【感想】『人魚が逃げた』青山美智子|物語が僕らの背中を押してくれる

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青山美智子『人魚が逃げた』を読んだ感想とバームクーヘン

ケイチャン

ケイチャン

【2025年7冊目】

今回ご紹介する一冊は、

青山美智子 著

『人魚が逃げた』です。

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【感想】「物語が僕らの背中を押してくれる」

連作恋愛小説

ある休日、銀座の歩行者天国にいるのは
人魚姫を探す王子さまでした
そんな王子さまと巡り合った
人々の姿を描く恋愛悲喜劇です

僕らは人生劇場の演者なの!?

僕は彼女と釣り合わないんだ・・
と、悩む青年の友治(ともはる)くん
から物語はスタートします
12才も年上の彼女がオトナ過ぎて
コンプレックスなのです

もうすぐ振られてしまうかも(泣

そんな時に出会ったのが
12時に始まった昼のホコ天をさまよう
王子さまでした
ひと時の邂逅ですが、王子さまの存在に
背中を押された友治くんは
一歩を踏み出すことを決意します

でもこの王子さまは、いったい
何者なのだろうか?

「物語が僕らの背中を押してくれる」

さて物語は友治くんから
次の主人公である伊津子(いつこ)さんに
さらりとバトンタッチされます
さりげなく友治くんの物語に登場しているから
スムーズな主役交代です

ケイチャン

ケイチャン

さすがは連作劇の名手、青山美智子ですね

登場人物たちの悩みは、『愛』
恋愛だったり、子供への愛だったりしますが
自分の愛が相手に届いていないか
不安で心配なのです

愛は一方通行

でもそれは自分の思い込み?
それを指摘するのが
歌舞伎役者のひと言です
舞台は観客席から良く見える、と

右往左往する登場人物たちは
自分の姿が見えていないんだ

ではその観客席の視点をどうやって
手に入れたらいいんだろう?

ケイチャン

ケイチャン

それが、きっと
物語(フィクション)を読む
ということなんでしょう

交代し巡る5人の主人公たちの物語は
やがてぐるりと周回して終演を迎える

ケイチャン

ケイチャン

それは手をつないで踊り演じる
この社会をイメージさせました

ケイチャン

ケイチャン

エピローグで語られる青山作品らしい
ハッピーエンドに安心感を得ます

またアンデルセンの「人魚姫」の
ストーリーがスパイスとなって
物語の味わいを深めてくれます

ケイチャン

ケイチャン

寓話は気付きを与えてくれますね

連作の名手が紡ぐ
愛の物語

ケイチャン

ケイチャン

幸福を予感させるエンディングに
幸せな気持ちとなりました

ケイチャン

ケイチャン

あなたもきっと
一歩を踏み出す
勇気がもらえるはずです

作品紹介(出版社より)

本屋大賞4年連続ノミネート! 今最注目の著者が踏み出す、新たなる一歩とは――。

 幸福度最高値の傑作小説!

 <STORY>

 ある3月の週末、SNS上で「人魚が逃げた」という言葉がトレンド入りした。どうやら「王子」と名乗る謎の青年が銀座の街をさまよい歩き、「僕の人魚が、いなくなってしまって……逃げたんだ。この場所に」と語っているらしい。彼の不可解な言動に、人々はだんだん興味を持ち始め――。

 そしてその「人魚騒動」の裏では、5人の男女が「人生の節目」を迎えていた。12歳年上の女性と交際中の元タレントの会社員、娘と買い物中の主婦、絵の蒐集にのめり込みすぎるあまり妻に離婚されたコレクター、文学賞の選考結果を待つ作家、高級クラブでママとして働くホステス。

 銀座を訪れた5人を待ち受ける意外な運命とは。そして「王子」は人魚と再会できるのか。そもそも人魚はいるのか、いないのか……。

作品データ

タイトル:『人魚が逃げた』
著者:青山美智子
出版社:PHP研究所
発売日:2024/11/14

作家紹介

青山美智子(あおやま・みちこ)

1970年生まれ、愛知県出身。横浜市在住。
大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。
2年間のオーストラリア生活ののち帰国、上京。出版社で雑誌編集者を経て執筆活動に入る。
第28回パレットノベル大賞佳作受賞。
デビュー作『木曜日にはココアを』が第1回宮崎本大賞を受賞。
同作と2作目『猫のお告げは樹の下で』が未来屋小説大賞入賞。
『お探し物は図書室まで』が、2021年本屋大賞で2位を獲得。
ほかの著書に『鎌倉うずまき案内所』『ただいま神様当番』など。

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青山美智子の作品紹介

『ビューティフルレイン』(2012年9月)
『マザーズ– 僕には3人の母がいる』(2016年7月)
『カインとアベル』(2016年11月)
『小説 あなたのことはそれほど』(2017年6月)
木曜日にはココアを』(2017年9月)
『猫のお告げは樹の下で』(2018年9月)
『鎌倉うずまき案内所』(2019年7月)
『ただいま神様当番』(2020年7月)
『お探し物は図書室まで』(2020年11月)
『月曜日の抹茶カフェ』(2021年9月)
赤と青とエスキース』(2021年11月)
『マイ・プレゼント』(2022年07月)
いつもの木曜日』 (2022年8月)
『月の立つ林で』 (2022年11月)
『ユア・プレゼント』 2022/12/08
リカバリー・カバヒコ』2023/09/21
人魚が逃げた』2024/11/14

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