エンタメ

【本の感想】『三毒狩り 下』東山彰良|せっかく蘇ったのにあきらめるなんて、出来る?

東山彰良『三毒狩り 下』
ケイチャン(サカキ ケイ)

【2025年102冊目】

今回ご紹介する一冊は、

東山彰良 著

『三毒狩り 下』です。

【感想】「せっかく蘇ったのにあきらめるなんて、出来る?」

伝奇中国小説

地獄から蘇った悪霊どもを
再び地獄に連れ戻す!
閻魔大王の使いとなった
中華風悪霊退治小説です

あれれ?上巻とずいぶん趣が違うぞ!

地獄に落ちた、佟雨龍(とう うりゅう)
下巻は地獄で責め苦をうける主人公の
悔悟の姿からのスタートです
・・あんな殺人、するんじゃなかった

ところが地獄に穴が開く

毛沢東の核実験がなんと
地獄に穴を開けてしまった
これ幸いにと逃亡する亡者たち
この中になんと地獄の大物
伝説の三毒さまもいたんだ

そこで白羽の矢が立つのが
我らが佟雨龍(とう うりゅう)くん
閻魔大王の使命を帯びて
三毒さまを連れ帰るために
地獄から、この世に蘇るんだ

「せっかく蘇ったのにあきらめるなんて、出来る?」

時代小説ぽかった上巻だったのに
地獄から始まる下巻は完全に
伝奇小説の様相です
ギャップに驚かされます

せっかく蘇ったのに、後悔ばかり

鬼(グイ)として蘇ったものの
人間だったあの頃にはもう戻れない
後悔とあきらめに胸が痛みます

やっと登場、三毒さま

タイトルの三毒さまが
下巻でやっと登場します
貪り(鶏)、怒り(蛇)、愚かさ(豚)
人間の欲望が獣化した化け物です

さて蘇った雨龍は心ならずも
やんちゃ娘の姉、平平(ビンビン)ちゃん
腐れ縁で喧嘩っ早い羅(ら)兄弟らと
騒がしい珍道中をしつつ
三毒さまが待つ、青島(チンタオ)に向かう

わーわー、ぎゃーぎゃーと
賑やかな仲間たちとのやり取りが無限にオモシロイ
とくに平平ちゃんの威勢の良さが気に入ってしまいました

『オマエのお祖母さまじゃ!!』


などの中華風スラングも笑えます
へ~、中国ってこんな言い方するんだ
と、豆知識が増える感じで楽しい

そして迎えるボス戦

ラストシーンで三毒さまと対峙する
佟雨龍(とう うりゅう)
後悔だらけの蘇りから得た
諸行無常の教訓が胸に響きました

直木賞作家が描く
中華風悪霊退治の物語

武侠小説のノリもあり泣かせるシーンもある
盛りだくさんのエンタメ作品でした

作品紹介(出版社より)

青年は、”あの男”と三毒を追って冥土から蘇った!
地獄をも巻き込んだ佟雨龍の空前絶後の”生涯”はいよいよ結末へーー。
「三毒の克星(天敵)は、死心(あきらめ)じゃとおれは思う」
養父母を失ったうえ、姉すらも守ることができず、悔悟と激しい怒りに苛まれる青年・佟雨龍。とうとう、その元凶である村の青年幹部・田冲に復讐し、自らも殺人の咎で銃殺刑に処される……。ところが、ようやくたどり着いた冥土で、ひょんなことから功績が認められ、ある条件と引き換えに、再び”この世”に舞い戻ることを許される。その条件とは、人間界に逃げ出した三毒の討伐だった――。目次第二部

11 血河池に沈む

12 冥土に穴が開く

13 佟雨龍人界派遣論第三部

14 人と鬼のはざまで

15 帰郷

16 仮説

17 再会

18 無空の碧き眼

19 李平は生娘

20 アーメン

21 聖ラザロ聖堂

22 往生際の悪い豚は二度殺される

23 五つの扉

作品データ

タイトル:『三毒狩り 下』
著者:東山彰良
出版社:毎日新聞出版
発売日:2025/7/22

作家紹介

東山彰良(ひがしやま・あきら)

1968年台湾台北市生れ。9歳の時に家族で福岡県に移住。
2003年「このミステリーがすごい!」大賞銀賞・読者賞受賞の長編を改題した『逃亡作法 TURD ON THE RUN』でデビュー。
2009年『路傍』で大藪春彦賞を受賞。
2015年『流』で直木賞を受賞。
2016年『罪の終わり』で中央公論文芸賞を受賞。
2017年から2018年にかけて『僕が殺した人と僕を殺した人』で、織田作之助賞、読売文学賞、渡辺淳一文学賞を受賞する。
『夜汐』『どの口が愛を語るんだ』など著書多数。

東山彰良の作品紹介

『イッツ・オンリー・ロックンロール』(2007/7/1)
『路傍』(2008/2/26)
『ジョニー・ザ・ラビット』(2008/12/10)
『さようなら、ギャングランド』(2008/10/2)
『愛が噛みつく悪い星』(2009/5/12)
『ファミリー・レストラン』(2011/8/18)
『ライフ・ゴーズ・オン』(2013/3/14)
『流』 (2015/5/13)
『ブラックライダー(上)』(2015/10/28)
『ブラックライダー(下)』(2015/10/28)
『ラブコメの法則』(2016/1/20)
『罪の終わり(2016/5/20)
『女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた。』(2017/11/22)
『夜汐』(2018/11/28)
『ありきたりの痛み』(2019/3/8)
『DEVIL’S DOOR』(2019/6/19)
『越境』(2019/7/26)
『逃亡作法~TURD ON THE RUN~』(2019/11/12)
『小さな場所』(2019/11/14)
『恋々』(2020/9/4)
怪物』(2022/1/31)
三毒狩り 上』2025/7/22
三毒狩り 下』2025/7/22

Xからの読者コメントをお待ちしています。
ブログ更新の励みになります!
ABOUT ME
ケイチャン
ケイチャン
サラリーマン読書家
年間150冊以上の本(主に小説)を読む、名古屋で働くサラリーマン【ケイチャン】です。食べることが大好きな僕が撮影している「本のある日常風景」と共に、本の紹介と感想のブログをお楽しみください!オススメの本は?この本気になるけど面白い?…など、読む本に迷った方への参考になれば幸いです。好きな言葉は「花には水を、人には愛を!」【ケイチャンブックス】よろしくお願いします!一緒に読書を楽しみましょう!!
Recommend
こちらの本もオススメです
記事URLをコピーしました