サスペンス

『白と黒のソナタ』宇佐美まこと あらすじと感想|挫折の果てにまつ、光

宇佐美まこと『白と黒のソナタ』あらすじと感想
ケイチャン(サカキ ケイ)

【2026年48冊目】

今回ご紹介する一冊は、

宇佐美まこと 著

『白と黒のソナタ』 です。

この小説はこんな人にオススメ

音楽(ピアノ)をテーマにした小説が好き、歴史ロマンが好き

あらすじと感想

ピアノ百年小説

若き俊英のピアニストは
挫折なく栄光の道を進めるか?
100年前に作られたグランドピアノが繋ぐ
信念と挫折を描く、群像小説です

呪いのピアノって、あるのかな?

今まさにブレイク時を迎える若手ピアニスト
友澤伸多(ともざわ しんた)の姿から
この長い物語はスタートします
リサイタルの依頼は引きも切らず
美しい恋人もいて順風満帆のようす

暗雲は突然あらわれる

右手に違和感を覚える、伸多
原因不明の難病ジストニアを発症し
ピアノに触れると右手はねじれてしまう
・・どうして僕が!どうすればいい?

右手がピアノを弾けなくなり
自暴自棄になり全てを諦めた時
100年の時を超えて呪いのピアノ
と呼ばれた至高のグランドピアノ
ニーマイヤーが彼の元に現れるのだ

「挫折の果てにまつ、光」

伸多の栄光と挫折を描く現代のパートと
並行して進むのが1台のグランドピアノ
名機ニーマイヤー誕生の物語です

舞台は大正時代のロンドン

駐英大使の小間使いとして渡英した少年
喜三郎(きさぶろう)くんから始まり
華族の大使令嬢、随子(よりこ)の悲劇と
新進気鋭のピアニスト、アッカーの苦難など
登場人物を増し、物語は大きく広がってゆく

ガルシア・マルケス『百年の孤独』のよう

時代と運命に翻弄される登場人物たち
栄光、恋、不運、そして挫折と
人生が万華鏡のように回ってゆく
めくるめくストーリー展開に
引き込まれます

海を渡る、呪いのピアノ

中盤では日本に来たニーマイヤーの
その後のようすが語られます
繰り返す悲劇のロンドが描かれ
人の不幸に終わりはないと感じてしまう

でも諦めてはいけない

絶望の淵で伸多は気が付く
僕にはまだ左手があるじゃないか
再びピアノを弾く喜びに気がついた時
物語は彼の前で1つに収束します

そして運命が出会う

100年の時を経て伸多の元に
やってきたニーマイヤー
数多の先人たちの希望を乗せて
伸多に光をもたらしたのでした

光は闇の中で輝くが闇はそれに打ち勝たなかった

作中にある聖書の1句です

繰り返す悲劇の果てについに持つべき者へとたどり着いた
ニーマイヤーの喜びが聞こえるような美しいエンディングでした

作品紹介(出版社より)

――先生は光でした。
私が求めていた光。
昭和初期、英国ロンドンで造られた、この世に二つとない至高のグランドピアノ。
それは華族の令嬢随子のピアノ教師に贈られるはずだったが……。
戦前、戦後、そして現在。物言わぬピアノが立ち会った栄華と悲恋。
百年の無念と切なる願いを、一台のピアノがつなぐ

ピアノ、それは黒く輝く怪物
大正十二年、ロンドン。駐英大使平松伯爵の娘随子は恋に落ちた。才能ある若きピアニスト、グスタフ・アッカーに。平松伯爵は使用人の少年を現地の工房に弟子入りさせ、アッカーのために贅を尽くしたピアノを作らせるなど、芸術に理解のある人だった。しかしアッカーへの想いを秘めてピアノを弾く幸せな少女時代を送っていた随子には、残酷な運命が待ち受けていた。
現代、日本。世間の注目を一身に集める若手ピアニスト友澤伸多は、さらなる高みを目指して練習に没頭していた。ところがある日、仕上がったはずの曲が弾けなくなった。それはピアニスト生命を断ちかねない、危険な予兆だった。
つらい時、そのピアノは、ただそこにあった。
ひとすじの希望を手繰り寄せる感動のドラマ!

作品データ

タイトル:『白と黒のソナタ』
著者:宇佐美まこと
出版社:祥伝社
発売日:2026/4/7

作家紹介

宇佐美まこと(うさみ・まこと)

1957年愛媛県生まれ。
2006年「るんびにの子供」で第1回「幽」怪談文学賞短編部門を受賞しデビュー。
2017年『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門を受賞。
著書に『入らずの森』『角の生えた帽子』『死はすぐそこの影の中』『熟れた月』『骨を弔う』『羊は安らかに草を食み』『子供は怖い夢を見る』 『月の光の届く距離』『夢伝い』『ドラゴンズ・タン』 『逆転のバラッド』などがある。

宇佐美まことの作品紹介

『るんびにの子供』(2007/5/1)
『虹色の童話』(2008/6)
『入らずの森』(2009/3)
『愚者の毒』(2016/11)
『角の生えた帽子』(2017/9/22)
『死はすぐそこの影の中』(201/10)
『熟れた月』(2018/2/15)
『骨を弔う』(2018/6/28)
『少女たちは夜歩く』(2018/10)
『聖者が街にやって来た』(2018/12/6)
『恋狂ひ』(2019/3)
『展望塔のラプンツェル』(2019/9/18)
『黒鳥の湖』(2019/12/11)
『ボニン浄土』(2020/6/16)
『夜の声を聴く』(2020/9)
『羊は安らかに草を食み』(2021/1/7)
『子供は怖い夢を見る』(2021/9/29)
月の光の届く距離』(2022/1/18)
『夢伝い』(2022年5月)
ドラゴンズ・タン』(2022年9月)
逆転のバラッド』(2023/2/15)
『ボニン浄土』 2023/7/6
『鳥啼き魚の目は泪』2023/7/19
誰かがジョーカーをひく』2023/11/29
月白』2026/1/7
白と黒のソナタ』2026/4/7

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ケイチャン
ケイチャン
サラリーマン読書家
年間150冊以上の本(主に小説)を読む、名古屋で働くサラリーマン【ケイチャン】です。食べることが大好きな僕が撮影している「本のある日常風景」と共に、本の紹介と感想のブログをお楽しみください!オススメの本は?この本気になるけど面白い?…など、読む本に迷った方への参考になれば幸いです。好きな言葉は「花には水を、人には愛を!」【ケイチャンブックス】よろしくお願いします!一緒に読書を楽しみましょう!!
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