【感想】『怪物』東山彰良|虚構(フィクション)が現実を侵食する

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『怪物』東山彰良

ケイチャン

ケイチャン

【2022年28冊目】

今回ご紹介する一冊は、

東山彰良 著

『怪物』です。

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【感想】「虚構(フィクション)が現実を侵食する」

怪物とはいったい何なのだ!
大躍進期の荒廃した中国と
現代の日本でさまよう男の
魂の物語

ちょっと複雑な構成になっており
最初はとまどってしまいました

主人公は台湾人の作家『わたし』こと柏山康平
叔父を主人公とした『怪物』という本で一発当て
もっかブイブイ言わしております

この叔父がもう一人の主人公です
台湾空軍兵の彼は偵察機を撃墜されて
敵地中国をから命からがら台湾へ戻り
その後自殺します
これが現実の話

『怪物』で語られる叔父は
敵地中国で民兵団に入り大活躍!?
殺戮と裏切りの末に協力した女性を捨てて
台湾に戻ります
これが虚構の話

「虚構(フィクション)が現実を侵食する」

そして最後の第3章で再生された
新しい『怪物』叔父の物語とは
200人の農民を爆殺する計画は
どう改変されるのだろうか

作品紹介(出版社より)

乗機B-17を撃墜され、毛沢東治世下の敵国に落下した、台湾空軍スパイ。彼は飢餓の大陸から奇跡の帰還を果たす。そう、これは私の血族の話だ。中国、台北、東京。幾つもの煉獄を遍歴する男と彼をモデルに小説を書く作家――二人の男の運命が交じりあう。恋そして冒険。東山彰良の黄金期を告げる圧倒的長篇。

作品データ

タイトル:『怪物』
著者:東山彰良
出版社:新潮社
発売日:2022/1/31

作家紹介

東山彰良(ひがしやま・あきら)

1968年台湾台北市生れ。9歳の時に家族で福岡県に移住。
2003年「このミステリーがすごい!」大賞銀賞・読者賞受賞の長編を改題した『逃亡作法 TURD ON THE RUN』でデビュー。
2009年『路傍』で大藪春彦賞を受賞。
2015年『流』で直木賞を受賞。
2016年『罪の終わり』で中央公論文芸賞を受賞。
2017年から2018年にかけて『僕が殺した人と僕を殺した人』で、織田作之助賞、読売文学賞、渡辺淳一文学賞を受賞する。
『夜汐』『どの口が愛を語るんだ』など著書多数。

東山彰良の作品紹介

『イッツ・オンリー・ロックンロール』(2007/7/1)
『路傍』(2008/2/26)
『ジョニー・ザ・ラビット』(2008/12/10)
『さようなら、ギャングランド』(2008/10/2)
『愛が噛みつく悪い星』(2009/5/12)
『ファミリー・レストラン』(2011/8/18)
『ライフ・ゴーズ・オン』(2013/3/14)
『流』 (2015/5/13)
『ブラックライダー(上)』(2015/10/28)
『ブラックライダー(下)』(2015/10/28)
『ラブコメの法則』(2016/1/20)
『罪の終わり(2016/5/20)
『女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた。』(2017/11/22)
『夜汐』(2018/11/28)
『ありきたりの痛み』(2019/3/8)
『DEVIL’S DOOR』(2019/6/19)
『越境』(2019/7/26)
『逃亡作法~TURD ON THE RUN~』(2019/11/12)
『小さな場所』(2019/11/14)
『恋々』(2020/9/4)
『怪物』(2022/1/31)

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