【感想】『朱より赤く 高岡智照尼の生涯』窪美澄|美しすぎて不幸になる

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朱より赤く: 高岡智照尼の生涯||窪美澄

ケイチャン

ケイチャン

【2022年32冊目】

今回ご紹介する一冊は、

窪美澄 著

『朱より赤く 高岡智照尼の生涯』です。

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【感想】「美しすぎて不幸になる」

その美貌から父に芸妓へ売られ
社長夫人、アメリカでの生活、女優と転身し
30代で仏門へ入った

Nine-Fingered Geisha(9本指の芸者)こと
舞妓、菜乃葉の半生を描く物語です

250円で父に売られる

娘を売った金が父の手に入り
その金が売られた娘の借金となるシステムは
現代の感覚ではちょっと理解できません
子供は親の所有物で、一種の動産だったのでしょう
12才で売られます、今だと小学6年生ですね

磨けば光るぜ

斡旋屋の見込みどおり芸妓となると人気が出る
涙の水揚げを経験する菜乃葉
13才です

そして事件が起こる
結婚を約束した客に浮気を疑われ、破局する
とっさに自らの小指を切り落とし、男に突き付ける
これが潔白の証、とっておきなさい!
14才です

「美しすぎて不幸になる」

これがNine-Fingered Geisha(9本指の芸者)の誕生です
新聞報道され話題となり一躍有名となる菜乃葉
その美貌からプロマイド写真も飛ぶように売れ
(現在でもインターネットに出回ってて見れます)
新天地の東京でも引く手あまたとなります

しかしそれは自らの肉体を切り売りする日々

男たちが要求する対価は常にカラダ
私は美しく豪華なトロフィー
そこにココロは必要ない
そして飾られた美しい花も
枯れたら捨てられるでしょう・・

若く美しい10代20代を
高価で希少なスポーツカーが
高値で転売されるように男たちの間を行き来する
その欲望と執着心に身も心も疲れ果てる

望むのは平穏

しかし時代は男尊女卑の昭和時代
女ひとりで暮らしてゆくことは難しい
30代になり赤貧に喘ぐ
だが気付くのだ
男たちに搾取されてた頃より、いいじゃないか

美貌が衰えたことによって
かえって周りの人々から
無償の援助を受けられるようになったのです

そして選んだ希望
それは現世の物を全て捨てて
仏門へ入る事でした

晴れやかに剃髪を受ける
そこには荒れ果てた荒野に芽吹く
若葉のような強さを感じました

物語はここで終わりますが
実在の高岡智照尼は長寿に恵まれて
平成8年まで生きられます
僕と同じ時間を生きていたなんて
子供が250円で売られていた時代は
そんなに遠くなかったんですね

作品紹介(出版社より)

何かを断たなければ、生きていけない。

 父は、女にだらしのない鍛冶職人だった。物心ついたとき、すでに母はいなかった。綺麗な着物を着せたる、という父の誘うような言葉に乗じて、12歳だった彼女は、気が付けば菜乃葉の名で大阪にて舞妓見習いをさせられていた。
 14歳で旦那への腹いせのようにして小指を切り落としたことで世間の耳目を集め、ブロマイドは飛ぶように売れた。花柳界から退いたあとも、社長夫人、映画女優と華やいだ世界に身を置いた。
 それでも、彼女の心が定まることはなかった。38歳、仏門を叩いた。

作品データ

タイトル:『朱より赤く 高岡智照尼の生涯』
著者:窪美澄
出版社:小学館
発売日:2022/1/26

作家紹介

窪美澄(くぼ・みすみ)

1965年東京生まれ。
2009年「ミクマリ」で女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞。
受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10第1位、2011年本屋大賞第2位に選ばれる。

窪美澄の作品紹介

『ふがいない僕は空を見た』(2010年7月)
『晴天の迷いクジラ』(2012年2月)
『クラウドクラスターを愛する方法』(短編集)
『アニバーサリー』(2013年3月)
『雨のなまえ』(短編集)(2013年10月)
『よるのふくらみ』(短編集)(2014年2月)
『水やりはいつも深夜だけど』(短編集)(2014年11月)
『さよなら、ニルヴァーナ』(2015年5月)
『アカガミ』(2016年4月)
『すみなれたからだで』(短編集)(2016年10月)
『やめるときも、すこやかなるときも』(2017年3月)
『じっと手を見る』(2018年4月)
『トリニティ』(2019年3月)
『いるいないみらい』(短編集)(2019年6月)
『たおやかに輪をえがいて』(2020年2月)
『私は女になりたい』(2020年9月)
『ははのれんあい』(2021年1月)
『朔が満ちる』(2021年7月)
朱より赤く: 高岡智照尼の生涯』(2022年1月)

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