッセンス|窪美澄

ケイチャン

ケイチャン

【2023年111冊目】

今回ご紹介する一冊は、

窪美澄 著

『ルミネッセンス』です。

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【感想】「やり残した後悔で、焦燥に駆られてしまう」

連作短編集

昭和時代に建てられた
巨大な団地群
古ぼけたそこに住む人々を描く
すすけた闇溜まりのような物語です

ロールモデルは、失われた

50歳を過ぎて
初老と呼ばれる年代に
差し掛かった人々が
1~3話の主人公たちです

昭和に生まれて
平成に就職して働き
そして今、令和で
仕事人生も終盤を迎えますが
未だ悩みは尽きない

仕事に
家庭に
異性に
人生も半ばを過ぎたはずなのに
どうしてこうも、惑うのだろう?

価値観が変化し過ぎて
ロールモデル(お手本)なんて
もう、何が何だか分からない世代です
親世代がまだ
しっかりした人生観を持っていた分
そのギャップが大きい

僕たちはどう生きれば
正解だったのだろう?

「やり残した後悔で、焦燥に駆られてしまう」

生徒に寄り添えなかった
教師

同級生を憐れんでしまった
主婦

憧れの女性と再会した
工務店主

次々と破滅してゆく

4話は
傷を負った女子中学生の
再生の物語

そして5話は
引っ越してきた青年の

心に闇を抱く
苦悩する人々の姿が描かれる

前作の
『タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース』
でも古い団地が印象的に書かれていました
遠い過去になりつつある
昭和の象徴のような存在ですね

移ろいゆく時のよう

闇溜まりに吸い込まれる人を見て
自分だけはこんな風にならないって
あなたはそう
思えますか?

作品紹介(出版社より)

町に呑みこまれていくことに、疑いを持たなくなったのはいつからだろう。
ぬかるみの暗い温もりに、心安まるのはなぜだろう。

低層の団地群を抱くその町は寂れていた。商店街にはシャッターが目立ち、若者は都会に去り、昔からある池には幽霊が出るという。その土地で人びとが交わすどこか歪な睦み。母の介護にやって来た男はバーで出会った少年に惹かれ、文房具店の女は一人の客のためだけに店を開ける。同窓会を機に生まれた熱情に任せ、不実の恋に溺れる者たち……。終着点は見えている。だから、輝きに焦がれた。瞬く間に燃え尽きてもいいから。

作品データ

タイトル:『ルミネッセンス』
著者:窪美澄
出版社:光文社
発売日:2023/7/20

作家紹介

窪美澄(くぼ・みすみ)

1965年東京生まれ。
2009年「ミクマリ」で女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞。
受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10第1位、2011年本屋大賞第2位に選ばれる。

窪美澄の作品紹介

『ふがいない僕は空を見た』(2010年7月)
『晴天の迷いクジラ』(2012年2月)
『クラウドクラスターを愛する方法』(短編集)
『アニバーサリー』(2013年3月)
『雨のなまえ』(短編集)(2013年10月)
『よるのふくらみ』(短編集)(2014年2月)
『水やりはいつも深夜だけど』(短編集)(2014年11月)
『さよなら、ニルヴァーナ』(2015年5月)
『アカガミ』(2016年4月)
『すみなれたからだで』(短編集)(2016年10月)
『やめるときも、すこやかなるときも』(2017年3月)
『じっと手を見る』(2018年4月)
『トリニティ』(2019年3月)
『いるいないみらい』(短編集)(2019年6月)
『たおやかに輪をえがいて』(2020年2月)
『私は女になりたい』(2020年9月)
『ははのれんあい』(2021年1月)
『朔が満ちる』(2021年7月)
朱より赤く: 高岡智照尼の生涯』(2022年1月)
夜に星を放つ』(2022/5/2)
夏日狂想』(2022/9/29)
タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース』(2022/12/19)
ルミネッセンス』(2023/7/2)

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